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宇宙戦艦ヤマト2202 第七章の感想①

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さてさて、第七章の公開から一週間が経過しましたので、ここからはネタバレ有りで行きます。

私なりの感想としましては、非常にありきたりですが『全体として十二分に面白かったし、感動もした』でしょうか。
少なくとも、第一章から約二年間、ずっと見続けてきた甲斐はあったなぁという満足感と共に、これで遂に完結かぁという寂寥感も覚えました。

2202には開始当初から賛成と反対が分れる様々な要素があり(と言っても、実際は中立的な立場の方が最も多かったと思います)、加えて、第六章終了時点では『本当に第七章だけで完結するのか?』という意見も見受けられました。
しかし、それらの懸念や伏線、懸案の大半(全部とは言っていない)はきれいに畳まれ、物語として見事に収斂していたと思います。
また、その賛否が分かれた要素にしても、(もし作られるとしたら)後のシリーズに影響を残さないようにしっかりと整理・精算されている点もさすがと思いました。



オリジナル版の第一作をかなり忠実にリメイクしたとされる2199にしても、エンディング時点での設定はオリジナル版とは異なってしまった点が幾つもありました。
封印されたヤマトの波動砲やイスカンダルで死んでしまった古代守、大きな破壊を免れたガミラス本星、デスラーの扱いなどが主たる部分でしょうか。
もっともデスラーについては少し事情が特殊で、2199でのデスラーの立ち位置・キャラクターに対する批判は、オリジナル版でもより後作(さらば以降)のキャラ設定から逆算された印象なので、注意が必要ですが。
実際、オリジナル版第一作単独でのデスラーの扱いは、2199よりももっと酷いくらいですw

さて、そんなヨタ話はともかく、オリジナル版「さらば」や「2」とは別物じゃないか!という非難を散々に受けてきた2202ですが、大変皮肉なことに、そのラストは2199以上にオリジナル版(『2』直後や『新たなる』開始前)に近くなっている気がします。

 ・ヤマトの帰還(ラストの姿は最終決戦仕様ではなく第一次改装後の姿)
 ・ヤマトの主要生存/死亡乗員はほぼオリジナル版のまま
 ・森雪の記憶が“完全に”戻る
 ・“波動砲問題”の 棚上げ(皆で背負っていく)
 ・デスラーの生存と復権(タランは弟のみ存在)
 ・ガミラス星(ガミラス大帝星)は僅かな寿命しか残されていない
 ・ガトランティス帝国の完全消滅
 ・時間断層の消失
 ・復興した地球と再建されつつある月
 ・地球軍事力の空洞化(艦はあっても乗る人がいない)

特に、これまでこのブログでも散々に文句を言ってきた(笑)、ガトランティスのバカみたいな物量については、『滅びの方舟』にのみ許容されたチート手段であり、方舟が消滅し、人造生命たるガトランティス人が完全死滅(文字通りの意味で)したことで、『宇宙規模で発生した一過性的な異常災害』として片づけられたことも大きいです。
その点では、地球側のチート手段としてフル活用された時間断層の消失も同様ですね。
これらの顛末により、もし次回作があったとしても、こと物量スケールについては、2202のような天文学的規模ではなく、2199の時のような常識的規模へのスケールダウンが可能となりました。



「――散らかしたものね」

奇しくも最終話の冒頭で銀河艦長がそう言うのですが、これって制作側の気持ちも含まれてるのかな?と思ったり。
つまり、2202ではこれまでのヤマト世界の常識やルールみたいなものを大きくひっくり返して、あれこれと大胆なことをやったけど(散らかしたけど)、最後は跡を濁さず、きれいに片づけていくよ、みたいな。
その点、第七章のキーワードになった『未来を掴め』はともかく、第二章で使われた『正しい未来』、七章で真田さんや生還した山本が言った『未来も元の流れに戻る』、山南さんの『もうみんな気づいてるんだ』で始まるセリフも、作中での意味とは別に、よりメタ視点での意味合いも含んでいたんじゃないかなと思ったりしています。
そして最終的に、本来のヤマト世界でのあるべき未来(後継作品)が無理なく制作可能な環境を最終話で整え直したよ――そんな事を伝えられた気がしてなりませんでした。
もちろん、仮に後継作品が作られたとしても、それがどのような作品、どのような作風になるかは現時点では全く不明ですし、そもそも後継作品が作られないことだってあり得ます。
しかし、最終話でテレサが「何でもありえた、何でもありえる」と古代に述べているように、全ては“可能性”な訳で、『作られる』/『作られない』にしても、作られた際の作風が2199風になるか、2202風になるか、よりオリジナルに近い風になるか、はたまたこれまでとは全く別の――と、可能性はそれこそ無限です。
そうした、未来への可能性を少しでも大きくする為に、障害となり得る2202独自の大胆な要素の清算と環境の再調整を含めた最終話だったんじゃないかなと個人的に解釈しています。
その点、イスカンダルから供与されたコスモリバースは、2199のみならず2202においても、その最終局面において“環境”を復元するのに使われたことになりますねw

以上、全てが私の勘違いである可能性も極めて高いですが、少なくとも私にとっては制作陣のオリジナル版への敬意と未来への展望を開くという姿勢を強く感じることができた2202のフィナーレでした。

とりあえず今日はこんなところで。
いやー、作品の本質とかメカ設定的な部分に触れられず、申し訳ありません(^^;)
そのあたりは、次回以降に・・・・・・あ、きっと作品の本質とかに触れるのは私には無理だw

宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 第七章(セル版)小野大輔,桑島法子,鈴村健一,大塚芳忠,赤羽根健治メーカー情報なし
小説 宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち (4)むらかわ みちお,西崎 義展KADOKAWA
宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち -全記録集- 設定編 上巻 COMPLETE WORKSKADOKAWAKADOKAWA
宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち -全記録集- 設定編 下巻 COMPLETE WORKSKADOKAWAKADOKAWA
OUT 宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 特集号 (カドカワムック 775)KADOKAWAKADOKAWA
アニメ『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』オリジナルサウンドトラック vol.2ランティスランティス
【早期購入特典あり】『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』主題歌集+オリジナルサウンドトラック vol.2 (全2枚セット) (セット購入特典:A4クリアファイル)ランティスランティス
宇宙戦艦ヤマト2202 メカコレクション 地球連邦主力戦艦 ドレッドノート級セット 1 プラモデルBANDAI SPIRITS(バンダイ スピリッツ)BANDAI SPIRITS(バンダイ スピリッツ)
宇宙戦艦ヤマト2202 メカコレクション 地球連邦主力戦艦 ドレッドノート級セット 2 プラモデルBANDAI SPIRITS(バンダイ スピリッツ)BANDAI SPIRITS(バンダイ スピリッツ)

宇宙戦艦ヤマト2202 続編製作決定とか全記録集の下巻とか。

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【新着情報】『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』続編製作決定!続報は公式HPにて順次お知らせいたします。#yamato2202https://t.co/TCIlEHIJWO pic.twitter.com/LLKfBwwNU0

— 宇宙戦艦ヤマト2202製作委員会 (@new_yamato_2199) 2019年3月29日

昨日の2202第七章最終上映後の舞台挨拶で続編製作が発表されました。
正直、2202の公開終了直後に早々と続編製作が発表されるとは意外でしたね。
しかも総集編でも外伝でもなく・・・・・・って考えると、あるいは2199本編終了後の総集編『追憶の航海』や『星巡る方舟』の時の経験が物を言ったのかもしれません。
前後して発表された公式ツイートによると、2202の興行収入は2199を超えるばかりか、毎章右上がりに増加していたそうです。
思えば以前、福井さんも第6章くらいで2202の製作費回収が済んで、それ以降はお弁当が格段に良くなったと本気か冗談か分らないことも仰っていましたねw

とはいえ全てはこれからで、どんな内容になるかも、どんなスタッフやキャストが集結されるのかも今はまだ全く不明ですが、それはこの先の楽しみとしたいと思います(^o^)
願わくば・・・・・・続編では2202の時のような、場外で関係者とファンが揉めるような騒ぎだけは本当に勘弁して欲しいものです、いやホンとお願いしますよ(´・ω・)

【新着情報】3月29日(金)最終話TV放送後に、WEB番組の特別版「さらば『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』愛の宣伝会議」をYouTube BANDAI NAMCO Arts Channelにて公開します。羽原信義監督と福井晴敏さんが『2202』の航海を振り返ります。ぜひご覧ください!#yamato2202https://t.co/j4VGp5hGcm pic.twitter.com/up2Ol4xAKm

— 宇宙戦艦ヤマト2202製作委員会 (@new_yamato_2199) 2019年3月29日

今夜はテレビ放送も最終回ですが、その後にweb番組をyoutubeで放送するそうです。
もしかしたら、最後の最後くらいにちょっとだけ続編についても言及があるかなぁ・・・・・・とか期待したりw


↑続編と聞いてソワソワしている黒い人たちw

本日、待ち侘びていた設定資料集の下巻が届きました♪
メカ資料については、本編後半に登場する地球艦と、ガトランティス・ガミラス艦が主でしたね。
まだザっと目を通しただけですが、カラー資料がもう少し欲しかったかなぁと思ったり、アンドロメダ級の派生艦であるアクエリアスとガミラスメイドは載っているのに、なんでアマテラスは載ってないの?とか、最後に登場したガトランティスの無人艦ってジェノサイドスレイブっていうの?とか、コアシップ載せたゲルバデス級は?とかとかとかw
なんかこの後、まだ“完全版”とか銘打ってメカ系の資料集が出るんじゃないか?(買うけどw)



本書の後半には、羽原さん、福井さん、岡さん、玉盛さんのインタビュー記事がありました。
個人的には岡さんの福井さんにまつわるエピソードが面白かったです(^_^)
特に、“最後”にまつわる部分が『やっぱり!!』って感じでしたw



それと、この『全記録集』というシリーズですが、更に続巻が出るそうで、次は『シナリオ編』とのこと。
発売日などの情報はまだありませんが、劇場BDに付属していたシナリオはどれもかなりの読み応えがあったので、是非全話分掲載して欲しいところですね(^o^)

そして最後になりましたが、明日の夜に久しぶりに文章作品を公開します。
タイトルは『第二次火星沖海戦外伝~火星沖2203~』です。
本当はMMD第二次火星沖海戦のエピローグとして書き始めたのですが、あまりに長くなり過ぎたので、FGTさんにも了解いただきまして、独立した外伝として公開することにしました(^o^)
宇宙戦艦ヤマト2202屈指の名エピソードである第21話『悪夢からの脱出!!』が舞台で、山南さんや谷さんの目を通して、あの戦いの裏側を描いています(^o^)
といっても、ドンパチ描写が殆どありませんので、予めご了承下さいm(__)m

宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち -全記録集- 設定編 下巻 COMPLETE WORKSKADOKAWAKADOKAWA
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宇宙戦艦ヤマト2199 第二次火星沖海戦外伝 ~火星沖2203~

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――2203年6月4日 地球沖
――U.N.C.F ZZZ-0001 YF-2203“アンドロメダ改”艦橋内



「――寂しいな。なぁ、アンドロメダよ」

 艦長シートでそう独りごちた男の視線が向けられた先には、一枚のポートレートがある。先進性と機能性に満ちた最新鋭戦艦の艦橋に、昔ながらのL版サイズにハードコピーされた写真――しかも乱暴にテープで留められただけの――は、いかにも違和感があった。
 しかし写真を、いや、そこに写った人々を見つめる男の瞳は寂寥の色こそ含んでいるものの、どこまでも穏やかだ。その姿は僅か数日前、人類史上最大・最強の宇宙艦隊を率いて獅子吼していた人物のものとはとても思えない。
 その男、地球連邦防衛軍 一等宙佐 山南修は飽きることなく写真を眺め続けていた。まるでそうしていれば、その頃の自分たちに戻れると心底から信じているかのように――だが、そんなことは夢物語に過ぎない。写真の中の二人は既に鬼籍に入り、更にもう一人もMIA(作戦行動中行方不明)だ。

(やれやれ、自動艦というのもやっかいだな。
 本来は最も忙しく、騒がしい筈の出撃時に、艦長が想い出に浸る以外、何もする事がないなんて。
 精神衛生上、非常によろしくない)

 自他共に認めるリアリストである彼が先程から写真を眺め続けていたのは、決して感傷的な理由ではなく、単純に他にすることがなかったからだ。そしてそれこそが、フル・オートマチックでの高機動三次元戦闘すら可能なよう大規模改修を施された『アンドロメダ(改)』の真骨頂だった。いや、アンドロメダ改だけではない。山南が指揮する麾下の全艦が、AIによる完全自律制御艦『アンドロメダ・ブラック』で構成されているのだ。

 いくら無人艦、省人艦とはいえ、人を乗せるなら、少しは忙しくさせないと駄目だ。慎重傾向の強い奴、思考にマイナスベクトルのかかりやすい奴ほど、いらぬ事を考えてしまう――今の俺のように。
 山南は、航宙中の所感を書き留める為にいつも胸ポケットに潜ませている小型の手帳と万年筆に手を伸ばし――苦笑と共に引っ込めた。既に彼の全身は、艦固有の慣性制御装置では打ち消しきれないレベルの高機動戦闘に耐久可能な強化スーツに包まれており、当然そこに“胸ポケット”など無い。

(自ら志願したこととはいえ、全くひどい扱いだな、これは。
 いや、新手の罰ゲームと言うべきか)

 そんな自嘲に耽る艦の主の想いを悟ったかのように、目前のTCP――Tactical Ctrl Pad(戦術情報表示/操作盤)――が音響と発光で山南に注意を促した。僚艦とのトランス調整中の自艦とBBB戦隊のワープ準備が整うまで、残り3分を切ったのだ。
 ワープ目標は、今現在も地・ガ連合艦隊が死力を尽くして白色彗星を食い止めている火星戦線。
 『挺身艦隊』と名付けられた彼の艦隊は、白色彗星本体――通称:都市帝国――の直上へワープアウト、その中枢と思しき上部構造物の至近から最大出力で波動砲を集中射する予定だった。土星沖での戦いでは、地球艦隊の放った波動砲は悉く都市帝国の展開する強固な防護スクリーンで無効化されてしまったが、ガス帯の内部から、それも反応時間を与えない程の至近距離からならば――という訳だ。
 ワープアウト直後の波動砲発射を可能とする為に、彼らの改A級及びBBB級は無人のD級二隻を“ブースター”としてそれぞれ接続している。ワープはD級によるトランス・ワープで実施し、波動砲発射をアンドロメダ級で行うという寸法だ。
 あまりに危険で乱暴な作戦計画故、部内では彼の艦隊を正式名ではなく“殴り込み艦隊”や、欧米諸国軍では“カミカゼ・フリート”と呼ぶ者までいるらしい。
 そんな、自殺行為と紙一重とまで評された作戦を遂行する艦隊に、山南が独りで乗艦しているのには当然理由がある。

 本作戦はその危険さ故、当初は完全無人の艦隊で実施される予定だった。しかし、何度AIがシミュレーションを繰り返しても、都市帝国に波動砲を叩きつけられる艦は艦隊総数の20%にも満たず、その実施効果が疑問視された。だが、本作戦の直接指揮を強行に主張し続けていた山南が艦に乗り組んで指揮を行った場合のシミュレーションでは、波動砲発射を果たした艦の数は、実に七割にまで達したのである。
 それでも、藤堂統括司令長官はあまりに生還の可能性が低いとして、山南の艦隊司令就任と乗艦に難色を示した。しかし、二度三度と繰り返されたシミュレーションの結果と、外ならぬ山南自身の強い希望が最後は決め手となった。
 結果、山南の直接指揮は認められ、艦隊ただ一人の“人間”としてそこに在った。彼の役目は、最適なタイミングで挺身艦隊をワープさせると共に、波動砲発射の瞬間を見極めることにある。

(罰ゲーム・・・・・・いや、土星沖の敗北と損害を考えれば、これでも有難いくらいだ。
 それよりも、お前まで巻き込んですまないな、アンドロメダ)

 土星沖で大破しつつも辛うじて帰還したアンドロメダは、直ちに時間断層工廠での緊急修理に入った。しかし各種検査の結果、そのダメージは艦の命たる次元波動エンジンにまで及んでおり、最早修復は困難であるとして、廃艦処分の決定が下されたのである。
 結果、山南の乗艦は新たに用意された“別の艦”になると説明されていた。しかし――。



「これが、その?」
「そう、アンドロメダ級試作艦だ。0番艦、零号艦などとも呼ばれているな。
 こいつで諸々の新装備の実装試験をやった後、あんたらの一番艦以降が建造された。
 その後、お役御免でモスボールされていたのを、無理やり引っ張り出したって訳だ。
 ――公(おおやけ)には、だがね」

 彼が新たに乗り組むことになった艦の説明を請負ったのは、既に初老の域すら超えているように見える年かさの工廠責任者だった。その口調も態度もぶっきらぼう極まりなかったが、どこか悪戯小僧のような色を含んでいる。
 そこは時間断層工廠に隣接した最終検査場。通常空間に設置されている為、行動力と行動時間が著しく制限される(そして暑く、重ったるい)時間障害防護装備が不要なのが有り難かった。
 彼らの見上げる先には、見なれた防衛軍グレーに彩られたアンドロメダ級の姿がある。
 波動砲口がD級の設計とパーツを流用して疑似四連装化された他、艦の各所に高機動用スラスターとその注意書きのイエローマーキングが目立つようになってはいたが、彼の知るアンドロメダ級からそれほど大きく変容したようには見えない。だが、外観がどれほど似通っていても、たとえ艦載AIを移植していたとしても、この艦は“俺のアンドロメダ”ではない――彼はそう聞いていたし、彼自身もそう思っていた。
 故に、山南は工廠長の意味ありげな説明に眉をひそめた。自然と口を突く言葉も尖り気味になる。

「公には?では、非公式には?」
「こいつは正真正銘――“あんたのアンドロメダ”だ。試作艦なんかじゃない」

 工廠長は、そこだけは山南の瞳を見つめてきっぱりと言い切った。そして驚く山南を後目に矢継ぎ早に言葉を続ける。

「驚いたろ?しかし苦労したんだぜ。
 その試作艦や建造中のD級からありったけの部品を引き抜いて突貫で仕上げたんだ。
 BBB?あれは絶対にダメだ。
 無人艦だから素材も加工精度も有人艦よりかなりランクが落としてある。だから見た目よりも俄然脆いんだ。
 懸案だったのはむしろ波動砲の修理の方さ。
 幸い、BBB級の設計時、D級二隻分の波動砲システムをそのまんま流用するってアイデアがあったらしくってな。その設計が流用できたんで、なんとか間に合った。
 ・・・・・・まぁ、あんたも知っての通り、上からの命令は、真逆――アンドロメダから使える部品を引き剥がして、試作艦を実戦仕様にしろ――だったんだけどな、俺の判断で握りつぶした。
 それでも、さすがに艦籍までは誤魔化しきれなかったんで、艦番号は変えざるを得なかったが。ま、その点だけは勘弁してくれや」

