――2193年6月12日 火星沖
――U.N.C.F/JSSDF BBS-555 “キリシマ”艦橋内
山南「敵の超弩級戦艦がいない・・・?こいつら囮か?それとも――」
電測手「後続の次元震反応なし。他のパッシブにも敵兆候なし」
沖田「探知継続。僅かな異変も見逃すな。通信長、GS(グラディウス・ステーション)からの緊急信はないか?」
通信長「ありません。依然、電波管制を継――支援隊テンリュウよりレーザー通信!
“ 我ガ隊ノ長距離れーだーニ他ノ敵影ヲ認メズ。突撃マダカ ”です!」
山南「・・・・・・長官っ」
支援隊――という名の実質的には陽動部隊を率いている安田は焦れている。当然だ、彼らだけが圧倒的に強大な敵に対して自らの姿を晒しているのだ。
いや、焦っているのは安田だけじゃない。俺だってそうだ。できる限り平静を装ったつもりだったが、上官に呼びかけた声が僅かに上ずってしまった。
内心の感情に耐えられなくなり、傍らに視線を向けると、そこにはいつもと同じ場所、同じ姿勢で仁王立ちする艦隊指揮官――沖田十三の姿がある。
その姿はまるで、著名な名工が渾身の力で造り上げた一個の彫像のように、微動だにせぬまま、しかし凄まじい存在感を湛えてキリシマ艦橋中央部に屹立していた。その表情は目深に被られた制帽と豊かな白髭に包まれ、伺い知ることはできない。だが、その鋭い視線はモニター越しの敵艦隊から一瞬たりとも逸らされることはない。
この老練な指揮官は、自分には見えないものが見えているのではないか――山南はしばしばそう思う時がある。同時に、そんな上官の姿を目にしているだけで、先程まで内心で荒れ狂っていた焦燥感がいつの間にか治まっていたことにも気づかされる。
山南は、一時の感情に溺れかけていた自身を恥じた。
(まったく、どれだけ場数を踏めば、あんな風に泰然とできるんだ?
指揮官――いや、人間としての格の違いか?
畜生、俺もまだまだ修行が足りない。“修”の名が泣くぜ)
沖田「山南君」
ほんの僅かな時間、物思いに耽っていた山南を我に返らせたのは、決意に満ちた沖田の声だった。その声だけで、山南は敬愛する上官が決断を下したことを悟った。
沖田「出現した敵艦隊を敵主力と判断する。全隊に命令、カ2号作戦発動!」
深い戦傷から数年ぶりに復帰したばかりの男のものとは思えない気迫のこもった命令に、三十隻余りの艦隊が一斉に行動を開始する。
山南「本艦はこれより陽電子衝撃砲発射態勢へ移行する」
古代「陽電子衝撃砲、各部最終チェック開始。機関長、エネルギー充填開始は別途指示します」
沖田「GSへ近接航空支援準備を要請」
電測手「支援隊、速度上げた。敵艦隊への突撃を開始」
通信長「GSより入電、“稼働全機、第一種兵装ニテ即時待機中”」
古代「射撃管制をSCモードへ。通信長、主隊各艦及び観測隊とのデータリンク状況を確認願います」
通信長「リンク状況良好。問題なし」
山南「いいぞ、古代。その調子でいけ」
古代「はっ!」
士気・練度共に高い部隊だけに、発令後の各員・各隊の調整の取れた無駄のない動きは、一流オーケストラのそれを思わせる。新兵器の促成教育を受けたという理由だけで宇宙防衛大学校から引き抜かれた士官候補生すら例外ではない。
(やれる、俺たちはやれる。この人の下でなら――俺たちはやれる筈だ)
その日、その時、後に『第二次火星沖海戦』として永く語り継がれることになる戦いの火蓋が切られた。
宇宙戦艦ヤマト2199外伝 第二次火星沖海戦 予告編(今度こそ)
時に2193年。大敗に終わった第一次火星沖海戦から数ヶ月が過ぎた。
地球では厭戦気分が蔓延し、講和という名の降伏を是とする国論が高まりつつあった。
この状況を打破すべく、国連宇宙海軍は乾坤一擲の反撃を企図するも、唯一の拠りどころは、未だ試作段階の新兵器のみであった。
一方、絶対的優勢を確立したと思われたガミラス軍内部でも、地球攻略方針の対立から不協和音が。
今ここに、宇宙戦史上に燦然と輝く『第二次火星沖会戦』の幕が開く!!
てな訳で、御協力いただける凄腕の有志の方が更に加わりつつ、制作は順調に進行中です(^o^)
今回公開しましたのは、FGTさんの手による予告動画、冒頭文章2ページ分、ポスター画像の三点です。
ニコニコ動画さんでの正式公開までまだ少し時間がかかるかとは思いますが、その分さらにクオリティーを上げていきたいですね♪
FGTさんがMMD動画、私が文章で第二次火星沖海戦をファンフィクションとして描いていきます。
文章量はとうとうA4で50枚を越えましたw
未だ加筆修正は続いていますので、もう少しボリュームは伸びると思います(^^;)
それと、この度『助監督』から昇格して『副監督』なる役職を頂戴しましたwww
うーん、とりあえず・・・・・・ネタバレでもするか?(*‘∀‘)
――U.N.C.F/JSSDF BBS-555 “キリシマ”艦橋内
山南「敵の超弩級戦艦がいない・・・?こいつら囮か?それとも――」
電測手「後続の次元震反応なし。他のパッシブにも敵兆候なし」
沖田「探知継続。僅かな異変も見逃すな。通信長、GS(グラディウス・ステーション)からの緊急信はないか?」
通信長「ありません。依然、電波管制を継――支援隊テンリュウよりレーザー通信!