 延々と、しかも嬉々として語られる説明に、さすがの山南も暫し言葉を失った。工廠長の口調はまるで茶飲み話のような気楽さだったが、その内容はあまりに重大な命令違反だったからだ。

「しかしそれでは――」
「あぁ、勝手に艦をすり替えたんだ。
 今の政府と軍が続く限り、俺は軍刑務所で終身刑だろう。
 しかし、いいんだ。俺は、あんたに借りがある」
「借り?すまない、とんと記憶にないんだが」
「そりゃそうだ。
 俺の倅(せがれ)は、第二次火星沖海戦でテンリュウに乗り組んでた。
 倅は言ってたよ、俺は、安田艦長とあんたの艦に救われたんだと」

 工廠長の説明に、山南はようやく愁眉を開いた。まさかここで、安田と第二次火星沖海戦の名を聞くことになるとは。

「それで・・・・・・。御子息はご健勝か?」
「あぁ、きっと“向こう”で、嫁や孫や婆さんと楽しくやってるよ。
 ・・・・・・俺は、あんたには本当に感謝してるんだ。皮肉じゃないぜ。
 倅があの戦いから生きて帰れたからこそ、俺も死んだ婆さんも生まれて初めて“孫”ってもんを抱くことができた。時間は短かったがな。だけど、その記憶も感触も幻じゃない」
「・・・・・・お察しする」
「なぁに、気づかいは不要さ。俺は自分が為すべきと信じたことを為しただけだ。
 倅の恩人が任務を果たせる可能性を1%でも増やせるよう全力を尽くしたまで。
 バカなお偉いさんと取り巻きどもは、艦載AIさえ乗せ換えれば同じだろうなんて言いやがったがな、あいつらは船乗りの心意気が分ってねぇ。フネは女房と同じだ、“按配”ってもんがあるんだ。
 お前ら、夜な夜な女房のどこに乗っかってんだと聞いてやりたいね」

 工廠長の突然の“ヘルダイブ”に思わず吹き出した山南だったが、直ぐに口調と表情を改めた。

「工廠長、もういいよ。しかし――誠にありがとう」

 工廠長は、自らの仕事を正当に評価された職人に特有の、はにかんだ笑みを浮かべた。そして眩しげな表情で再びアンドロメダを見上げる。
 その瞳に浮かんでいるのは紛れもない愛着であり、我が子に向けるのにも似た、純粋なまでの愛情だった。



「山南さん、こいつはちょっとツンとしてるが、素直ないいフネだよ。
 俺には分るんだ。次の戦いでも、こいつはあんたを守りながら、あんたの望む全ての行動を完璧に果たしてくれる。
 ――だから、頼みます」

 いつの間にか、工廠長の目はアンドロメダではなく、山南に向けられていた。そしてその口調もまるで別人のような真摯さに満ちている。

「山南さん、いや山南艦長。
 俺は二度の内惑星戦争とガミラス戦争を幸運にも生き抜くことができた。
 勝ち戦(いくさ)も負け戦もたくさん見たよ。しかし、勝とうが負けようが、どちらにせよ――その後は悲惨だった。
 内惑星戦争じゃ、地球に移住させられた火星の連中が随分と酷い目に遭ってたし、ガミラス戦争は――言うまでもないな。
 だから、俺はもう勝ってこい、勝ってきてくれとは言わない。
 頼む、この戦争を終わらせてくれ。
 土星では、ヤマトも喪われたと聞いた。
 だからもう、それを頼めるのは、あんたとアンドロメダだけだ」

 そう告げる工廠長の声は決して大きくはなかった。いや、休みなく騒音が響き渡る工廠内では、かき消されてしまいそうな程に小さかった。しかし山南にはそれが、この老人の魂が上げる絶唱、慟哭のようにも聞こえた。
 最早この老人には、何もないのだ。家族も親族も友人すら殆どを戦争で失い、残されたのは工廠での仕事だけ。だが、それでもこの老人は何を恨むでも呪うでもなく、戦争を終わらせる為に、自分のような境遇の人間を一人でも減らす為に、自身の持ち場で今も戦い続けている――。

(・・・・・・ヤマト)

 全ての動力を喪い、白色彗星に落下していく最期の姿が脳裏に甦る。
 いや、俺は信じない。ヤマトは沈んでなどいない。必ず生きている。土方さんや古代が簡単にくたばったりするものか。
 あのフネは、たった一隻で敵の本拠地に乗り込み、戦争を終わらせ、地球と人類を救った。そのフネを指揮し、魂を塗り込めた漢を、俺は知っている。否、俺もその人から教えを受け、かの地で共に戦ったのだ。
 その因縁深き火星沖で再び俺は戦う。今度は沖田さんも安田もいないが、俺にはまだ、馴れ親しんだアンドロメダがある。俺とアンドロメダが命を懸けて戦えば、まだ何事かを為せるかもしれない――嘗て沖田さんとヤマトが為したように。

(第二次火星沖では沖田さんにしか見えなかった何かが、今度は俺にも見えるだろうか?土星沖では、俺は何も――)

 指揮官として、研鑽と修練を積み重ねてきたつもりだが、先だっての土星沖会戦では、俺は“機”を見出すことができなかった。“勝機”などと言うつもりはない。戦場、戦争を変える事のできる“機”を。
 いや、思えばそれも当然か。あの戦いでのガトランティス軍の行動予測も、それに対する地球艦隊の作戦計画も、全て銀河AIが立案したもので、俺の作戦指揮はそこから一歩として外れるものではなかった。あんな戦い方に、人間の感じる“機”が入り込む余地などない。
 山南は再びアンドロメダを見上げた。

 ――ならば、あやかってみるか、あのフネに。

「工廠長。お気持ちは承りました」

 山南は工廠長に対し、男でも惚れ惚れするほどの色気に満ちた敬礼をピシリと決めた。
 そして制帽を取り、これまでとは対照的な男臭い笑いを浮かべて更に言葉を続ける。

「それで、という訳ではないが・・・・・・もう一つ頼まれてもらえないか?」

 ――その“頼み”の結果が、今現在山南が乗艦しているアンドロメダの姿だった。
 艦の上半分をブルーグレー、下半分をダークレッドに塗り分けたカラーパターンは、ガミラス戦争を終わらせ、地球人とガミラス人に同盟関係を結ばせるきっかけを作った“あの艦”そのものだった。
 なんでも、山南が最後に依頼したこの塗装をアンドロメダに施すために、工廠長は完成間近のBBB戦隊で作業中だったペインティング用ガミロイドを大量に引き抜いたらしい。結果、就役したBBB戦隊の1/3程は、舷側に描かれる予定だったプロパガンダ用のテキストが省略されたという。
 それらの点も含め、本当に大丈夫かと心配する山南に対し、工廠長は大笑しながらこう言ってのけた――聖書だのお経だのでビビってくれるような敵さんなら、宇宙戦争なんて起きやしませんぜ。味方だって、あんなモン見てる暇ないでしょう。俺にはそれよりも、乗ってる人間様が気持ち良く戦えるよう艦を仕上げる方が大事でさぁ――と。
 だがその一方で、山南の懸念通り怒り狂っている者たちもいる。

「っ!?なんなんだ、あの色は!!」

 “あの艦”は地球を救った栄光の艦である一方、そのあまりの偉大さ故に、その存在を疎ましいと考えている者も決して少なくはないのだ。それは特に、波動砲艦隊構想を強く推進してきた地球連邦防衛軍中枢に多いとされる。彼らにしてみれば、一艦長風情が勝手に国家間条約を結ぶなど言語道断であり、そのせいで、真に地球を憂う自分たちが苦労させられたという怒りと反発は極めて大きかった。
 今、統括司令部で、大スクリーンに映るアンドロメダ改に向けた指先を震わせている司令部幕僚もそんな一人だった。いや、彼一人だけではない。司令部に詰めている高級幕僚の多くが、怒りに満ちた目をスクリーンに向けている。
 現在の統括司令部内にそれを諫めるものはおらず、いや、彼らの首魁とも言うべき芹沢司令副長は在室しているのだが、彼はいつもの鋭く強い視線をスクリーンに向けるだけで、何も発言しようとはしなかった。
 結果、芹沢の意も自らと同様と判断した司令部幕僚たちの怒りと言動は更にヒートアップする結果となる。

「あんな塗装色は規定にない!!誰が指示した!!誰が許可した!?
 あれは・・・あれではまるで――」
「――局地迷彩だな」

 猛り狂う幕僚たちとは対照的な声を上げたのは、休憩を終え、遅れて司令部に入室してきた藤堂統括司令長官だった。
 普段、よほどの重大事でなければ、そして決定的局面でなければ、自ら口を開かない長官だけに、その発言は自ずと重きが置かれる。それは司令部幕僚はもちろん、副長であっても例外ではない。

「君らは分らんかね。上面はアースグレー、下面はマーズレッド。
 火星―地球絶対防衛線に合せた局地迷彩色だよ、あれは。
 規定色とは多少色味が違うが、資材不足の中、ありあわせの部材で何とかしたのだろうな」

 規定色に塗られた艦が続々と戦列に加わりつつある状況で、その解釈はかなり無理のあるものであったが、平素と全く変わらぬ藤堂の表情と口調で整然と言葉を並べられると、面と向かって反論できる者は統括司令部にはいなかった。

「いえ・・・・・・長官。あれは・・・・・・・あれは・・・・・・どう見ても・・・・・・」

 それでも、よほど“あの艦”の幻想が強くちらつくのか、件の幕僚は懸命の反論を試みた。しかしその時、司令部内にドンっと鈍く重い音が響き渡った。
 立ち上がった芹沢が拳で副長席の卓を殴りつけ、幕僚たちを睨め付けたのだ。

「貴様らは現在の戦況が分っているのか!!
 我々は既に火星圏にまで敵に踏み込まれているのだぞっ!
 一隻の戦艦の塗装色に四の五の言っている暇など、どこにあるっ!!」 

 そう怒鳴りつけた芹沢の鬼の形相に、幕僚たちは完全に色を失い、慌てふためきながら元の職務に復帰した。苦々しい表情でそれを一瞥すると、芹沢は大きな溜息を一度ついた後で通信士を呼んだ。

「時間断層工廠へ長官と私の連名で電文を送ってくれ。
 貴工廠の尽力を謝す。臨機応変の対応見事なり。引き続き職務に邁進されたし――とな。
 ・・・・・・宜しいですな?」

 最後の一言は藤堂に向けたものであったが、芹沢はその返事を待たず、視線も合わせないまま自らの席に戻った。それは見る者によっては酷く礼を欠いたように感じられる振舞いだったが、藤堂は芹沢に対し一瞬だけ面白そうな表情を浮かべたものの、こちらも何事もなかったように副長の隣――長官席に着いた。
 芹沢の言う通り、彼らには対処しなければならない懸案が山積みだったからだ。

 統括司令長官と司令副長の連名で発せられた電文の写しは、程なくして山南の元にも届けられた。

(まったく。沖田さんといい、藤堂長官といい、芹沢副長といい、本当に大したものだよ)

 TCPに表示された電文を見た山南は、込み上げてくる笑いを抑えるのに苦労した。
 古代や斉藤の前では一端の指揮官面をして見せても、やはり俺はまだまだあの人たちには敵わないらしい。あの人たちが後ろで支えてくれているからこそ、俺たちはこうして万全の状態で戦えるのだ。

(感謝します、長官、副長)

 少なくともこれで、後顧の憂いはなくなった。
 決意を固めた彼の瞳は今、火星沖からリアルタイムで送られてくる戦況図に注がれている。
 増援であるガミラス艦隊――バレル大使直率艦隊――が大きく突出、それに喰らい付くようにガトランティスも艦隊ラインを前進させていた。更にアルデバランの谷艦長率いる第二艦隊がこれを迎撃し、戦場は一気に混戦の度合いを増す。
 しかし、地・ガ連合艦隊の戦術行動は全て陽動。一隻でも多くの挺身艦隊が都市帝国に肉薄できるよう、彼らは積極的に前線を動かし続け、ガトランティス軍の戦力と注意を誘引しているのだ。だが、精鋭のガミラス軍を加えたとはいえ彼我の物量差は圧倒的であり、このような無茶な戦い方はそう長くは続けられない。
 そして、戦場の実態もほぼ山南が想像した通りだった。第二艦隊旗艦AAAアルデバランの艦橋内は、既に数時間前から修羅場そのものの様相を呈している。

「バレル大使へ通信を繋げ!旗艦が突出し過ぎだ。あれでは“盾”もろとも喰われる。
 103戦隊は前進、直衛につけ!」
「白色彗星の重力干渉波により通信リンク不調、繋がりません!」
「続けろ、大使が出るまで呼び出し続けろ」
「敵超大型空母より艦載機多数発艦!数およそ90、いえ・・・・・・200以上!!
 ガミラス艦隊に向かう!!」
「阻止しろ!速射魚雷、多連装ミサイル発射準備!
 続けて重力子スプレッド弾一斉射!――撃ぇぇぇぇ!!」

 艦長と艦隊司令長官を兼任する谷は、戦闘開始以来、一時も休む暇なく艦と艦隊の指揮を執り続けていた。

(畜生、まるで第一次火星沖だ。いや、あの時よりも手荒く酷いぜ)

 彼自身、連戦の疲労による注意力と判断力の低下を自覚しており、本当ならアルデバランの指揮だけでも副長に任せたいところであったが、その副長も経験が決定的に不足している以上、このまま踏ん張り続けるしかない。
 加えて、今の彼にはもう一つ気がかりがあった。

(まったく。勇気は買うが、文官なら文官らしく後方にいて欲しいものだ)

 ガミラス艦隊の先頭に位置しているのは、よりにもよって大ガミラス帝星在地球特命全権大使ローレン・バレルの座上艦であり、谷としては気が気ではない。たとえ座上艦が、ガミラス軍で最も高い直接・間接防御力を誇るゼルグート級であったとしても、だ。
 ガミラスへの技術供与の結果完成したガ式空母型アンドロメダ――口さがない者は“ガミドロメダ”などとも呼んでいる――の運用指導を担当し、ガミラス軍関係者とも深い交流を持つ谷は、ローレン・バレルという男を最もよく知る地球人の一人だ。
 デスラー失脚後のガミラスで俄かに権限を増した内務省保安情報局の出身、ガミラス本星とも太い政治的パイプを有するこのガミラス人は、その柔和で落ち着いた相貌からは想像できないほどの胆力と行動力を持ち、地球との外交交渉においてもその辣腕、剛腕ぶりは広く知られていた。にもかかわらず、ガミラスの強大な国力や軍事力を必要以上に誇示するようなことはせず、あくまで交渉相手との互恵性を重んじる彼の外交姿勢は、地球連邦大統領以下の要人たちにも概ね好評だった。
 その点、地球とガミラスの歴史的経緯や、埋めようのない根本的な国力格差を考えれば、ローレン・バレルという男は、地球にとっても理想的な同盟国大使だったと言えるだろう。
 谷の見るところ、どうやらガミラス軍はバレルのゼルグート級を餌に敵戦力を誘出、それを、ガ式空母型アンドロメダを主力とする快速戦闘団――バーガー戦闘団――で叩き潰すという戦術を採っているらしい。事実、緒戦においてバーガー戦闘団は、ゼルグート級を狙って突出してきた三隻の特殊砲艦とその護衛艦艇群を僅か数分で殲滅するという大戦果を挙げていた。
 本来、一国の大使が軍人に“餌”や“囮”として利用されるなど、大激怒して当然であったが、谷には、バレル自身が喜んでその任を引き受けているように思えて仕方がなかった。そして同時に、彼がアンドロメダ級の運用を手ほどきしたフォムト・バーガーという若い艦長の(決して不快ではない)不敵な笑みを思い出すと、その想像は殆ど確信に変わる。

(まったく、ガミラス人って連中は、誰も彼もが妙な具合に戦慣れしてやがる)

 とはいえ、何事にも限度というものがある。
 ガトランティス軍もガミラス軍侮り難しと見て、艦隊旗艦と思しき超大型空母まで最前線に投入してきた。幸い、搭載していたのが通常兵装の艦載機であった為、先程は難を逃れたが、あれがもし、土星沖で初めて姿を見せた新型刺突式兵器の大群だったら、ゼルグート級といえども危なかったかもしれない。

(まだまだあなたに死なれては困るのですよ、大使。地球の為にも、ガミラスの為にも)

「バレル大使が出ました!」

 ようやく通信が繋がった同盟国全権大使に後退を勧めた(実質的には叱りつけるように命令した)ことで、ようやく安堵した谷であったが、今度は、自らの置かれている状況が厳に戒められるべきワンマンフリート以外の何物でもないことに怒りを覚え始めている。この殺人的多忙の中、そんな点に思いを馳せている時点で、彼も中々に複雑な男であった。

(せめて――艦隊・戦隊指揮官と艦長だけでも分離できていれば)

 国力と軍事力で圧倒的に優勢な敵軍を短期決戦で撃滅することを旨とする『波動砲艦隊構想』とそれに基づく建艦計画は、ガトランティス軍の第十一番惑星襲来後、極端なまでに先鋭化した。時間断層工廠での建造艦は、収束型と比べて圧倒的に高い艦艇撃破効率を誇る拡散波動砲を発射可能な最小艦――D級が大半を占め、それ以下の中小艦艇の建造はほぼ等閑に付されたのである。
 その結果、火力はあっても機動力に乏しい戦艦級艦艇のみで編成された地球艦隊は、集団での波動砲戦についてはこれ以上ないほど効率的な運用が可能となったものの、それ以外の戦術状況においては柔軟性を欠く極めて硬直した戦力と化した。
 つまり、この時の地球艦艇群は、最早“艦隊”というよりも“砲列”に近い戦力単位と化していたのである。
 もちろんそれは、止むに止まれぬ苦渋の決断という側面が強かった。十一番惑星に襲来した二百万隻を超える大型戦艦群は、白色彗星本隊の露払い――前衛戦力――に過ぎず、彗星本隊による本格侵攻ともなれば、その物量が想像を絶する規模になることは確実だったからだ。
 そして白色彗星が太陽系に襲来。地球艦隊は緒戦において波動砲艦隊と練りに練られた統制波動砲戦術をフルに活用することで、実に数十倍の規模を誇ったガトランティス艦隊を一度は退けることに成功した。しかしその直後、遂に前線にまで姿を現した白色彗星本体の強固過ぎる防御力によって、逆に地球艦隊は大損害を被ってしまったのである。
 その結果、地球防衛艦隊は最も避けなければならなかった長時間の消耗戦に陥り、波動砲戦への特化の代償として切り捨てた要素――艦隊運用の柔軟性――の点で限界を露呈しつつあった。

 彼らには、『艦隊』『戦隊』『艦』という戦力単位こそ存在したものの、ほぼ単一艦種で統一されたそれらは、単なる数的区分にしか過ぎなかった。各区分に求められる戦術判断のレベルも決して高くはなく、極論、波動砲戦のみを考えるのであれば、『進め』『止まれ』『並べ』『撃て』『下がれ』だけでも成立可能だった。
 事実、地球艦隊はD級の大量配備(大量建造ではない)を実現する為に、圧倒的に不足する艦長や副長、各科長クラスの人員を極めて短期間に大量養成することで、大規模波動砲戦への対応をなんとか成し遂げた。しかしそれは、人員の能力を極限まで単能化することで成し遂げられた成果であり、そうして速成された人員に、波動砲戦以外の高度な戦術判断や独立した作戦遂行能力を望むのはあまりにナンセンスであった。
 加えて、本来ならば設置されて然るべき戦隊司令部はもちろん、艦隊司令部すら、中級以上の指揮官の極度の不足から編成されず、全ては最先任の艦長が兼任する形での指揮体制が構築されたのである。もちろんこうした体制でも、波動砲戦に特化する限り、さしたる問題は発生しない。しかし現在の戦況は――という訳だ。
 そして、こうした点をかねてより強く危惧していた谷は、何度なく艦隊及び戦隊司令部の開設を具申していた――たとえ十隻や二十隻のD級配備を諦めてでも、艦隊・戦隊司令部の設置は、それ補って余りある戦力増大効果を発揮する――と。しかし、彼の具申が容れられることは遂になかったのである。

(司令部と言っても、五人も十人も必要ないのだ。
 戦隊なら司令と艦長を分離するだけでいい。艦隊なら、長官ともう一人補佐役の幕僚が加わるだけで、全く違うレベルの作戦展開が可能になるのだが・・・・・・)

 内心ではそう毒つきつつも、アンドロメダ級艦長の中では最年長者である彼は、自分よりも経験の乏しい僚艦艦長についても案じずにはいられない。艦隊・戦隊司令部の不在はつまり、各艦隊の旗艦艦長に最も強い負荷と消耗を強いることになるからだ。

「アキレスと第五艦隊は?」
「十一時方向にて戦闘継続中。旗艦が撃沈された第八艦隊の指揮も兼任しています。
 戦力は六二パーセントが健在、隊形も維持されています」

 電測士の報告に谷は感嘆の吐息を漏らした。さすがは最年少でA級艦長を任されただけのことはある。
 通常、軍事的に三十パーセントを超える損害を被った部隊は“全滅”と判定される。損害の大きさが部隊から士気と冗長性を奪い取り、戦力として維持できなくなるからだ。しかし、第五・第八艦隊は三割どころか四割近い損害を被りながらも、しぶとく戦闘を継続していた。しかも、両艦隊の艦艇の大半は、促成されたばかりの若い艦長らによって操られており、正直、モラルブレイクを起こして潰走していないのが不思議なくらいだった。

(大したものだ。あれだけの損害を受けてもなお、崩れないとは。
 もうどんなヴェテランも、彼らを“粗製乱造”だの“雑木林”だのとは呼べんな)

 谷が率いる第二艦隊も、艦隊司令部も戦隊司令部も置かれていない点では他艦隊と同様だったが、実戦経験を有する艦長が多く、地球艦隊では唯一柔軟な機動運用が可能な艦隊と目されていた。その結果、文句のつけようのない練度を有するガミラス増援艦隊と共に、数少ない機動予備戦力として先程から戦場を駆け回っていたのである。
 これに対して、第二艦隊以外の地球艦隊は、短期養成故の練度・経験の不足と作戦能力の低さから、隊列をほぼ固定しての砲雷撃戦しか実質的に取り得る戦術がなかった。当然、自らの機動を捨て去ることで砲雷撃の命中率は向上するが、それは撃ってくる敵にとっても同様だった。
 実は白色彗星本隊の襲来まで、この点が部内で問題視されることは殆どなかった。波動砲艦隊構想においては、必殺の波動砲戦で一気に決着をつけることが基本中の基本であったし、仮に波動砲戦後に通常の砲雷撃戦が生起することがあっても、彼らには波動防壁という鉄壁の防御システムがあったからだ。
 たとえ練度や作戦遂行能力が低くとも、絶対的な安全が保障されたエリアから一方的に砲火を浴びせるだけならば、実行上は何の問題もない。
 だが、地球側のそうした目論見は、土星沖での緒戦において脆くも瓦解する。ガトランティス軍が新たに投入した大型刺突式兵器――イーターⅠ――は、波動防壁中和・侵蝕機能を有しており、D級の波動防壁すら容易に貫いたからだ。
 最大規模での統制波動砲戦を白色彗星に無効化されたことが地球艦隊にとって戦略級の衝撃であったとするならば、イーターⅠによる波動防壁突破は戦術級の衝撃だったと言えるだろう。
 結果、地球艦隊は古代ギリシャ重装歩兵のファランクスを思わせる密集隊形で果敢に砲撃戦を挑んだものの、緒戦から損害が続出することになった。イーターⅠは高速な上に、前方投影面積も小さく、迎撃阻止が極めて困難だったからだ。
 事実、現在に至るまで火星沖での地球艦隊の損害の殆どはイーターⅠと対消滅ミサイル、そしてカラクルム級の――

「っ!?第二八戦区のカラクルム級群、連結砲撃の兆候!」
「重力子スプレッドは!?」
「エネルギー充填中!残り46秒!!」
「二八戦区のカラクルム級を優先ターゲットγと認定、火力を集中しろ!撃たせるな!!」
「カラクルム発砲!!――第二二、三〇、八四戦隊消滅!!」
「くっ!後続の戦隊は?」
「二〇二及び二〇三戦隊が八分前に合流したばかりです」
「両戦隊に前進を命じろ!穴を塞げ!!絶対に突破させるな!!」
「第五、一八、一九、二四、二七戦隊、いずれも魚雷・ミサイルを全射耗。
 後退と補給を要請しています」
「許可できない。砲撃での戦闘継続を命じろ」

 ダメだ。ヴェテランも若い連中も歯を食いしばって頑張ってはいるが、このままでは艦も人間も参ってしまう。どれほど時間断層からの増援が後方から加わっても、元から戦っている連中を後方に下げられない以上、艦と乗員の疲労は蓄積される一方だ。遠からず限界がくる。
 しかし――。

(俺たちは山南が戻ってくるまで、絶対に崩れる訳にはいかん。
 山南、俺が総旗艦の艦長にお前を推したのは、お前の経験と技量、見識を見込んだからだ。
 何も遠慮することはない。俺たちの肩を踏み台にして思い切り飛び込め)

 そんな後輩への心の声を、この世の者ならざる誰かが聞き届けたのかもしれない。

「アンドロメダより入電!!」

 通信士が叫ぶようにして入電を告げた。その声は紛れもない喜色に染まっている。

「読め」
「宛、アルデバラン艦長。発、アンドロメダ艦長。
 本文、我之ヨリ戦闘ニ加入ス。今暫クノ健闘アレ。以上!」

 ――彼らが来たのだ。
 谷は一瞬だけ瞑目した後、艦長席から立ち上がり、眦を決して叫んだ。

「本宙域にある全ての地球・ガミラス艦艇に第一級優先通信!
 全艦にオート・スペシャルを許可!撃ち尽くして構わん!
 一隻でも多くのガトランティス艦をこちらに引きつける!!」

 その瞬間こそが、後に『ヤマト奪還作戦』や『第三次火星沖海戦』と呼ばれることになる地球・ガミラス連合艦隊の死戦の始まりだった。彼らはその後、実に総戦力の八割を喪いつつも、ヤマトとアンドロメダ、そして銀河が白色彗星内から脱出するまで、見事戦線を維持し続けたのである。
 そして、地球沖――



「挺身艦隊、全艦ワープ開始!!目標、白色彗星内部、都市帝国直上 五〇〇〇!!」

 山南の号令一下、ヤマトカラーに彩られたアンドロメダとアンドロメダ・ブラックの群が、漆黒の虚空に向かって一斉に突進を開始する。次の瞬間、目前の宇宙空間が眩い閃光に包まれるのを山南は見た。

 防人を乗せて艦は征く。
 それは希望の艦。
 土星沖での敗北と大損害から、不死鳥のように甦った復活の艦。
 その艦を見送り、迎え入れる人々の祈りと願いと共に、今、防人は再び火星沖へと――。

――fin


(注)文中の『時間断層工廠』及び『工廠長』という表記は、2202の公式設定であればそれぞれ『時間断層工場』『工場長』と表記するのが正しいのですが、個人的な好みで文中の表現としました。



まずは本作に素晴らしい挿絵CGを御提供下さいましたHARUさんに厚く御礼申し上げます。
実は本作を書き出した頃に、丁度HARUさんが動画サイトに火星沖に向かって出撃する山南SPとアンドロメダブラック軍団の動画を公開されまして、それを一目見た時から、HARUさんに挿絵のお願いができないかと考えていました。
この度、思い切ってHARUさんに御相談しましたところ、快くお引き受けいただいたばかりか、更にオリジナル動画にはなかったドッグ内のCGまで新たにご用意いただきました。
お陰様で、私の味気ない文章にもこれ以上ない豪華な彩りを添えることができ、本当に感謝に堪えません。
ちなみに、私が一目惚れしたHARUさんのアンドロメダ動画はこちら↓です(^o^)

【妄想】アンドロメダ山南スペシャル出撃

さてさて、本文のタイトルが『第二次火星沖海戦外伝』となっているのは、この文章はそもそも本夏公開予定の『MMD第二次火星沖海戦』の原作エンディング用に書き始めたものだったからです。
ところが、2202第6章の影響で山南さんへの想い入れ(笑)が強くなり過ぎ、文章も長くなり過ぎたものですから、独立した外伝として公開することにしました。
山南さんパートは概ね満足すべき仕上がりになりましたが、後半の谷さんパートはやや蛇足が過ぎて冗長になってしまったのが反省点ですね。
とはいえ、自分なりに宇宙戦艦ヤマト2202について思っていたこと、感じていたことを目いっぱい詰め込むことができたので、その点ではとても満足しています。
満足と言えば、実は本作は本ブログの創作物では初めての『小説』風作品となりました。
“風”としているのは、私は小説の書き方をちゃんと勉強したことがない為です。
書き終わってみると『やっぱり難しかったなぁ』というのが正直なところですが、いつもの説明調の文章では描くことが難しいキャラクターの心情を描くことができたのは面白かったです。
また機会があればやってみたいと思います。

さてさて、ではまたここから第二次火星沖海戦原作の方に戻ります。
本夏の公開までもう暫くお待たせしますが、引き続き宜しくお付き合い下さいませ(^o^)

宇宙戦艦ヤマト2199外伝 第二次火星沖海戦 予告編(今度こそ)

宇宙戦艦ヤマト2199外伝『第二次火星沖海戦』シリーズ

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本記事ではFGT2199さんと共同制作しました『MMD第二次火星沖海戦』を御紹介しています。
表題こそ第二次火星沖海戦ですが、実際はガミラス戦役の勃発から海戦後までを描く連作となっています。
構成はFGTさんの手によるMMD動画と私の文章(やや小説風のコラム)で、以下の一覧では動画を○印、文章を●印で示しています。


【本編】
●プロローグ:序章(開戦~第一次火星沖海戦)
○第一次火星沖海戦MMD
宇宙戦艦ヤマト2199外伝 第一次火星沖海戦【MMD杯ZERO参加動画】
●第一次火星沖海戦
●幕間(2019年7月末公開予定)
○第二次火星沖海戦MMD(2019年8月末公開予定)
●第二次火星沖海戦(2019年8月末公開予定)
●エピローグという名の外伝:火星沖2203

【予告編】
○予告1(MMD杯ZERO予告)
宇宙戦艦ヤマト2199外伝 第二次火星沖海戦【MMD杯ZERO予告動画】
○予告2(今度こそ)
宇宙戦艦ヤマト2199外伝 第二次火星沖海戦 予告編(今度こそ)
○予告3(最新)


【作品ポスター】

宇宙戦艦ヤマト2199外伝『幕間』

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【幕間】



 地球の総力を結集した一大決戦――火星沖海戦は無残なまでの敗北に終わった。地球には未だ建造中や改装中、慣熟訓練中の艦艇も存在したが、火星沖で一どきに失われた戦力を思えば、焼け石に水としか思えなかった。
 つまりそれは、宇宙レベルでいえば至近の地である火星にガミラス軍主力が展開し、地球本土へ直接侵攻を開始した場合、国連宇宙海軍にそれを食い止める実効的な手段は最早皆無であることを意味していた。
 しかし、ここでまたしても地球人が目を疑うような事態が発生する――火星沖海戦後、火星圏を制圧したと思われていたガミラス軍が撤退したのである。
 火星沖海戦序盤、空間障害物を利用した国連宇宙海軍の戦術は有効に機能し、ガミラス艦隊にかなりの損害を与えたものの、海戦後半に大規模なガ軍増援が戦闘加入したことで、海戦終了後もガミラス艦隊は未だ百隻以上の戦闘可能艦艇を保持していた。そしてそれだけの戦力があれば、制圧後の火星圏維持も容易であり、地球側の根拠地を接収するなどすれば、拠点構築にも困難はない筈であった。

 しかし――ガミラス軍は撤退した。

 当初、地球人たちはガ軍の撤退を何らかの欺瞞か次作戦に向けての予備行動ではないかと疑い、訝しんだ。しかし、いつまでも経ってもガ軍蠢動の兆候は確認できず、数週間が経過した後で、ようやく偵察用艦艇を火星圏に送り込むことを決定する。
 警戒に警戒を重ねて派遣された偵察艦は、監視用衛星などの ガミラスの“置き土産”こそ発見したものの、宙域にガ軍潜伏を疑わせるような兆候を全く見出すことができなかった。また偵察艦は、自軍の通信周波数帯において極めて微弱な通信波やレーザー信号を複数傍受していた。確認の結果、それらは海戦中、大きな損傷を受けて航行不能や通信不能に陥った国連宇宙海軍所属艦艇たちであり、その数は意外なほど多かった。更に、完全に破壊されたと信じられていたグラディウス・ステーションも一部の機能は未だ生きており、健在な部隊が存在していることも同時に確認されている。
 その報告に、国連統合軍司令部は久方ぶりに明るい空気に包まれ、宇宙海軍司令部に対して直ちに救援艦の派遣が命ぜられた。
 しかし、それでも疑問は残った――何故ヤツらは引き上げたんだ?

 その疑問に答えられる唯一の男――大ガミラス帝星国防軍第七五七空間機甲旅団長バルケ・シュルツ大佐にとって、その答はシンプル極まりないものだった。火星沖海戦における大佐の目的は、あくまで地球の機動戦力(主力艦隊)の殲滅であって、火星圏の制圧ではなかったからだ。
 第二四重空間機甲旅団という増援を得て大勝利を飾ったものの、重機甲旅団は当初の予定通り引き上げられ(一部は既に次の任地である小マゼランへの移動を開始していた)、以降の地球攻略は元から存在する第七五七空間機甲旅団のみで行わなければならなかった。そして、火星沖海戦で被った損害も決して小さくない七五七旅団にとって、火星圏の掌握はもちろん、事後の地球・月の攻略を目的とした大規模攻勢など、戦力的に全く不可能な状況だった。
 だが、そうした状況は海戦前から決定若しくは予想されていたものばかりであり、少なくとも大佐にとっては驚くような事態ではなかった。それどころか、現在の状況はシュルツ大佐と彼の幕僚団がデザインした大戦略そのものだった。
 開戦以来の地球の抵抗の激しさを思えば、どれほど強力な増援(重機甲旅団)であれ、それが短期間の限定的な派遣に留まる限り、大規模戦闘(決戦)には勝利できても、粘り強い攻略戦が必要な敵首都星の制圧は難しい。それならばむしろ、決戦における完全勝利を徹底的に追及、増援部隊を積極的に用いて敵機動戦力を根こそぎにすることで敵の継戦意欲を破砕し、降伏勧告を受諾させる――それが大佐らの描いた戦略構想であった。
 もちろん、制圧した火星圏に居座り、地球に対し軍事的プレッシャーをかけ続けた方が上記戦略にとって遥かに効果的であるのも間違いなかった。しかし方面軍からの増援が撤退した今、すり減らされた七五七旅団の戦力(稼働艦三十隻余)を火星と冥王星に二分するのは、あまりに危険であるとシュルツ大佐は判断した。
 そんな危険を冒さずとも、火星沖海戦の大勝利をバックに、地球に対して揺さぶりをかけつつ降伏勧告を行えば、艦隊戦力という最も効果的な抗戦手段を失った地球は容易に陥ちる――その筈であった。
 シュルツ大佐とその幕僚団によって築き上げられた戦略構想は極めて現実的且つ健全な判断から導きだされたもので、火星沖海戦の大勝利という戦術的成果も相まって、その実現性は非常に高かった。また、その実現性と確実性を更に高める為の“支作戦”が作戦参謀ヴォル・ヤレトラー少佐の主導で実行に移され、かなりの効果を挙げたことも地球に潜入中の工作員を通じて確認されていた。
 地球に本戦略を打ち破ることが可能な現実的方策は殆どなく、ガミラス――いや、シュルツ大佐は本戦争(戦闘ではない)にチェックメイトをかけたも同然と思われた。
 だが、完璧且つ完成直前と思われた大佐の戦略構想に思わぬところから待ったがかかる。敵からではない、他ならぬ彼らの上官――銀河方面軍作戦司令長官グレムト・ゲール少将からであった。