“ 我ガ隊ノ長距離れーだーニ他ノ敵影ヲ認メズ。突撃マダカ ”です!」
山南「・・・・・・長官っ」
支援隊――という名の実質的には陽動部隊を率いている安田は焦れている。当然だ、彼らだけが圧倒的に強大な敵に対して自らの姿を晒しているのだ。
いや、焦っているのは安田だけじゃない。俺だってそうだ。できる限り平静を装ったつもりだったが、上官に呼びかけた声が僅かに上ずってしまった。
内心の感情に耐えられなくなり、傍らに視線を向けると、そこにはいつもと同じ場所、同じ姿勢で仁王立ちする艦隊指揮官――沖田十三の姿がある。
その姿はまるで、著名な名工が渾身の力で造り上げた一個の彫像のように、微動だにせぬまま、しかし凄まじい存在感を湛えてキリシマ艦橋中央部に屹立していた。その表情は目深に被られた制帽と豊かな白髭に包まれ、伺い知ることはできない。だが、その鋭い視線はモニター越しの敵艦隊から一瞬たりとも逸らされることはない。
この老練な指揮官は、自分には見えないものが見えているのではないか――山南はしばしばそう思う時がある。同時に、そんな上官の姿を目にしているだけで、先程まで内心で荒れ狂っていた焦燥感がいつの間にか治まっていたことにも気づかされる。
山南は、一時の感情に溺れかけていた自身を恥じた。
(まったく、どれだけ場数を踏めば、あんな風に泰然とできるんだ?
指揮官――いや、人間としての格の違いか?
畜生、俺もまだまだ修行が足りない。“修”の名が泣くぜ)
沖田「山南君」
ほんの僅かな時間、物思いに耽っていた山南を我に返らせたのは、決意に満ちた沖田の声だった。その声だけで、山南は敬愛する上官が決断を下したことを悟った。
沖田「出現した敵艦隊を敵主力と判断する。全隊に命令、カ2号作戦発動!」
深い戦傷から数年ぶりに復帰したばかりの男のものとは思えない気迫のこもった命令に、三十隻余りの艦隊が一斉に行動を開始する。
山南「本艦はこれより陽電子衝撃砲発射態勢へ移行する」
古代「陽電子衝撃砲、各部最終チェック開始。機関長、エネルギー充填開始は別途指示します」
沖田「GSへ近接航空支援準備を要請」
電測手「支援隊、速度上げた。敵艦隊への突撃を開始」
通信長「GSより入電、“稼働全機、第一種兵装ニテ即時待機中”」
古代「射撃管制をSCモードへ。通信長、主隊各艦及び観測隊とのデータリンク状況を確認願います」
通信長「リンク状況良好。問題なし」
山南「いいぞ、古代。その調子でいけ」
古代「はっ!」
士気・練度共に高い部隊だけに、発令後の各員・各隊の調整の取れた無駄のない動きは、一流オーケストラのそれを思わせる。新兵器の促成教育を受けたという理由だけで宇宙防衛大学校から引き抜かれた士官候補生すら例外ではない。
(やれる、俺たちはやれる。この人の下でなら――俺たちはやれる筈だ)
その日、その時、後に『第二次火星沖海戦』として永く語り継がれることになる戦いの火蓋が切られた。
宇宙戦艦ヤマト2199外伝 第二次火星沖海戦 予告編(今度こそ)
時に2193年。大敗に終わった第一次火星沖海戦から数ヶ月が過ぎた。
地球では厭戦気分が蔓延し、講和という名の降伏を是とする国論が高まりつつあった。
この状況を打破すべく、国連宇宙海軍は乾坤一擲の反撃を企図するも、唯一の拠りどころは、未だ試作段階の新兵器のみであった。
一方、絶対的優勢を確立したと思われたガミラス軍内部でも、地球攻略方針の対立から不協和音が。
今ここに、宇宙戦史上に燦然と輝く『第二次火星沖会戦』の幕が開く!!
てな訳で、御協力いただける凄腕の有志の方が更に加わりつつ、制作は順調に進行中です(^o^)
今回公開しましたのは、FGTさんの手による予告動画、冒頭文章2ページ分、ポスター画像の三点です。
ニコニコ動画さんでの正式公開までまだ少し時間がかかるかとは思いますが、その分さらにクオリティーを上げていきたいですね♪
FGTさんがMMD動画、私が文章で第二次火星沖海戦をファンフィクションとして描いていきます。
文章量はとうとうA4で50枚を越えましたw
未だ加筆修正は続いていますので、もう少しボリュームは伸びると思います(^^;)
それと、この度『助監督』から昇格して『副監督』なる役職を頂戴しましたwww
うーん、とりあえず・・・・・・ネタバレでもするか?(*‘∀‘)