 ゲール少将は歓喜していた。
 長らく持て余し気味(殆ど存在を忘れるほど)だった重機甲旅団が、“自らの”完璧な作戦指導によって赫々たる戦果を挙げ、小マゼランへの転出に華を添えた。更に、自身が属する派閥の長であるゼーリック国家元帥からも直々にお褒めの言葉まで(『で、あるか』程度だが)賜った。これで、更に大きな戦果を挙げれば、本国への転属、いや栄転も夢ではない――少将の期待、いや野心は膨らむ一方だった。
 そんな折に七五七旅団より上げられた、帝星国務省を通じた地球に対する降伏勧告という意見具申は、少将を激怒させるに十分だった。少将が望んでいたのは、降伏という確かではあっても地味な実績よりも、自らの栄転に値する見た目に派手な戦果――つまり、激戦の結果としての敵首都星の直接占領だったからだ。
 具申に対する少将の返答は、それを目にしたシュルツ大佐が思わず『馬鹿な――』と絶句したとされるほど苛烈なものだった。

 曰く――既に敵軍は先の大敗北によって意気消沈、残存戦力も僅かである。即刻、敵首都星攻略作戦を発起せよ。降伏勧告など、栄光あるガミラス軍人が発案すべき戦策に非ず。ガーレ・デスラー。

 驚愕に打ちのめされたシュルツ大佐であったが、容易に引き下がることもできなかった。自身と幕僚団が築き上げた大戦略に絶対の自信があったことは勿論だが、純軍事的に地球の降伏が最早確実である以上、自らに忠誠を誓う部下たちの生命を危険に晒す必要性を全く認められなかったのである。
 さすがにそれは公には口にできないにしても、現実問題として彼の手元には攻勢に出られるだけの戦力がなかった。七五七旅団は地球の降伏勧告受諾という戦略目標達成のために手持ちのリソースを完全に使い切っており、ゲール少将の求める“即時の攻勢発起”には少なくとも方面軍からの何らかの支援は不可欠だった。
 シュルツ大佐は、まずは言を左右にして時間を稼ぎ、その間にゲール少将を翻意させるべく画策を図った。だが、本国への栄転への想いの強さ故か、少将を翻意させるのは容易ではなく、それどころか大佐が予想もしていなかった行動に出る。
 突如、シュルツ大佐に命令不服従の疑いがあるとして、方面軍司令部への召喚命令を発したのである。しかも、命令は大佐のみならず旅団の主要幕僚全員に及んでおり、最早その狙いは明白だった。
 シュルツ大佐が査問を受ける間、大佐の指揮権は停止され、旅団には旅団長代行が置かれることになる。ゲール少将はその代行者を意のままに操ることで、強引に攻勢を再開しようというのだ。
 シュルツ大佐は自らの読みの甘さに臍を噛んだが、既に正式な召喚命令が発令されている以上、抵抗の余地はなかった。彼に可能であったのは、一分一秒でも早く旅団の指揮権を取り戻すべく、旗艦シュバリエルで方面軍司令部に出頭し、命令違反の事実などない事を証明することだけであった。
 しかし太陽系――ガミラス人たちの言うところの『ゾル星系』――は、バラン星に設置された方面軍司令部までどれほど急いでも片道二ヶ月以上を要する辺境の地であり、その間に事態は大きく動くことになる。



「――陽電子衝撃砲?」
「はい、我々はショックカノンと呼んでいます」

 後に地球と全人類を救った英雄と称えられることになる沖田十三提督が、最初に“新兵器”の概要説明を受けた際、そんなやり取りが交わされたとされている。この場面は、後にガミラス戦争や火星沖海戦が映画化・ドラマ化される際には必ずインサートされており、一般にも広く知られたシーンと言えるだろう。ただ、多くの作品において、沖田提督はこのやり取りだけで新兵器の全てを理解したかのように描かれているが、実際の状況はかなり異なるらしい。
 開発技術者から一通りの概要説明を受けた後、宇宙物理学博士号すら有するこの歴戦の提督は、“新兵器”の構造、特性、制限、それらから導き出される現実的な運用方法に至るまでを長時間に渡り徹底的に技術者から聴取した。その様は、後に開発技術者の一人が『まるで試問か尋問のようだった』と述懐したほど容赦のないものであったが、同時に沖田提督の問いや指摘は極めて合理的且つ的確なもので、本ディスカッションを通じて、この新兵器に今後必要な改良点が浮き彫りになったと証言する技術者もいる程だ。

 陽電子衝撃砲――通称:ショックカノン

 後に地球防衛軍の主戦兵器の地位を獲得することになるこの新型艦載砲は、その名称からも明らかである通り、ガミラス軍の主戦兵器“陽電子ビーム砲”と基本的には同原理の兵器である。しかし、当時の地球の科学技術力では陽電子の生成はともかく、ガ軍の陽電子ビーム砲と同一の手法では十分な収束状態を実現することができなかった。結果、ガ軍よりも砲を大口径化してエネルギー量を稼ぎつつ、長大な砲身内で形成した電磁フィールドによってエネルギーを螺旋状に誘導、陽電子ビームが延伸する過程で更に収束率を向上させるという逆転の発想で、強引に射程と威力を引き上げていた。
 その点、新型砲は機構やサイズ、エネルギー効率等、純技術的な洗練度ではガミラスよりも数段“遅れた兵器”であったが、大口径化と長砲身化の効能はそれを補って余り有り、開発技術者も一発あたりの威力と射程においてはガミラス軍の陽電子ビームを凌駕すると太鼓判を押していた。
 だが、そうした強引な大威力化は他のスペックを犠牲にすることで達成されているのも事実であり、それ故の代償が存在した――それも、艦の死命を決しかねないほどの代償が。
 『陽電子衝撃砲』を成立させ得るエネルギー量はあまりに膨大で、機関を全力稼働させても発射に足るエネルギーの充填には分単位の時間が必要であった。テンポの速い空間戦闘における分単位とは最早永遠にも近く、他艦の支援なしでは自艦の安全を確保しつつ連続発射を実現するのは事実上不可能と考えられた。また、陽電子ビームの螺旋誘導に必要な砲身も極めて長大であり、艦艇への搭載は主艦体そのものを砲身化する単装の軸線砲でしか不可能であった。
 後に、開発技術者たちはこれらの問題点を様々な技術革新と画期的艦艇用機関――次元波動エンジン――の実用化によって解決することになるが、2193年時点においてそれらの問題点は、戦場で用兵家たちが運用の妙によって解決しなければならなかったのである。
 そして、この未だ実用段階とは言い難いウェポンシステムの運用を任されたのが、開戦時の天王星沖海戦で戦傷を負い、この度ようやく復帰したばかりの沖田十三提督であった。
 陽電子衝撃砲の試作砲は、まず金剛型宇宙戦艦最後の生き残りであるキリシマに搭載され、当初計画では数ヶ月間の実用テストの後、その結果をフィードバックした初期生産型が量産される予定であった。しかし、風雲急を告げる戦局はそれを許さず、キリシマでのテストを待たずして試作型をスケールダウンした増加試作品が急遽製作され、それらを装備した六隻の村雨型宇宙巡洋艦も沖田提督の指揮下に入ることが既に決定していた。

 火星沖での大敗北後、地球各国政府の足並みは大きく乱れた。
 地球にとって最後にして唯一の希望であった国連宇宙海軍は全滅し、遂に地球本土までもが侵略者の直接攻撃圏内に捉えられたことで恐怖に駆られた市民たちは、自国政府を激しく突き上げた。それに耐え切れず、非常任理事国を含む幾つかの国家が、国連で早期講和を唱え始めたのである。
 未だ抗戦を諦めていない国家や人々――徹底抗戦派――からすれば、それは平和の美名を騙った紛れもない裏切り行為であったが、民主主義下においては許容された政治行為であり、民意の表明ではあった。
 そして徹底抗戦派が最も憂慮したのが、早期講和派が公然化したことで、未だ徹底抗戦を明言している国家においても、国内に講和派が台頭してくることであった。もしそんな状況になってしまえば、国連及び常任理事国の強い指導で辛うじて維持されている地球規模の挙国一致体制は瓦解し、現状の劣勢が更に悪化するのは確実だったからだ。
 事実、各国での世論調査の結果は講和派が急速に台頭しつつあることを示しており、徹底抗戦派の懸念は決して根拠のないものではなかった。
 その点、こうした地球国家内での足並みの乱れは、ほぼはシュルツ大佐の狙い通りに進展していたと言えるだろう。しかも、地球攻略に向けて明快な大戦略を掲げたこの老獪なザルツ人大佐は、惹起した地球の混乱を更に拡大すべく次なる一手まで打っていた。



 2193年4月12日、灼熱の火球と化した直径百メートル大の微惑星が地球に落下――後に『遊星爆弾』として怖れられることになる星間戦略爆撃の初弾である。
 “爆弾”とはいえ、その実態はエッジワース・カイパーベルト天体に属する微惑星に、重金属充填による質量調整と耐熱用の簡易な表面処理を施しただけのもので、後の同種兵器のような生物兵器化――環境改造用植物の“種”が埋め込まれ、地球衝突後に飛散・発芽・胞子拡散する――は行われていなかった。また、爆撃が本格化する2194年以降のそれと比べれば比較的規模も小型であったが、それでもその威力は戦略級の熱核兵器にも匹敵した。
 作戦参謀ヴォル・ヤレトラー少佐から、自然物を利用したこのロー・コスト兵器の上申を受けたシュルツ大佐は火星沖決戦後の“とどめ”として本兵器の採用と投入を決定、地球側の監視・警戒網が火星に向けて出撃するガミラス艦隊(七五七旅団)に引きつけられている間隙を突いて放出を果たしていたのである。
 2193年当時、冥王星前線基地には未だ超大型陽電子ビーム砲『反射衛星砲』は設置されておらず、遊星爆弾第一号の初期加速は簡易なブースターによって行われた。更に、地球とのコリジョンコース設定も極めて慎重に行われた結果、地球圏への到達まで二ヶ月以上を要した
 しかし、その間に行われた火星沖海戦と、その大敗による混乱から脱しきれていなかった国連宇宙海軍による察知は遅れに遅れ、気がついた時には遊星爆弾は既に木星軌道を通過していた。更に火星沖海戦で有力な機動戦力の大半を失っていた地球に有効な邀撃手段は残されておらず、国連軍による地球―月軌道での懸命の迎撃も空しく、遊星爆弾は地球への落着を果たす。
 当初、遊星爆弾の落下地点はアメリカ合衆国ヴァージニア州と予測されていたが、国連軍の迎撃によって軌道が大きく変化し、結果的に爆弾が落下したのは遥か極東――日本国高知県南部――であった。
 四国山地に属する山々とそれに源を発する多数の清流、それらが育んだ豊かな自然に彩られた古の土佐国は、この一弾によって無残に、そして完全に破壊された。破壊の一部は地殻を貫いてマントルにまで達しており、その後も長きに渡って深刻な地殻異常を引き起こすことになる。
 遊星爆弾落着の事実とその光景は、発生した事象があまりに巨大であった為に報道管制など全く無意味であり、肉眼で本事象――真っ赤に灼けた巨大隕石が落下し、地上が眩い閃光に包まれる――を目撃した者の数は実に数百万人にも達した。更にネットワーク・インフラが発達した日本国内に落下したことも災いし、各種ネットワークを介した中継によって、世界中で数十億もの人々がほぼリアルタイムでこの凄惨な光景を目撃することになった。
 当初、国連及び各国政府はこの事件を不運な隕石落下――つまりは自然現象と発表したが、それを信じるものは極僅かであり、多くの者が抗戦中の異星人の仕業であると確信していた。そしてその確信は、ガ軍に対する凄まじいばかりの恐怖へと容易に直結した。なぜなら彼らが敵に回した異星人は、軍人も民間人も関係なく数十万人を虐殺してしまうような無差別大量破壊兵器を――それも、現在の地球の科学軍事力では阻止困難な兵器を――平然と使用するような連中なのだ。
 結果、強大且つ非道な敵に対する恐怖と、それに対してあまりに無力な国連や各国政府、軍への不信から、多くの市民が当時台頭しつつあった講和派へと流れることになる。彼らの多くが、開戦前には異星人の撃退を強く主張していたことを思えば、“変節”と評しても良い世論の変化だった。
 徹底抗戦派の分析では、火星沖海戦の敗北発表後も民意は未だ七対三で抗戦派が優勢だったが、遊星爆弾の落下によってその比率は遂に六対四を切り、三ヶ月以内に民意は完全に逆転すると予想された。更に、この予想は現状で戦況が固定された場合のもので、更なるガミラス軍の攻勢や微惑星爆撃が実施された場合には、抗戦派と講和派の形勢は完全に逆転するとも考えられていた。
 三ヶ月以内の反攻作戦――『カ2号作戦』――は、こうした戦略環境を受けて未だ徹底抗戦派が多数を占める国連宇宙防衛委員会で急遽決定された。
 だが、決定こそ下されたものの、状況は最悪の一言に尽きた。
 火星沖で機動戦力の大半を失ったことに加え、遊星爆弾の落下により各国政府の足並みの乱れは各国軍にまで及んでおり、国連統合軍に派遣した部隊の引き上げや、指揮系統からの離脱が相次いだからだ。
 その為、反攻作戦は“政治的に信頼がおける国”の軍を主体にせざるを得ず、元より乏しい残存戦力を更に低下させることになった。しかも、これまで国連宇宙海軍の主力の地位を占めていた米・中軍は既に壊滅状態であった為、結果的に反攻作戦は比較的まとまった戦力を残していた日本国航宙自衛隊が主力とされた。
 だがこの時、陸・海・空・宙の各自衛隊は遊星爆弾直撃による大被害への対応に忙殺されており、それは反攻作戦主力に任じられた航宙自衛隊すら例外ではなかった。現在も継続中の救難・救援活動からどうしても引き抜くことができない艦艇や隊員も少なくなかったのである。
 結果、宙自単独では不足する戦力を補填する為に、国連宇宙軍を介した調整によって数ヶ国からの増援が加えられることになった。しかし当初は、編成が多国籍化することで指揮命令系統に不安が生じると宙自上層部が難色を示し、事実、日本隣国からの艦隊参加表明が“歴史”に係る厄介な政治問題を引き起こすという一幕もあった。
 幸い、本作戦の編成主体である国連統合軍が馬鹿げた面倒を嫌った為、200年以上前の歴史を盾に非常識極まりない要求――艦隊指揮官は日本人以外とする、自国艦艇の指揮権の独立、連絡将校の受け入れ拒否――を送りつけてきた隣国に対しては、統合軍が簡潔且つ辛辣に艦隊参加を拒絶している。
 曰く――貴国艦艇の能力・練度・士気、いずれにおいても本作戦への参加に能わず――と。
 本顛末の唯一の救いは、半ば面罵するような国連統合軍の回答(意図的に一般にもリークされた)が各国にも広く知れ渡ったことで、生半可な覚悟と練度と装備では本作戦参加を表明することができなくなり、各国精鋭のみを集成した艦隊編成が可能になったことだけだった。

 こうして、多少の軋轢こそ発生したものの、なんとか編成を完結した地球艦隊の指揮官には、戦傷から回復したばかりの沖田十三提督に白羽の矢が立てられた。
 しかし軍務局は、開戦時の攻撃命令を拒絶して解任された沖田提督の指揮官就任に強く反対し、冥王星からの撤退戦で活躍した土方宙将(当時は航宙軍士官候補生学校長に就いていた)を推した。だが、他ならぬ土方宙将本人から頑として固辞された結果、渋々ながら沖田提督の就任を了承している。
 反攻作戦決定後、慌ただしく招集された『カ2号作戦』準備会議には、作戦参加予定部隊の艦長以上の指揮官、新型砲搭載艦の砲雷長、航空隊幹部、そして沖田提督の強い要請で多数のオブザーバーが招かれており、その中には火星沖海戦で奮戦した突撃宇宙駆逐艦ヒビキ艦長の姿もあった。



 ヒビキは海戦序盤においてガミラス艦二隻に大きな損傷を与えたものの、ガ軍重機甲旅団の戦闘加入後はデブリゾーンに立てこもっての耐久を強いられた。そして海戦最終盤、ヒビキは盾にしていたデブリごとガミラス軍の陽電子ビームに射抜かれてしまう――だが、彼女は沈まなかった。
 こと防御においては脆弱極まりない突撃駆逐艦の被弾は即轟沈に繋がるケースが多いにもかかわらず、彼女が生き残ることができたのには、幾つかの幸運と必然が作用していた。
 一つ目の幸運は、あまりに激しいガミラス艦隊の砲撃に、最早被弾は避けられないと判断した艦長の命令で残存魚雷と実体弾の全投棄、機関も完全停止の上、総員でのダメコン準備が発令されていたことだった。ヒビキの被弾は、それら全ての命令履行が確認された直後のことで、結果、誘爆などの二次被害を免れた彼女は一撃で爆沈するという最悪の事態を避けられたのである。
 とはいえ、ガミラス艦の陽電子ビームは極めて強力であり、ヒビキは機関を完全に破壊された上に全電源も喪失、デブリゾーンの中を殆ど残骸のような姿で漂流することになった。
 そして彼女の二つ目の幸運は、漂流の過程で他艦が仮泊地としていた大型デブリに接触できたことであった。元々そのデブリを仮泊地にしていた駆逐艦の消息は不明であったが(後に撃沈が確認された)、残されていた資材や消耗品を活用することで、ヒビキとその乗員たちは電源と通信機能を回復すると共に、救難艦の到着まで何とか生き延びることができたのである。
 艦長以下乗員たちは大破したヒビキを何とか地球まで曳航し、修復しようと四苦八苦していたところを、艦長のみが急遽作戦準備会議に招聘され、不承不承この会議に加わっていた。
 会議では、火星沖海戦時のヒビキのガン・カメラ映像が映し出され、艦長はその際の戦術状況を手始めに、自らが採った戦術意図と実施における過程と結果の説明を細部に渡って求められた。更に、彼女の説明に対しても沖田、土方両提督を筆頭に多数の質問が次々に浴びせられ、そのあまりの執拗さに、ヒビキ艦長が内心で辟易した程だった。
 ようやくヒビキ艦長に対する質疑応答が終わると、今度は海戦後の火星沖で回収されたガミラス艦の装甲板が会議室に持ち込まれ、南部重工から出向中の素材技術者がその特性と破損状況の報告を行った。



 火星沖海戦以前の戦いでは、いずれも戦闘後の戦場の支配権はガミラス軍が掌握しており、国連統合軍はガ軍艦艇の残骸や遺棄物資を回収することができなかった。しかし、火星沖海戦後にガミラス軍が火星圏から撤退したことで、初めてガ軍艦艇から脱落した部品や装甲板を回収することができた。回収物の解析は未だ緒に就いたばかりであったが、それでもこれまで完全な謎に包まれていたガ軍艦艇の防御上の特性が幾つも明らかにされていたのである。
 最後に、艦隊砲術参謀がヒビキ艦長と素材技術者の報告を総括し、以下のように結論を取りまとめた。

 ・高圧増幅光線砲単独では、至近且つ同一箇所に集中して命中させない限り、ガミラス艦艇の装甲は射貫不可能
 ・ガミラス艦艇は、装甲表面に特殊なコーティングを施し、装甲強度と耐弾性を著しく高めている
 ・件のコーティングは、光線砲でも連続して命中させることで剥離が可能
 ・コーティング剥離後の装甲に対しては、光線砲よりも空間魚雷や高初速実体弾の直撃が有効

 その報告に、会議室内は大きくどよめいた。これまで、よほどの僥倖に恵まれない限り、ダメージを与えられないと考えられていたガ軍艦艇の具体的且つ実戦的な撃破方法が初めて示されたからである。
 それを端的に述べれば――攻撃艦は攻撃目標のガ軍艦艇に肉薄しつつ、高圧増幅光線砲の集中射撃にてガ軍艦艇の耐弾コーディングを除去、そこへ至近距離からピンポイントで対艦砲か空間魚雷を撃ち込む――というものであった。
 開戦後、光線砲のあまりの威力不足から、ガ軍艦艇への攻撃は空間魚雷が主となっており、更に肉薄時にできるだけ自艦の存在と位置を秘匿する為、光線砲の砲撃は一層控えられる傾向にあったことを思えば、大きな戦術の転換と言えた。
 攻撃の成功にはこれまで通り敵艦への肉薄が不可欠であり、砲撃による自位置と存在の暴露で攻撃難度は上がるが、敵艦にダメージを与えられる確度も飛躍的に向上するのは間違いなく、戦術の変更を指示された巡洋艦や駆逐艦の艦長たちの顔はいずれも明るかった。
 そして更に、事前に沖田提督とショックカノン搭載艦の幹部にのみ開示されていた新型砲――ショックカノン――の存在が会議参加者に明らかにされたことで、作戦準備会議の雰囲気は目に見えて変化し始めていた。

 ――これならば、勝てるかもしれない。

 そこにあったのは、長らく忘れていた勝利の予感であり、感触だった。ほぼ無敵と思われたガミラス艦艇を撃破可能な戦術と新兵器の存在はそれ程のインパクトを持っていた。
 彼らの大半は、これまでの戦いで多くの仲間――上官や部下、同期――を喪っており、中には四国南部への遊星爆弾落下によって肉親や友人まで亡くした者もいる。いずれの会議参加者も表面上はヴェテラン軍人そのものという冷静さを維持していたものの、そのぎらつくような瞳の輝きは、復仇の機会を渇望し、それを目前にした者に特有のそれであった。
 だが、そうした会議室の空気を一人の男が変えた。
 その男――土方竜宙将は沖田提督から発言の許可を得ると立ち上がった。その眼光は指揮下の艦隊乗員や候補生たちから奉られた“鬼竜”という異名そのままに、どこまでも鋭い。
 彼もまたオブサーバーとして会議に参加していたが、本作戦の立案にあたり、旧友である沖田提督に強く請われ、実質的には作戦参謀としての役割を担っているという専らの噂であった。
 彼は、その噂を自ら肯定するように会議出席者を睥睨しつつこう言い放った。

「諸君らには今一度思い出してもらいたい。
 火星沖でも、我々は勝利を確信した。
 しかしその確信は、敵の増援投入によって粉微塵に打ち砕かれた。
 ――今回も同じだ。
 我々の勝機は、数が限られ、未だ不完全な新兵器と、危険極まりない肉薄戦術にしかない。
 それらの優位はあまりに脆弱であり、圧倒的に優勢な敵軍はそれを容易に覆し得る――それを絶対に忘れてはならない」

 醸成されつつあった興奮と熱気が消え、再び水を打ったように静まり返った会議室に土方宙将の声だけが神託のように響く。
 だが、彼の“役割”は会議出席者の楽観を引き締めることだけではなかった。むしろ、ここからが本題だった。



「我々は火星沖で敗れた。だが、我々にはまだ戦う力が――新たな力がある。
 そして、敵はまだ“それ”を知らない。
 今次作戦『カ2号』はその奇襲効果を最大限に利用する」

 宿将の瞳に込められた決意の強さに、会議参加者全員が威儀を正して彼の次なる言葉を待った。だが、続いて彼の口から語られた作戦構想は、あまりに破天荒なものであった――。



「本当によかったのか、これで」
「ああ。この役は今の俺にしかできん。こんな綱渡りのような作戦を完遂するには、艦隊全員がお前の命令に従って一糸乱れずに行動する必要がある。
 その為には、非情な作戦を立案し、押し付ける汚れ役が必要だ。そんな役は、安全な後方で教師の真似事をしているような男にしか務まらん。
 ――気に病む必要などない。もしお前と俺の立場が逆なら、お前はどうした?」
「すまんな。しかし・・・・・・安田君は全て気づいていたようだが」
「あぁ、奴とは付き合いが長い。目端も利く。だから一番危険な任務を任せた」
「彼は分っているよ。それがお前の信頼の証だということを」
「そうだな・・・・・・」

 既に会議が散会して十五分が経過していた。会議参加者の大半は退室し、残っているのは何らかの打合せをしている者たちだけだ。
 沖田の視線が出口に向かう一人の士官を捉えた。土方もつられるようにそちらを見る。
 艦長用制服に身を包んだ若手士官――腕章には『TERUZUKI』とある――は二人の視線に気がつくと立ち止まり、ピシリと敬礼をささげた。その瞳には、上官に向けた敬意というだけでは説明できない真摯さと親しみがある。
 沖田と土方が揃って答礼を返すと、士官は待たせていた副長を連れて足早に立ち去った。その後ろ姿をじっと凝視している親友の姿に、土方は微かな羨望と共に、消しようのない胸の痛みを覚えた。
 だが、今の彼にその痛みを吐露することは許されない。だからこそ、彼は言った。

「――沖田、生きて帰ってこい。どんなことがあっても、必ずだ」



 そんな同期二人を遠くから眺めている別の二人がいる。世代こそ違うが、彼らもまた同期だった。

「親父ドノたちの苦労は絶えん、ってところか」

 どこか諧謔を感じさせる口調のテンリュウ艦長 安田俊太郎二佐に、キリシマ艦長 山南修二佐が噛みついた。

「バカ野郎。どう考えても、この作戦で一番苦労するのは貴様だろうが。
 自分から貧乏クジを引きやがって。」

 普段のシニカルな物言いを好む山南を知る者からすると、その口調は随分と荒々しく感じられたが、そこは勝手知ったる同期の仲、安田の返答も慣れたものだった。

「任せておけよ。こういう役は得意だ。知っているだろ?
 貴様に乗せられた俺が、何度女の子に声をかけて、何度貴様の前まで引っ張ってきたことか」
「ふん、率は精々四分六だったがな――」
「それを言うな。それに、俺の引いたクジなんてまだまだ序の口さ。
 増援で送り込まれる航空隊には、訓練中の学生までいるって話だ」
「本当か?それは」

 山南は目を剥くと同時に慄然とした。
 ――俺たちは、本来は守るべき半人前の子供たちまで動員してこの戦争を継続してようとしているのか?

「なんでも一人は、教官すら叩き落すような凄腕らしいが・・・・・・」

 そう続ける安田も釈然としないのは同様らしい。しかし、一艦を預かる指揮官として、既に動き始めた作戦に対する批判は厳に慎まなければならない。
 山南は内心の屈託を断ち切るように、両手で制帽を被り直した。

「しかし尾崎のこともある。貴様も気をつけろ。
 で・・・・・・あいつの容態は?」
「こっちに来る前に軍病院に寄ったが、まだ意識が戻らん。ここ二、三日がヤマらしい」
「・・・・・・そうか」

 先の火星沖海戦では、彼らのもう一人の宇宙防衛大学同期である尾崎徹太郎二佐が重傷を負っている。
 尾崎は、キリシマと同じ金剛型のネームシップ『コンゴウ』の艦長を務めていたが、海戦終盤のガミラス軍の攻勢――メルトリア級を主力とした突破戦闘――に浮足立つ友軍を後目に孤軍奮闘、複数艦での近距離集中砲撃によってガミラス艦数隻に無視できない損害を与えていた。



 しかし、海戦の帰趨を覆すことは叶わず、最後まで奮戦したコンゴウもまた激しく損傷し、遂には総員退艦命令が発せられるに至る。艦長の尾崎は艦内に取り残された乗員がいないかを確認していた際、発生した爆発に巻き込まれ重傷を負ったという。幸い、他の乗員たちによって救助された彼は急ぎ地球に後送されたものの、未だその意識は戻っていない。
 せめて俺が、俺のキリシマが参戦していれば――山南の心中にはそんな忸怩たる想いがある。もちろん、内惑星戦争以来の豊富な実戦経験を有する彼は、いくら期待の新型砲を装備したキリシマといえど、たった一隻であの戦いをひっくり返せたとは毛ほども思っていない。しかしそれでも、キリシマの参戦によって一人でも多くの戦友を、一隻でも多くの友軍を救えたのではないかという想いを抱かずにはいられないのだ。
 その点、彼はこの過酷極まりない戦況の中にあっても、未だ指揮官としての責任と人間としての優しさ、良識を維持している漢だった。
 とはいえ、そんな彼の内心にも消しようのない怒りがある。だが、その怒りは敵軍に対してよりも、寧ろ自らと友軍――その上層部――に向けられたものだった。

 確かに地球艦隊の戦力は、個艦レベルで敵に対して圧倒的に劣勢だ。だが、全く無力という訳ではない。
 火星沖海戦では、その格差を少しでも縮めるべく、大規模な空間障害を設置するなど、局所的な戦術上の優位を獲得すべく様々な努力が払われた。更に、文字通り『根こそぎ』というレベルで全地球圏から艦隊戦力が抽出され、敵に数倍する戦力が揃えられていた。

 だが――本当にそれだけで十分だったのか?艦隊や司令部のお偉方は、本当に最善を尽くしたと言えるのか?

 世界中からかき集められた戦力にしても、もっと有効な運用が可能だったのではないのか?かき集めた物量に満足し、それを過信した結果、戦術面での工夫が徹底しなかったのではないのか?
 尾崎たちの奮戦と彼らが達成した戦果は、失敗に終わった冥王星救援作戦時に土方宙将が効果を証明した戦術によって成し遂げられたもので、他の地球艦隊でも十分に実践可能だった。だが、実際にはそうはならず、ガ軍の増援艦隊がデブリ・バリアーを突破した時点で地球艦隊は完全に動揺、その後は個艦単位の場当たり的な防御戦闘しか行うことができなかったという。
 せめて、戦隊単位の集中砲撃戦術が徹底できていれば、自らの損害はともかく、敵軍に更なる出血を強いることができていたかもしれない。そこに俺のキリシマが加わっていれば、あるいは――。

「――山南、お前の悪いクセだ。何でもかんでも一人で抱え込むな」

 不意に肩を小突かれ我に返ると、先程までとは対照的な表情を浮かべた安田が山南を見据えていた。

「確かに俺たちは艦を預かる指揮官だ。だが、俺たちだけで艦を背負っている訳じゃない。
 幹部も乗員も、若手もヴェテランも、皆それぞれ艦を背負っているという気概を持っている。
 責任とは違う。心構え、気構えみたいなものさ。
 俺たちの上には、沖田さんや土方さんだっている。
 艦も艦隊も、この戦争だって同じことさ。どれもこれも個人が背負いきれるほど軽くはないんだ。
 だから――皆で背負う、それぞれの役割に対し皆で最善を尽くす。そうしなければ、こんな地獄みたいな戦争を戦い抜けやしない」
「――安田」
「そんな顔するな。今のは全部、土方さんの受け売りさ。
 冥王星からの撤退戦で艦を喪った俺に、あの人はそう言ってくれたんだ」

 冥王星救援作戦時に土方宙将が座上していたのが、安田が艦長を務めていた金剛型『ヒエイ』だった。だが、そのヒエイも既に亡い。艦隊主力の撤退を成功させる為の殿(しんがり)として外惑星圏で果てたのだ。

(そうだな、何を思い上がっていたんだ、俺は。
 俺はキリシマ艦長として、己の本分と最善を尽くすだけだ)

 吹っ切れた気分で山南は拳を固めると、宇宙防衛大学時代と同じように安田の肩を小突き返した。

「――頼むぜ、安田。
 何としても俺たちの前まで敵を引っ張ってきてくれ。必ず俺が仕留めてやる。
 むざむざとお前らを殺らせはしない」
「あぁ、昔っからお前の“腕”は信用してるさ。頼まれたよ。――それに、だ」
「なんだ?」
「お前のフネは作戦の要(カナメ)だ。危なくなったら俺たちが守ってやるよ」

 そう言ってニンマリと笑う安田に山南も苦笑を禁じ得なかった。

「ぬかせ。こっちは自分の背中くらい自分で守れる。お前こそさっさと逃げないと、敵と一緒にぶっ飛ばしちまうぞ」



 よぉー古代――そんな懐かしい呼びかけに古代守三尉が振り返ると、宇宙防衛大学時代の先輩である嶋津冴子一尉――突撃駆逐艦ヒビキ艦長――がひらひらと手を振りながら歩み寄ってくるところだった。
 古代は、防衛大学の生ける伝説とも称されているこの女性士官の在学中、随分と目をかけてもらっていた(もっともその大半は、悪事発覚時の連帯責任担当だったが――)。

「今度はキリシマの“砲雷長”に大抜擢だって?とんだ大出世じゃないか」
「違いますよ、センパイ。“砲術長”です。公には存在しない臨時役職。
 あだ名みたいなものですよ。正式には“艦長付砲術士”。
 あー、ホンモノの砲雷長は艦長兼任です。
 自分は――例の新兵器の速成教育を受けていますので」
「あれか・・・・・・。で、実際のところどうだ、使えそうか?」
「まだ何とも。
 教育と言っても座学ばかりで、まだフルキャパでの実射すら行っていませんからね」
「そうか。しかし、残り少ない戦艦の艦長が砲雷長兼任とは、そりゃまた手荒い話だな・・・・・・」

 見かけだけなら、国連宇宙軍でもトップ3に入ると評判の嶋津の美貌が僅かに曇る。
 今や数隻しか残存していない戦艦クラスの科長が艦長兼任とは、宙自の人材枯渇もいよいよ深刻らしい――そんな嶋津の内心に気がついたのか、古代は努めて明るく言った。

「上官の数が少ないってのも悪くはないですよ。まぁ、風通しが良い分、カミナリもいきなり初弾命中ですが」
「違いない。
 古代、『若おんじ』だの『“修”徳太子』だの、あだ名の印象に騙されるなよ。
 そりゃあくまで『鬼竜』と比べての話だ。あのオヤジどもときたら――」
「――知ってます」

 そう答えた時の古代の何とも言えない表情に、今度は嶋津が吹き出す番だった。
 恐らく沖田提督謹製『説教後の無言酒盛り(地べた胡坐&差し&エンドレス)』や、山南艦長の反省会の名を借りた英国式茶会(極めて個性的な茶葉蘊蓄と戦術談義が磯風型の速射光線砲のような勢いで繰り出される独演会)にも招かれているに違いない。彼女自身、その洗礼を受けた経験があった――痛いほど。
 しばらく二人して肩を震わせて笑った後、古代は少しだけ真顔に戻って言った。

「ところで・・・・・・ヒビキは復帰できそうなんですか?随分と酷いようですが」
「ん、さすがに――今回の作戦には間に合わないな。
 だが、次のドンパチが始まるまでに、何とかこっちで曳船を見つけて月まで引っ張って帰るよ。今頃、副長がその段取りをつけている筈だ」
「さすがは石津教官」
「副長を知っているのか?」
「ええ、乗艦実習の際にお世話になりました」

 宇宙防衛大学の乗艦実習で乗り込んだ突撃駆逐艦“アラシ”で、古代らの指導を担当したのが現ヒビキ副長の石津英二だった。決して口数の多い教官ではなかったが、宙雷屋らしい実直な態度と誠実な姿勢で学生たちの尊敬を集めていた。

『古代学生、中々宜しい。しかし戦場は生き物だ。それを忘れず、常に臨機応変にな』

 最後の実技指導の際、そう言って肩を強く叩いてくれた事を今でもよく覚えている。

「――そうだったか。かく言うわたしは今でも世話になりっぱなしさ。
 さすがは商船学校出の叩き上げだよ。あの交渉術にはどうしたって敵わない」

 この時、月面で曳船探しに奔走していた石津が派手なクシャミをしていたかは定かではない。

 語ることも尽き、暫し沈黙が二人を包んだ。

「・・・・・・古代、何があっても絶対に生きて帰るんだぞ。
 無事に帰ったら、今度こそ宙自駆逐艦乗りの精髄を叩き込んでやる――とでも言うべきなんだろうが、そんなのガラじゃないしな。
 とにかくお前は弟――進のことだけを考えろ。結局はそれが一番の御守になる」
「ありがとうございます。センパイも御無事で」

 そんな言葉と敬礼を交し合い、二人は分かれた。
 既に苛烈な実戦を経験している二人は、自分たちが口にした最後の言葉がどれほど難しいことか、よく分っていた。



●カ2号作戦参加戦力(日本国航宙自衛隊 第二空間護衛隊群を基幹に各国増援を加えた混成艦隊)
2193年5月時編成(※は隊旗艦)
〇主隊(沖田十三宙将直率)
・金剛型宇宙戦艦1(キリシマ※)
・村雨型宇宙巡洋艦6(トネ,ツクバ,ノシロ,スズヤ,イヅモ,カトリ)

〇直衛隊(隊司令:水谷信之三佐)
・磯風型突撃宇宙駆逐艦8
 (フユヅキ※,ユキカゼ,テルヅキ,ユウヅキ,アキグモ,イカヅチ,アラシ,ナミカゼ)

〇支援隊(隊司令:安田俊太郎二佐)
・村雨型宇宙巡洋艦4(テンリュウ※,ユウギリ,ユウバリ,ユリシーズ/英王立宇宙軍)
・磯風型突撃宇宙駆逐艦14
 (シキナミ,シマカゼ,カゲロウ,ユウグモ,オオナミ,カスミ
  アサグモ,ユウダチ,スズカゼ,ワカバ,アマギリ,サザナミ
  ナレースワン/タイ王国宇宙軍
  トルニオ/フィンランド宇宙軍)



――『第二次火星沖海戦』へ続く――



お待たせしました!!

~火星沖2203~から半年、当初の公開予定からも更に2ヵ月近く遅れてしまいましたが、『第二次火星沖海戦』の前日譚である『幕間』が遂に公開です。
この後、本日9時頃からニコニコ動画にてFGT2199さんによる最新予告も公開されます(^o^)
そしてそして、これらに続く『第二次火星沖海戦』の本編(MMD動画と原作文章)も、10月25日のMMD杯ZERO2の開催期間に合せて遂に公開です!!

いやー、ここまで本当に長かったです(^^;)
でも、それもあと一ヶ月かと思うと、少しばかり寂しくもなってきますね。

ブログの方をほったらかしにしている間に、2202の続編『宇宙戦艦ヤマト2205』が正式に告知されましたし、ヤマクル―の会報誌ではオリジナル版の復活篇前日譚(0章)たる『アクエリアス・アルゴリズム』の小説連載が予告されたりもしていました。

2199から心機一転して転がり始めたヤマトシリーズも、ここにきて更なる活況を呈し始めましたね(^o^)
我々ファンの二次創作も負けていられません♪

尚、この“幕間”では盟友EF12さんに快諾いただき、ヒビキ艦長にも顔出し(?)で登場いただきましたw
客演協力に快く応じていただきましたEF12さんには、改めて御礼申し上げますm(__)m

ではでは!一か月後の『第二次火星沖海戦』でお会いしましょう!!

宇宙戦艦ヤマト2199外伝 “第二次火星沖海戦” 前編

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宇宙戦艦ヤマト2199MMD外伝 第二次火星沖海戦

以下の文章は、ニコニコ動画MMD杯ZERO2に出品しました『宇宙戦艦ヤマト2199 MMD外伝“第二次火星沖海戦”』の原作にあたります。
一連の文章の設定は、アニメ『宇宙戦艦ヤマト2199』及び『宇宙戦艦ヤマト2202』に基づいていますが、公式設定では描かれていない部分や矛盾を感じる部分、特に個人的趣向を優先したい部分については独自設定を採用していますので、予めご了承下さい。
また、表現媒体の違い故に、上記のMMD動画とも多少設定・展開が異なる部分がありますことも、合せてご了承願います。



――2193年6月15日 火星沖
――国連宇宙海軍所属宇宙戦艦キリシマ(BBS-555)艦橋内

山南「敵の超弩級戦艦がいない・・・?こいつら囮か?それとも――」
電測手「後続の次元震反応なし。他のパッシブにも敵兆候なし」
沖田「探知継続。僅かな異変も見逃すな。通信長、GS(グラディウス・ステーション)からも緊急信はないか?」
通信長「ありません。第一報以降、続報は――支援隊テンリュウよりレーザー通信!
    “ 我ガ隊ノ長距離れーだーニ他ノ敵影ヲ認メズ。突撃マダカ ”です!」
山南「・・・・・・長官っ」

 支援隊――という名の実質的には陽動部隊を率いている安田は焦れている。当然だ、彼らだけが圧倒的に強大な敵に対して自らの姿を晒しているのだ。
 いや、焦っているのは安田だけじゃない。俺だってそうだ。できる限り平静を装ったつもりだったが、上官に呼びかけた声が僅かに上ずってしまった。
 内心の感情に耐えられなくなり、傍らに視線を向けると、そこにはいつもと同じ場所、同じ姿勢で仁王立ちする艦隊指揮官――沖田十三の姿がある。
 その姿はまるで、著名な名工が渾身の力で造り上げた一個の彫像のように、微動だにせぬまま、しかし凄まじい存在感を湛えてキリシマ艦橋中央部に屹立していた。その表情は目深に被られた制帽と豊かな白髭に包まれ、伺い知ることはできない。だが、その鋭い視線はモニター越しの敵艦隊から一瞬たりとも逸らされることはない。
 この老練な指揮官は、自分には見えないものが見えているのではないか――山南はしばしばそう思う時がある。同時に、そんな上官の姿を目にしているだけで、先程まで内心で荒れ狂っていた焦燥感がいつの間にか治まっていたことにも気づかされる。
 山南は、一時の感情に溺れかけていた自身を恥じた。

(まったく、どれだけ場数を踏めば、あんな風に泰然とできるんだ?
 指揮官、いや人間としての格の違いか?
 畜生、俺もまだまだ修行が足りない。“修”の名が泣くぜ)

沖田「――山南君」

 ほんの僅かな時間、物思いに耽っていた山南を我に返らせたのは、決意に満ちた沖田の声だった。その声だけで、山南は敬愛する上官が決断を下したことを悟った。

沖田「出現した敵艦隊を敵主力と判断する。全隊に命令、カ2号作戦発動!」

 深刻な戦傷から数年ぶりに復帰したばかりの男のものとは思えない気迫のこもった命令に、三十隻余りの艦隊が一斉に行動を開始する。

山南「本艦はこれより陽電子衝撃砲発射態勢へ移行する。」
沖田「GSへ近接航空支援即時待機を要請」
古代「陽電子衝撃砲、各部最終チェック開始。
   機関長、エネルギー充填開始は別途指示します。
   射撃管制をSCモードへ。通信長、主隊各艦とのデータリンク状況を確認願います」
通信長「リンク状況良好。統制射撃に問題なし」
山南「いいぞ、古代。その調子でいけ」
古代「はっ!」

 士気・練度共に高い部隊だけに、発令後の各員・各隊の調整の取れた無駄のない動きは、一流オーケストラのそれを思わせる。

(やれる、俺たちはやれる。この人の下でなら――俺たちはやれる筈だ)

 その日、その時、後に『第二次火星沖海戦』として永く語り継がれることになる戦いの火蓋は切られた。


【第二次火星沖海戦】



 ――2193年6月12日。
 その日、日本国航宙自衛隊 第二空間護衛隊群を主力とした混成地球艦隊が一斉に抜錨、進路を火星へと向けた。その数は三十隻余。四ヶ月前の火星沖海戦時とは比べ物にならない程ささやかな戦力であったが、乗員の士気は極めて高かった。
 この後、彼らは艦隊標準速度で火星圏へ直進、到着後もできるだけ“派手に”周辺宙域を遊弋する予定であった。

 地球艦隊の活動再開は、火星圏を一時的に制圧した際にガ軍が設置した監視衛星群(大半は地球軍によって除去されていたが、完全ではなかった)によって即座にガミラス軍の知るところとなり、冥王星基地全体が色めきたった。彼らにしてみれば、火星沖海戦で完膚なきまでに叩きのめされた上に、微惑星による本土攻撃まで受けている地球軍が未だ戦意を喪っていなかったことは大きな驚きだったからだ。
 この時、既に冥王星には、命令不服従の疑いありとして方面軍司令部に召喚されたシュルツ大佐(旅団長)に代る代理指揮官が送り込まれており、彼は即座に稼働全艦艇の出撃と地球艦隊の殲滅を命じた。ゲール少将より直々に命じられていた地球本土攻撃の準備も重要であったが、火星に敵残存勢力が跳梁していては本土攻撃時に後背を突かれる危険があり、その排除は最優先事項だったからだ。
 蒼い肌を持つ一等ガミラス人である代理指揮官は、年齢に比して階級こそ高かったものの、実戦経験や指揮経験には乏しい典型的なエリート軍人だった。銀河方面軍への配属も、どちらかと言えば箔付けの要素が強く、ただ座っているだけでも中央への復帰は確実と目されていた。
 だがそれ故に、代理指揮官は張り切っていた。
 この戦いは、彼にとって初めて自らが指揮する艦隊戦闘であり、不安が皆無と言えば嘘になるが、敵は二等ガミラス人部隊ですら簡単に勝利できた弱敵。何も恐れる必要性はない筈であった。
 彼が直率する戦力はデストリア級2、ケルカピア級3、クリピテラ級12、ポルメリア級宙母1。
 書類上の編成では五十隻を超える戦闘艦艇を有する七五七旅団であったが、四ヶ月前の火星沖海戦時の損害補充が遅々として進んでいないことに加え、損傷艦の多くが未だ修理中だった事、更に冥王星基地に最低限の留守部隊を置く必要もあり、全力出撃と言ってもこれが限界だった。また、本来の旅団旗艦であるガイデロール級航宙戦艦『シュバリエル』も、シュルツ大佐が方面軍司令部への出頭に用いており、冥王星には不在だった。結果、出撃艦数は地球艦隊の2/3にも満たなかったが、代理指揮官に戦力面での不安はなかった。十倍とも二十倍とも評されている個艦戦闘能力の圧倒的な格差を考えれば、たとえ敵軍の半分以下の戦力であったとしても、実質的な戦闘能力は地球艦隊に数倍、十数倍することは明白だったからだ。
 尚、この時出撃したガミラス艦隊の編成において特筆すべき点として、一隻のみながら航宙母艦が含まれていることが挙げられる。これは、火星沖海戦時に地球軍が多数投入した航空隊により、ガミラス艦隊に少なくない損害が発生した戦訓に基づくものであり、代理指揮官の派遣に合せて増派された艦隊防空戦力だった。
 ガミラス艦隊の出撃は、地球艦隊の活動察知から四〇時間後であり、後に言われるほど代理指揮官の指揮能力が低い訳ではない(勿論、第七五七旅団自体が練度の高い部隊であったことも忘れてはならないが)。
 ガミラス艦隊は冥王星の重力圏外に出ると迷うことなくゲシュタムジャンプを実施、一気に火星近傍に達した。だが、彼らの出現ポイントは、ガミラス軍が一般的に規定している安全距離(惑星直近へのワープアウトは、機関が重力ダメージを受ける可能性がある為、緊急時を除いて禁じられている)を保ったもので、火星沖海戦時の重機甲旅団のような奇襲効果は期待できなかった。あの海戦で重機甲旅団は、安全距離の実に1/3の至近距離にジャンプアウトしていた(その代償として、十隻以上の艦がグラヴィティ・ダメージを受けて戦闘加入が遅れたが)。



 再び火星圏に出現したガミラス艦隊が奇襲効果よりも航宙上の安全性を重視したことは、地球艦隊にとっては僥倖だった。火星沖海戦時の観測記録を元に、次元震を検出する形での早期警戒体制を急造していたものの、その観測精度には未だ問題も多く、最悪の場合は火星沖海戦時と同様の奇襲を受けることすら覚悟されていたからである。
 ところが、ガミラス艦隊は火星沖海戦時を思えば奇妙に思えるほど遠距離に出現した為、当初は囮部隊ではないかと疑われたほどだった。また、出現したガ軍艦艇の数が最大予想隻数の半分程度に過ぎなかったことや、旗艦と思しき超弩級戦艦が含まれていなかった点も、囮部隊の疑いを強くしていた。
 しかし沖田提督は、敵主力が未だ伏せられている可能性を危惧する司令部幕僚の意見を退け、本部隊を敵主力と断定、計画に沿った邀撃行動を開始するよう全軍に命令を発した。
 沖田提督は生涯を通じて、本部隊を敵主力と断じた理由について周囲に語ることはなく、後世において様々な憶測を呼ぶことになる(現在においては、沖田提督は彼我の個艦戦闘能力は新兵器や新戦術を得ても尚、未だ圧倒的な格差があり、敵艦数が自軍を遥かに上回るような戦力を投入してきた場合、積極的な迎撃を見送り、デブリゾーン内にひたすら身を潜める算段だったのではないかとされている)。

 結果的に沖田提督の決断は“英断”となった。

 冥王星基地から出撃したガミラス艦隊は事実上七五七旅団の稼働全戦力であり、後続部隊や伏兵などは全く存在しなかったからだ。その点、当時においても拙速を危ぶまれた『カ2号作戦』であったが、ガ軍の戦略環境に起因する継戦能力・補給能力の低さに乗じる結果となったのである。

 沖田提督の邀撃命令を受けて最初に動き出したのは、村雨型四隻、磯風型十二隻からなる『支援隊』であった。彼らは火星圏到達後も、デブリゾーンには入らず周辺宙域を遊弋し続けており、沖田提督の命令を受領するや否や、戦闘速度に増速しつつガ軍出現ポイントに急行した。  
 支援隊を指揮するのは三隻の村雨型の艦長の中で最先任の安田俊太郎二佐であった。十隻を超える艦隊でも、艦長が隊司令を兼務しなければならない点で、地球側の人的資源枯渇の深刻さが理解できるだろう。
 支援隊の村雨型は耐ビーム複合装甲への換装を主とするバッチⅠ改装こそ完了していたが、ショックカノンについては一隻として搭載しておらず、攻防走いずれにおいても著しく不利であることは明白だった。だが彼らは、全く臆すことなく邀撃行動を継続、程なくして中距離レーダーレンジにガミラス艦隊を捉える。

 当然、支援隊の動きはガミラス艦隊にも察知されていた。しかし、艦隊を指揮する代理指揮官はほぼ初めての実戦指揮故に反応が鈍く、本来であれば幕僚団がそれを(さりげなく)フォローするのであるが、七五七旅団の幕僚団の大半は召喚中で、更に方面軍司令部から代理指揮官に同行した士官は僅か二名に過ぎなかった。しかも、彼らとて十分な実戦経験を有している訳ではなく、補佐役としては明らかに役不足だった。
 結果的に、艦隊司令部からの命令発動は遅れ、ガ軍各艦は代理指揮官にありとあらゆる呪詛の言葉を(今のところ内心だけで)浴びせかけつつ、個々に戦闘態勢を整えることになる。歴戦の艦隊であるだけに、致命的に反応が遅れる艦はなかったが、対応にバラつきが生じるのは避けられない。
 急迫した地球艦隊はその隙を鋭く突いた。ガミラス艦隊の射程距離(地球艦隊の概ね三倍)に飛び込む直前、支援隊は一気に最高速度にまで増速。それは明らかに空間雷撃戦を想定した予備行動であったが、その様は、従来の地球艦隊の極めて整然とした艦隊運動とは一線を画していた。
 支援隊は、それまでのトライデント(三叉槍)を思わせる三列の単縦陣から一斉に散開すると、個艦単位での突撃を敢行。しかも個々の艦が異なるタイミングと方位にランダム回避を行いながら急速に距離を詰め、自らの光線砲の射程に入るや否や猛烈な勢いで砲撃を開始する。
 あまりに激しい回避機動故に、地球艦隊の砲撃の大半は目標を逸れ、数少ない命中弾もことごとくガミラス艦の装甲表面で弾かれた。だが、それでも彼らは動じることなく突撃しながら光線砲の猛射を継続する。
 ガミラス艦隊と支援隊の距離が見る見る内に詰まる。距離が詰ったことで、地球艦隊の突撃開始以来、今一つ統制を欠いていたガミラス艦隊の阻止砲撃もようやく効果を発揮し、地球艦にも被弾が発生し始めた。その結果は対照的で、ガミラス艦の砲撃を喰った地球艦は例外なく一撃で戦闘不能に陥り、最悪はそのまま爆沈して果てる。
 だが、それでも地球艦隊の突撃は止まらない。個々の艦が攻撃目標と定めたガミラス艦にあらん限りの光線砲を叩きつけながら、最大速度での接近を継続する。そこに村雨型も磯風型も例外はない。
 さすがのガミラス艦隊にも戦慄が走った。地球艦隊から発せられる死兵のような気魄に、このまま全艦体当たりするつもりではないかと恐怖したのだ。
 だが、支援隊は決して“死兵”などではなく、それどころか彼らの気概はその対極にあった。兼務ながら隊司令を務める安田二佐は所属各艦に以下のように作戦方針を説明していた。

「我々の任務は“陽動”だ。
 だが、彼我の速力差を考えれば、一度は敵艦隊を痛打し、混乱を惹起する必要がある。
 それが可能な手段は、ヒビキが行った肉薄攻撃しかない。
 各艦には可能な限り攻撃目標に肉薄、確実な撃破に努めてもらいたい。
 敵が短時間で態勢を立て直せば、速力に勝る敵の追撃を受けて我が隊は揉み潰される。
 その時点で、本作戦は失敗だ」

 彼我艦艇の性能差は圧倒的であり、極限的なリスクを甘受しなければ、陽動すら達せられない――それが彼らに突き付けられた過酷極まりない現実だった。
 
「確かに我々の任務は極めて困難だ。至難と言ってもいい。
 しかし、忘れないでもらいたい。陽動とは生き残ってこそ初めて果たせられる任務だと。
 どうだ?――そう考えれば、少しは元気が出てこないか?
 だからこそ、皆で生き残って務めを果たそう。あとは沖田長官が片づけてくれる」

 それが、第二次内惑星戦争で幾多の戦果を挙げた名うての戦術指揮官であると同時に、人情家としても知られた安田俊太郎という漢だった。
 彼の座上した村雨型宇宙巡洋艦“テンリュウ”も含め、十隻となった支援隊は自らの砲撃がガ艦の耐弾コーティングを剥ぎ落していることを祈りつつ、それぞれが最適射点と確信したポイントで次々に空間魚雷と対艦砲を発射、攻撃目標としたガミラス艦を掠めるようにして全速で離脱を開始する。
 支援隊決死の攻撃は各一隻のケルカピア級とクリピテラ級を撃沈し、更に二隻に損害(内、一隻が単独で後退離脱)を与えることに成功した。その損害には離脱時のガミラス艦による誤射も含まれるが、過去の地・ガ両軍の損害比率を思えば、紛れもない大戦果だった。
 通常、戦場では確率論という名の神の所業により、同一箇所に命中弾は発生しないとされる。しかし支援隊はその神すら味方につけたかのように、複数の艦が同一箇所への命中弾を果たしていたのである。恐るべき技量の発露と言う他ない。
 しかし、支援隊の戦いはここからが本番だった。



『我、第一撃ニ成功セリ。コレヨリ誘引行動ヲ開始ス。各隊ノ支援ヲ求ム』

 最高速度のままガミラス艦隊を突っ切るように離脱した支援隊は速度を落とすことなく大きく旋転、火星へと進路を向けた。

 一方、奇襲を受けたガミラス艦隊は大きな混乱に見舞われていた。
 艦隊を率いる代理指揮官にしてみれば、ワープアウトと同時に待ち伏せていた敵にいきなり殴りつけられたような衝撃であり、戦闘開始以降、指揮下各艦から次々に上げられてくる損害報告や多数の意見具申も、衝撃によって脆弱化していた彼の心理に強いプレッシャーを与え続けていた。その結果、代理指揮官の戦術判断能力は一時的に飽和したような状態となり、彼と麾下艦隊との意思疎通の悪さも重なって、艦隊の立て直しと支援隊の追撃は遅々として進まなかった。
 だが、そんな中で唯一賢明な判断となったのは、随伴しているポルメリア級宙母艦載機隊に、支援隊の追撃命令が下されたことだった。とはいえ、彼らの任務は艦隊防空とされていた為、主力機であるDWG229“メランカ”に装備済みだったのは空対空兵装であり、対艦攻撃には不向きだった。
 その点を慇懃に指摘するポルメリア級艦長に対し、代理指揮官はとにかく敵の足を止めろと吠えるように出撃の命令を下した。
 少しばかり不満を見せてみたものの、一たび断が下されると、航空隊の行動は早かった。即応待機状態に置かれていたメランカ一個大隊二〇機が次々に発艦、全速で後退を続けていた支援隊を追った。更にポルメリア級の艦内では、第二次攻撃隊の出撃準備が慌ただしく開始されている。
 長駆進出したメランカ隊が支援隊に接触する直前、隊長機のゲシュタム・ラダールが新たな敵影を捉えた。数は二〇弱とメランカ隊とほぼ同数。複数のダイヤモンド隊形を連ねて真正面(つまり支援隊の更に前方)から急速に迫ってくる。その敏捷な動きは艦艇ではなく航宙機――それも高い機動性能を誇る戦闘機に間違いなかった。
 現在でこそ戦闘攻撃機隊を率いているもののメランカ隊の隊長は元々、生粋の戦闘機乗りであり、戦闘機としてよりも攻撃機としての特性が重視されたメランカという機体をそれほど好いてはいなかったが、久方ぶりのドッグファイト――それも同数、真正面から――は望むところだった。
 隊長は麾下の編隊に進撃速度を落とすよう命じた。そうすることで、地球艦隊に追いつくよりも早く、敵戦闘機隊と接触できる筈だった。

 メランカ隊に支援隊追撃を断念させた地球の戦闘機隊は、一度は全滅したと信じられたグラディウス・ステーション(GS)所属の部隊であった。火星沖海戦終盤、重機甲旅団のメルトリア級を主力とする突破隊を迎撃したGS所属航空隊は多くの戦果を挙げたものの、自らもまた大損害を被った。またGS自体も、地球艦隊の壊滅後にガミラス艦隊から執拗な攻撃を受け、機能停止に追い込まれていた。
 幸い、元は火星のテラフォーミング用大型軌道基地として建設され、内惑星戦争時には火星独立軍が軌道要塞化、戦後は国連統合軍が独立機運の強い火星圏に対する抑えとして更に強化したGSは、ガミラス戦争開戦後の急拡大によって全長十数キロにも及ぶ重厚な超大型軌道基地と化しており、さしものガミラス軍でも短時間での完全破壊は不可能だった。
 結果、GS内部には健在な区画が僅かながらも残され、ガ軍撤退直後から生き残りの地球艦や航空機の収容を隠密裏に行っていたのである。
 カ2号作戦の実施にあたり、GSには航空隊用の補充機材や搭乗員が新たに送り込まれると共に、壊滅状態にあった五個航宙団が一個航宙団(第三四三航宙団)に再編成された。
 第二次内惑星戦争末期に実用化された空間用戦闘機は未だ歴史が浅く、その搭乗員も極めて希少な存在であったが、国連統合軍はその大半を火星沖海戦で喪っていた。結果、本作戦にあたって送り込まれた補充搭乗員には、教育中の訓練生の中から特に素養と技量を認められた者が少数ながら含まれており(勿論、教育部隊はこうした選抜に大反対していたが)、その中に、後に国連統合軍のトップエースとなる加藤三郎三曹もいた。

 当時、加藤三曹は弱冠十七歳に過ぎなかったが、練習航空隊では既に名の知られた存在であった。教育課程の模擬戦とは言え、同期の練習生とのペアで教官役のヴェテランパイロットから何度も撃墜判定をもぎ取ってしまう程の卓越した操縦技量は、練習航空隊の歴史においても過去に例がなかったからだ。加藤三曹とそのペア――山本明生三曹――の “活躍”は、未だ所帯としては小規模だった国連宇宙海軍航空機部門において瞬く間に広まり、将来の航空隊ホープとして広く知られるようになっていた。
 そんな彼らが、乾坤一擲の作戦に向けた選抜から漏れる筈もなく、二人は揃って三四三宙の補充要員に名を連ねることになる。
 火星への派遣後、二人の技量を確認した三四三宙指揮官は加藤三曹を戦闘機隊に、山本三曹を偵察機隊に配置すると共に、二人を野戦任官にて一等宙曹に昇進させた。公には、正搭乗員としての職掌に見合った階級への臨時昇進とされているが、実際は遺族への恩給など、歳若い二人に万一のことがあった場合のことを考えての措置と考えるのが妥当だろう。
 但し、昇進の事実は、各隊指揮官を除き周囲にも本人らにも知らされておらず、隊内ではあくまで二人は最年少の三曹として扱われた(よって本文でも引き続き三曹と表記する)。
 そして当時の加藤三曹だが、控え目に表現しても極めて反抗的且つ鼻っ柱の強い性格であり、実戦部隊への初の配属、それも部隊最年少者にもかかわらず、自らが決めたスタイルを決して崩そうとはしなかった。
 その一つが私物のボマージャケットだった。それは勘当同然に実家を飛び出して入隊した加藤三曹が出征するにあたり、弟たちから送られたものだった。戦闘時、パイロットスーツの上からそれを着込むのは明らかな規則違反であったが、加藤三曹は全く意に介さなかった。もちろん戦闘機隊隊長は再々の“修正”を含めて厳しく指導したものの、結果的にはそれを黙認した。
 隊長は気がついたのである、それが加藤三曹なりの現実に対する精一杯の反抗の証だということを――。



 そして運命の日、八九式空間局地戦闘機“ブラックタイガー”を駆る加藤三曹は隊長機編隊の三番機として初陣を迎え、勇躍ガミラス軍機との空戦に挑んだ。
 空戦はほぼ同数の戦闘機隊同士が正面から接敵――ヘッド・オン――する形で開始され、双方がミドルレンジから次々にAAMを放った。ブラックタイガー隊が放った空対空ミサイルはレーダー・熱源・イメージの複合ホーミング方式であったが、意外にも両軍の空対空ミサイルに顕著な性能差はなく、両編隊の中間地点で互いのミサイル同士が次々に喰い合う結果となった。
 その間、AAMによって撃墜された戦闘機(戦闘攻撃機)は両軍共に極僅かであり、距離の詰まった両編隊は短距離用空対空ミサイルと機関砲を用いた激しいドッグファイトに突入する。
 純粋な空間機動性能ではブラックタイガーが、FCSではメランカが、それぞれ僅かに優位という状況では、一方がもう一方を圧倒するという状況にはならず、空中戦は長時間に及んだ。
 本戦闘において、加藤三曹は初陣にもかかわらず四機撃墜のスコアを叩き出している。彼の戦果は、僚機として付けられたヴェテランパイロットが背後をしっかりと守ってくれたからこそのものであったが、それでも驚異的な戦果と言えるだろう。僚機のパイロットは本作戦前に短時間行われた編隊訓練で加藤三曹の能力を見抜き、二機編隊の長機(リーダー)を加藤に任せ、自らはその僚機(ウィングマン)に回った。
 加藤三曹らの奮戦もあって、時間の経過と共に空戦はやや地球側の有利に傾き始めており、少なくともメランカ隊は命じられた支援隊の足止めを果たすことはできなかった。
 だがその頃、激しい空中戦が繰り広げられている宙域の後方から、ようやく態勢を立て直したガミラス艦隊が支援隊を猛追し、復讐の砲火を閃かせつつあった。支援隊も既に後退目標としていたデブリゾーンを目前にしていたが、全速で追撃を開始したガミラス艦艇の機動性能は地球艦艇のそれを大きく凌駕しており、あと一歩のところで逃げきれなかった。そして、極めて剣呑なガミラス軍の陽電子ビームは、有効射程ぎりぎりの大遠距離でも命中すれば地球艦艇は一たまりもなかった。
 デブリゾーンに飛び込むまでに更に四隻の地球艦が無防備な背後から陽電子ビームに貫かれ、強制的な沈黙を余儀なくされた。
 中には、損傷による速度低下で最早逃げきれないと判断したのか――我、コレヨリ任意ノ方向ニ向ケテ退避セントス――との通信を発して180度回頭を行い、自らの任務を支援隊の撤退援護に変える艦もあった。
 それらの艦は、追いすがってきたガミラス艦によって袋叩きにされるような形で沈められたが、残存する支援隊がデブリゾーンにまで後退する貴重な時間を稼ぎ出した。

 七五七旅団を率いる代理指揮官にとって、ここまでの戦いはひたすらフラストレーションの溜まるものであった。名案と思い追撃を命じた宙母航空隊も結局は支援隊を捕捉できず、直率する艦隊の動きはひたすら鈍く(少なくとも七五七旅団に信頼を置いていない彼にはそう感じられた)、最終的に支援隊をデブリゾーンの中に取り逃がした。彼の内心で、フラストレーションの置換心理として激しい苛立ちが醸成されたのも無理はない。
 そして、彼の苛立ちを更に深めたのは、他ならぬ彼自身だった。歴としたトップエリートの一員である代理指揮官は決して頭の悪い男ではなく、寧ろ頭の回転が非常に速い男であっただけに、いやが上にも気づかされてしまうのだ――自らの戦術指揮能力の欠如を。
 あるいは、七五七旅団との意思疎通がもう少し良好であったならば、元々は明敏である筈の彼がここまで大きな苛立ちを抱え、判断を曇らせることもなかったかもしれない。しかし、そんな彼が今現在行っていることは、その苛立ちを口汚い言葉と態度で周囲のザルツ人たちにぶつけることだけであり、旅団との意思疎通が改善される見込みは皆無だった。

 結果的に、自らのプライドを蛮族ごときに傷つけられたと(半ば一方的に)決めつけた代理指揮官は、その元凶である小癪な敵艦隊を一隻残らず討ち取る決意を固めていた。六隻にまで撃ち減らされた支援隊が速度を落とすことなくデブリゾーンに逃げ込むと、自艦隊にも迷うことなくデブリゾーンへの突入を命じた。
 だが、火星沖海戦前、国連宇宙海軍が一種の空間障害として構築したデブリ群の密度は、海戦での破壊を経ても未だ高く、地球艦艇よりも遥かに大型のガミラス艦を地球艦以上の速度で突っ込ませるのはあまりに無謀だった。
 結果、浮遊するデブリを回避し切れず、衝突するガミラス艦が続出する。幸い、撃沈に至るような損傷を受けた艦はなかったが、ガミラス艦隊の進路と陣形は大きく乱れた。その代わりとばかりに、ガミラス艦隊の砲撃も激しさを増すが、再び距離が開いたこともあり、支援隊には掠りもしない。

「さぁ、どんどん撃ってこい、追ってこい!!」

 混乱し、立往生するガミラス艦隊を嘲笑うように安田艦長が叫ぶと、支援隊は残った全誘導弾を一斉に撃ち放った――しかしそれらはガミラス艦隊を直接狙ったものではない。
 ガミラス艦隊の周囲で無数の爆発が弾け、その衝撃波を受けた幾つものデブリの軌道が不規則に変化した。その中の一つ――比較的大型のデブリが、ぎりぎりのところでそれを回避しかけていたガミラス艦の舷側にまともに突き刺さり、態勢を崩したガミラス艦は衝突箇所から爆発を起こしつつ脱落していく。
 更に、伏せられていた知能化機雷が時間差を置いて次々に起爆、周囲を漂うデブリ群の軌道要素が目まぐるしく変化することでガミラス艦隊の機動の自由は一層制限され、停止寸前にまで速度を落とす艦、回避に専念する艦、砲撃や雷撃でデブリを吹き飛ばす艦が続出し、艦隊陣形は完全に崩壊した。その隙に、支援隊は巧みな操艦でデブリ群の間をすり抜け、ガミラス艦隊との距離を一気に引き離す。やがて、支援隊はガミラス艦隊の捕捉圏外に離脱した。
 ガミラス艦隊の代理指揮官は歯噛みしたが、最早どうにもならない。今の彼にできることは、艦隊の混乱を収束させて陣形を再編し、一旦デブリゾーンから離脱することだけだった。逃げ去った敵艦隊残余をどうやって狩り立てるかを考えるのはその後だ
 だがそれでも、代理指揮官は未だこの戦いを“狩り”としか捉えられていなかった
 敵は獣のような野蛮人たちであり、この戦いも、油断して逆襲を食らったりしなければ安全に楽しめるスポーツも同然。確かに緒戦では、敵の勢いに呑まれて損害も出した。しかしその損害も二等臣民であるザルツ人達であり、“ちょっとした授業料”だとでも思えば痛くも痒くもない――そんな彼にとって、今度は自分自身が狩りの獲物に成り下がることは、完全に想像の埒外にあった。

 全くの偶然に、代理指揮官は“それ”を見た。スルスルと伸びてきた三本の青白い光弾が自らの指揮する借り物の艦隊に迫ってくるのを。そのビーム光は、これまでの地球艦のそれとは異なり、眩いばかりに光り輝いていた――が、代理指揮官は楽観し切っていた。
 敵の砲撃はこちらの捕捉圏外(つまり超遠距離)から放たれたものであり、当然のことながら実質的な有効射程圏外。半ば以上“まぐれ”でこちらに向かってきているに過ぎない。これまでと同様、敵の光弾はガミラス艦の装甲表面で無様に弾かれるか、その場で拡散する筈だと。
 それだけの思考をほぼ一瞬で済ませた代理指揮官はやはり頭の回転の鈍い男ではなかった。

 だが――その確信は完全に裏切られる。

 三発の光弾は、デブリ回避と艦隊陣形再編の為に、微速にまで速度を落としていた三隻のガミラス艦へと延びていき、全弾が見事命中するや――その装甲を紙のように貫いたのである。



 しかも、最も大直径のビームを喰ったクリピテラ級はその一撃のみで爆沈していた。他のやや小口径の二発にしても、ガミラス艦を一撃では撃沈に至らしめられなかったものの、被弾した艦は命中箇所から爆発を起こして態勢を崩している。

 次の瞬間、ガミラス艦隊に発生したのは、パニック同然の大混乱であった。自らの防御力に対する絶対的な自信、いや過信が根底から覆されたショックはそれ程のものであった。
 驚愕と恐怖に駆られた各艦は、一斉に速度を上げて散開しようとした。しかし、なまじ密集していたことと、周囲に漂う濃密なデブリの存在が祟り、思うような回避運動を取れない。
 そこに狙いすましたかのように光弾の第二射五発が殺到、更なる被弾艦が発生したことで、ガミラス艦隊の混乱は更に拡大した。無理な回避運動の結果、艦同士の衝突すら発生し、中には、光弾の飛来方向に向かって陽電子ビームを乱射する艦もあったが、混乱を助長することにしかならなかった。

 ガミラス艦隊を恐怖と混乱の坩堝に叩き込んだのは、沖田提督率いる『主隊』――新兵器ショックカノンを搭載した七隻の地球艦艇であった。
 彼らが装備したショックカノンはほぼ計画通りの威力を発揮し、従来の砲装備では貫徹不可能だったガミラス艦艇の強固な装甲を、大遠距離から耐弾コーティング(ミゴ・ヴェザーコーティング)ごと易々と貫いていた。その鮮烈過ぎる光景は各艦に光学映像としてもたらされ、それを目にする幸運を授かった者は、ほぼ例外なく歓声――いや、魂の奥底から噴き上がってくるような雄叫びを上げていた。
 しかしそれも無理はなかった。開戦以来、純然たるハードウェアの技術力格差から常に圧倒的劣勢を強いられてきた彼らにとって、現在の状況は初めて手にした明快極まりない優勢だったからだ。
 だがそんな興奮の中でも、沖田提督だけは冷静さを失っていない。混乱する敵艦隊を戦況表示モニター越しに見据えつつ、低く響く声で決然と次弾装填を命じる。
 沖田提督は主隊を二隊(『キリシマと村雨型二隻』『村雨型四隻』)に分け、隊毎に交互射撃を行うことで、射程と威力は十分ながら発射間隔が致命的なまでに長いショックカノンの砲撃インターバルを短縮、できるだけ長時間、敵の混乱を維持し続けることを目論んでいた。更に、ガミラス艦隊の回避運動(速度と範囲)をデブリ群を用いて限定することで、発射間隔のみならず、実射データの蓄積の点でも未だ不安の大きいショックカノンの命中率を補っていた。
 それらの狙いは完全に図に当たり、砲撃開始から五分余りで、ガミラス軍はケルカピア級一隻とクリピテラ級四隻を喪い、対する地球艦隊の損害はゼロだった。完全なワンサイドゲームであり、新兵器の奇襲効果が最大限に発揮された結果と言える。

 しかし――時間の経過と共に、ここまでの戦闘を圧倒的優位に進めた地球艦隊においても齟齬と誤謬に基づく混乱が発生し始めていた。
 最初の齟齬は砲撃目標だった。作戦計画では、最初の砲撃目標を敵旗艦か大型艦(デストリア級)に設定し、これらを早期に無力化することで敵艦隊の指揮系統を更に混乱させるか攻撃力を大きく減殺することが目標とされていた。しかし、それらの艦は敵艦隊中央部に位置していた為、必中射線を確保することができず、結果的に砲撃は艦隊外縁の巡洋艦や駆逐艦に向けざるを得なかったのである。
 更にこの時、長射程・大威力を誇るショックカノンの優位を最大限に引き出したアウトレンジ砲撃の根幹が大きな危機に見舞われようとしていた。
 科学技術力で遥かに優越するガミラス艦隊の探知圏外から一方的な砲撃を可能としたのが、デブリ群に潜んだ弾着観測機――惑星探査機『SR91』――の存在だった。



 国連宇宙開発機構が開発したSR91は“戦闘機並み”とまで称された高い機動性能と高度なセンシング能力が買われ、この時期、国連統合軍が宇宙開発機構から多数を徴用し、戦術偵察機として運用していた。火星沖にも増援の戦闘機と共に持ち込まれた七機が第四空間偵察飛行隊で運用され、砲撃目標としたガミラス艦の精密座標や砲撃結果をショックカノン搭載艦へ送信し続けていた。
 遅まきながらその存在に気づいたガミラス艦隊は、デブリゾーンの外で待機していたポルメリア級宙母(一隻のクリピテラ級が直衛していた)に第二次攻撃隊の発艦を指示、空対空装備のメランカ二〇機がデブリゾーンに突入してきた。幸い、その動きはグラディウス・ステーション所属航空隊(三四三航宙団)も察知しており、第一次攻撃隊のメランカに打ち勝ったブラックタイガー隊残余が懸命にそれに追いすがって妨害を加える。だが、その数は僅か八機に過ぎず、観測機隊の一掃を目論むメランカ隊を抑え切れなかった。
 高い機動性能を誇るSR91と言えども、二機以上の敵機に同時に狙われては助からない。一機、また一機と、メランカのミサイルや機銃を喰った機が火達磨となって散華する。その度に残存する観測機の負担は増大していくが、それでも彼らは任務を放棄せず、驚くべきことに彼らの発するデータも正確さを維持し続けていた。
 データを受け取るショックカノン搭載艦も観測機隊の危機と窮状は痛いほど分かっている。しかし彼らにはどうすることもできない。今はとにかく一秒でも早く、一発でも多くのショックカノンを敵艦に命中させる――それだけだ。
 だが、そんな彼らの足元にも危機は迫りつつあった。

『ショックカノン用エネルギー充填宜し!』
『目標、ガ艦D-7と為せ』
『ソード・5より目標艦の座標データ入電中』
『座標データ入力、照準データへの補正完了。測的よし、測距よし、砲撃準備よしっ』



『撃ちーぃ方ぁー始めっ!』
『撃ぇぇぇ!』
『――っ!命中ならず。右に逸れた』『次弾、エネルギー充填開始』
『イカヅチへ信号。“陣地転換開始セヨ”』
『ソード・5より入電。え?・・・あ、“我ハ砲撃目標ニアラズ”。続けて修正データ来ました』
『イカヅチからの了解信号受信』
『総員、曳航時の衝撃に備えつつ全周警戒を厳とせよ。寄ってくるデブリを見逃すな』
『機関温度イエローゾーン超えた。緊急冷却開始――冷却完了まで三秒、二秒、一秒。
 艦長!放熱、冷却共にもう限界です!!このままでは――』
『踏ん張れ。航空隊も支援隊も命を張っている。照準プログラムの修正はどうか?』
『現在、照準プログラム自動修正中――』
『畜生っ、当たらなけりゃ命を懸けたって意味ないんだぜ』
『無駄口を叩くな。砲雷、気にするな。焦らず急いで正確にやれ。
 電測、敵艦隊の動きはどうか?』
『接近中。距離四万を切った』

 後に回収された村雨型宇宙巡洋艦“ツクバ”のボイスデコーダーからは、ツクバ乗員たちの苦闘と緊張が痛いほど伝わってくる。
 この時、既に混乱をある程度収束したガミラス艦隊はショックカノンビームの軌跡と発砲光から主隊の概略方位を掴み、接近を開始していた。その速度はデブリと砲撃、定置機雷に阻まれて決して大きくはなかったが、それでも両艦隊の距離は確実に狭まりつつあった。
 ショックカノン搭載艦は発砲と同時に次弾のエネルギー充填作業を開始するが、充填完了まで凡そ60秒から75秒が必要だった。その間、艦をその場に固定したままでは、ガミラス艦隊に捕捉され、狙い撃ちにされてしまう為、後退しつつの座標遷移――通称:陣地転換――は不可欠だった。
 しかし、移動に主機を用いては、ショックカノン用エネルギーの充填に更に時間を要してしまうし、姿勢制御用のスラスター程度では短時間で長距離を移動することは不可能だ。結果、ショックカノン搭載艦の戦術機動を担ったのは、『直衛隊』として主隊につけられた八隻の磯風型駆逐艦だった。



 彼女たちは、乾重量で数倍の規模を誇る戦艦や巡洋艦を牽引ワイヤーで曳航、次なる発射ポジションまで文字通り引っ張っていくのである。それも、大小無数のデブリがひしめく空間を。危険極まりないのは勿論だが、減速と制動、方向転換を含め、繊細且つ絶妙な舵捌きが要求されるのは言うまでもない。
 実際、小デブリとの衝突は無数に発生していたが、ショックカノン搭載艦が曳航艦に悪態をつくことは殆どなかった。搭載艦は搭載艦で、十分な実射を行っていない新兵器の扱いに四苦八苦していたからだ。
 これまでの砲とは桁違いの大威力は、イコール膨大な熱量の発生を意味し、その悪影響は艦の各部に及んでいた。金剛型であれ村雨型であれ、元設計では必要十分な放熱機能を有していたが、強引に後付けされた新型砲については完全にスペックオーバーだったのだ。
 その結果、発射弾数の増加に伴い、命中精度悪化が深刻化するだけでなく、艦の維持そのものにも支障が出始めていた。そしてそれは――不意に限界を超える。
 件の村雨型“ツクバ”が爆沈したのは、彼女がショックカノンの第八斉射を放った直後のことだった。被弾したのではない。ショックカノンの発射と同時に異常加熱した主機が暴走、非常弁開放による緊急停止も間に合わず大爆発を起こしたのである。更に、曳航の為に至近に待機していたイカヅチも無数の破片と爆発の余波を受けて吹き飛ばされる
 しかしツクバ爆沈の最大の影響は、キリシマに乗り組んでいたショックカノン担当の技官が断を下し、安全確保の為に発射速度を更に低下させるよう沖田提督に進言したことだった。自らもその開発に加わっていた技官も断腸の思いであったが、現在の発射速度を維持することは自爆強要となりかねない以上、仕方がなかった。
 その進言に、キリシマ艦橋の沖田提督は一瞬瞑目したものの、身じろぎ一つせぬまま主隊各艦に発射速度を更に25%低下させるよう命じた。
 だが、更に地球艦隊にとっての悲報は続く。
 ガミラス機の執拗な妨害を受けつつも、正確な弾着観測を継続していた最後のSR91“ソード・3”が遂に撃墜されたのである。



 同機を操縦していたのは、加藤三曹と同様、訓練生の中から特に選抜されて観測機隊(第四空間偵察飛行隊)に加えられた山本明生三曹であった。天才的な操縦技量(驚くべきことに、その評価は加藤三曹すら上回っており、教育部隊での模擬戦でも、加藤三曹は一度として山本三曹を“撃墜”できなかった)を買われての観測機隊配属であり、よりヴェテランの搭乗員が操るSR91が次々に撃墜されていく中、最後まで弾着観測任務を継続していた。
 山本三曹は、第二次内惑星戦争後に地球に強制移住させられた旧火星住民の一人であり、ガミラス戦争勃発時、政治的権利が大きく制限されていた彼らは国軍への参加も認められていなかった。しかし、ガミラス戦争緒戦における大損害への補充の必要性と、地球規模での真の挙国一致体制を目指すという掛け声の下に制限の多くは撤廃、国軍への門戸も開かれた。それどころか、国軍への参加によって、係累に至るまで多くの政治的権利が優先して付与されることが明文化された結果、火星出身の志願者は後を絶たなかった。
 旧火星住民の志願兵を多く受け入れた各国軍においては、当初は政治的信頼性の低さからサボタージュが懸念され、前線配置が避けられる傾向も見られた。しかし、戦況の逼迫と前線で火星出身者が示した勇敢な働きがそれらの偏見を徐々に払拭し、開戦から三年が経過した2193年においては、火星出身者の前線配置は徐々に増加しつつあった。
 皮肉にも、外宇宙からの侵略者という存在があって初めて、衝突が続いた地球市民と旧火星市民の融和は加速したのである。
 そして、入隊理由は唯一の肉親である妹の為と言ってはばからなかった山本三曹はその卓越した操縦技量のみならず、快活且つ温厚な性格故に友人や信奉者も数多く、加藤三曹とも入隊直後に意気投合している。その点、山本三曹はまさに進捗しつつあった地球市民と旧火星市民の融和の象徴のような人物だったと言えるだろう。
 そんな彼のSR91――ソード・3――を護る為に、加藤機を含む残存するブラックタイガー三機が直衛についていたが、長時間戦い続けたブラックタイガー隊にも残弾は殆どなく、自機を囮に群がる敵機を引き付けるのが精一杯だった。しかしそんな中でも加藤三曹は獅子奮迅の働きを示し、最後には自機の主翼端を敵機に接触させることで、更に一機を撃墜、本海戦における撃墜スコアは実に八機にまで達した。
 だが、そんな鬼神のような航空隊の奮戦も、それが限界だった。最後には合計七機のメランカが山本機に殺到、圧倒的な弾幕で包み込むことで、撃墜を果たしたのである。
 それを境に、ショックカノンの命中率は目に見えて悪化、更に発射速度の低下も加わって勢いを得たガミラス艦隊が一気に急迫してきた。そして遂に、ガミラス艦隊のゲシュタム・ラダールが主隊を捕捉、これまでの鬱憤を晴らすかのように猛烈な砲撃を開始した。
 この時、最もガミラス艦隊の近くに位置していた村雨型“ノシロ”と曳航担当の駆逐艦“アキグモ”が真っ先に集中砲火を浴び、反撃の暇もなく撃沈される。その様と巨大な閃光は主隊の他艦からも目撃され、乗員の間に戦慄と動揺が走った。

 また我々はやられてしまうのか?有効な新兵器を用いながら、またしても逆転を許してしまうのか?

 これまで嫌というほど目撃してきた、友軍艦が易々と装甲を貫かれ、風船のように弾け飛ぶ姿に、主隊の将兵たちの動揺は、容易に悲観と諦観に置き換わる――。

「狼狽えるなっ。各艦、ショックカノンを直接照準に切り替え、最寄りの敵艦を各個に撃て!!」
「統制射撃解除!直接照準!砲撃目標、ガ艦L-2。砲撃準備完了次第、撃て。復唱はいらん!」

 だが、中には諦めの悪い男たちもいる。
 その筆頭である沖田提督の一喝と気魄のこもった命令に、女房役たる山南艦長が間髪入れずに応じる。
 それだけで、動揺しかけていた艦橋要員たちの度胸が据わり、これまでに倍する勢いで砲撃プロセスが進行し始めた。

「――充填完了まで五、四、三・・・・・」
「咄嗟射撃、照準誤差修正マイナス三、砲撃準備よしっ」
「エネルギー充填宜しっ!」
「撃ぇぇぇぇ!!!!!」



 キリシマの艦首から放たれた三六サンチ陽電子衝撃砲の第十斉射は、これまでの砲撃による熱影響で僅かに照準がずれていた。しかし、距離至近という要素がそれを許容可能な範囲に留めた結果、ガミラス艦隊の先頭を切って突進してきたケルカピア級の艦首にショックカノンビームが見事突き刺さる――次の瞬間、ケルカピア級の艦首は大きくひしゃげ、第一砲塔直下で大爆発を起こした。
 キリシマの砲撃とその戦果に勇気づけられたかのように、生き残った四隻の村雨型も次々にショックカノンを放つ。距離が近いこともあって、その内の三発が命中。ガミラス艦隊の健在艦も遂に十隻を切った。
 しかし、それでもガミラス艦隊は退かない。むしろ更に怒りを駆り立てられたかのように地球艦隊に突進し、次々に陽電子ビームと魚雷を撃ち込んでくる。
 ショックカノンを撃ち放ったばかりの主隊に、最早これを押し止める術はなかった。直衛隊の駆逐艦が全力で曳航を行い、何とか距離を取ろうとするが、速度が違い過ぎる。一気に肉薄してきたガミラス艦の陽電子ビームが最も目立つキリシマに集中し、内三発が命中。凄まじい衝撃と共に艦内の照明が落ち、艦内各所で気密漏洩と火災が発生する。
 艦橋内もその例外ではいられない。電路の一部が爆ぜるようにスパークし、幾つかのディスプレイが内側から爆発、悲鳴が上がる。しかし山南艦長はそれらの混乱全てを無視するような勢いで次々にダメージコントロールの命令を下していく。彼にはまだ、ここで自分の艦をむざむざと沈めさせてしまうつもりはない。
 一方、沖田提督は被弾の衝撃でダウンしたビデオパネルではなく、艦橋窓から直接ガミラス艦を見据え続けていた。こめかみを流れ落ちていく一筋の汗だけが、提督の思考がフル回転していることを示す唯一の証左だ。
 歴戦の宿将は、この絶体絶命の状況下にあっても未だ絶望せず、懸命に打開策を探り続けている。しかしその視線の先では、快速のクリピテラ級が急接近し、雷撃態勢に入りつつあった。

「正面!敵駆逐艦、急速に近づく!!」
「主砲塔への動力回路が切断!!砲撃不能!!」
「っ!?テルヅキ、曳索を切断!不関旗掲げた!!」
「ショックカノンエネルギー充填を再開!!充填完了まで六十秒!!」
「チャフロケット発射!!左舷サイドスラスター全開!!焼き付いても構わん!!ふかし続けろ!!」

 ショックカノンは未だエネルギー充填中、本来の主砲たる高圧増幅光線砲も先ほどの被弾の影響で発射不可能、魚雷やミサイルは、艦の質量を少しでも低減するために本海戦では端から搭載していない――つまり今のキリシマに敵駆逐艦を阻止する術はなかった。しかし、それでも山南艦長は諦めない。目くらまし代わりのパッシブ・デコイを敵駆逐艦との間で炸裂させ、その間に艦の位置を少しでもずらそうとする。
 だがその時、キリシマの艦橋に巨大な影が差した――艦橋直上を別の艦が高速で通過したのだ。見間違えようのない、磯風型突撃駆逐艦にのみ許された優美なシルエット。それは、直前までキリシマの曳航を担当していた駆逐艦“テルヅキ”だった。
 テルヅキは曳航作業をもう一隻の磯風型“ユキカゼ”に任せると、自らは独断で曳航作業を中止、キリシマへ急接近しつつあるクリピテラ級への邀撃行動を開始した。
 キリシマをフライパスしたテルヅキは、魚雷発射寸前のクリピテラ級に真正面から突進する。両軍の駆逐艦が魚雷を放ったのはほぼ同時だった。



 二隻の魚雷は交叉した瞬間一斉に炸裂、その大爆発の中を強引に突っ切った傷だらけのテルヅキはしかし、速度を全く緩めることなくクリピテラ級に激突し、その艦橋を根元からもぎ取った。しかし、そのテルヅキも艦首部が完全に圧壊しており、僅かな距離を飛翔した末に爆沈する。

「テルヅキ爆沈!!」

 その一部始終を目撃した沖田提督の唇が一瞬、何かを叫ぶ形に開かれる。しかしそこから声が零れ落ちることは遂になく、僅かな時間で再び真一文字に引き結ばれた。そんな提督の様子に気づいたのは山南艦長だけであったが、艦長も何も口にできないままそっと目を逸らした。

 そしてその間も、“死戦”は続いている。

 テルヅキと同じ判断を下した直衛隊各艦が次々に曳索を切断、ガミラス艦隊の迎撃を開始していた。最早そうでもしなければ、ショックカノン搭載艦を護り切れないのは明らかだったからだ。
 更に、デブリゾーンにガミラス艦隊を誘引した後、一時的に後退していた支援隊までもが再び戦場に舞い戻り、安田艦長のテンリュウを先頭に横合いからガミラス艦隊に殴りかかる。しかし、彼らも既に魚雷や対艦砲を撃ち尽くしており、決定力に欠ける光線砲しか兵装は残されていなかった。
 それでも、直衛隊と支援隊は、主隊のショックカノン発射の時間を稼ぐべく一歩も引かず、ガミラス艦隊と正面から渡り合う。結果、近距離から陽電子ビームを喰らって爆散する地球艦が続出するが、支援隊と共同で対艦砲をガミラス艦に叩きつける直衛隊の磯風型もいる。しかし、火力と防御力は圧倒的にガミラス艦隊が優勢であり、ショックカノン搭載艦も無事では済まない。ショックカノン発射直前だった村雨型“スズヤ”“イズモ”、発射直後の“カトリ”が直撃弾を受けて相次いで轟沈する。しかし、カトリの放ったショックカノンもデストリア級を捉え、これを中破させていた。
 近距離での激しい乱戦、加えて未だ周囲を漂うデブリ群にも注意を払わなければならず、両軍共に指揮統制は乱れに乱れ、自らの正面に立ちふさがった敵と全力で戦うという、一種の遭遇戦的な戦闘が極めて狭い空間の中で連続する。
 しかしそんな中にあっても、本戦闘を終局に導くべく、思考をフル回転させている者もいる。その一人が沖田提督、そしてもう一人は支援隊を率いる安田艦長だった。
 彼らは共に、ガミラス艦隊内の通信傍受と艦隊陣形の推移から、ガミラス艦隊旗艦を特定しようと試みていた。結果、二人は其々の思考を経た上で、ほぼ同時に無傷のデストリア級(もう一隻のデストリア級はカトリのショックカノンで損傷していた)を旗艦と判断した。
 直後、沖田提督は件のデストリア級に対する砲撃命令を下したものの、他艦やデブリに遮られ、現在のキリシマの位置からでは万全の射線は確保できなかった。その為、非力なスラスターのみを用いて艦を機動させ、射点確保に努めなければならなかった。
 安田艦長のテンリュウが単独での突撃を開始したのはその直後のことであった。彼も沖田提督と同様の思考プロセスで、現状を打開できる可能性は敵旗艦を撃沈、若しくは撃破するしかないと判断していた。最早、ショックカノン搭載艦が僅か二隻となった地球艦隊では、物理的に敵艦隊を殲滅するのは不可能である以上、敵艦隊(あるいは敵艦隊を率いる指揮官)に精神的な打撃を与え、撤退の判断を強いるしかない――それが沖田提督と安田艦長が到達した結論だった。
 ショックカノンの射点を確保すべく、全力機動中のキリシマからもテンリュウの突撃は捉えられている――安田艦長の意図も。既に魚雷もミサイルも打ち尽くしたテンリュウがデストリア級に損害を与えられるとすれば、その方法は一つしかない。
 しかし、今この瞬間にもキリシマが命中弾を浴びて戦闘力を喪失する可能性がある以上(その可能性は決して小さくはない)、沖田提督も山南艦長もテンリュウの行動を制止することはできなかった。テンリュウを救えるとすれば、彼女より先にキリシマが砲撃でデストリア級を撃破することだけだ。それが分っているからこそ、山南艦長は全身全霊を傾けた懸命な操艦でキリシマを最適射点に導き続けている。
 彼には、友と交わした約束があった。その友は、自身との約束を完璧に果たしてくれた。なればこそ、自らも絶対に約束を違える訳にはいかない。彼は友に誓約したのだ、“必ず俺が仕留めてやる”、と。

「砲撃目標、敵旗艦。――機関室、状況知らせ」
『機関温度上昇中なるも、出力は安定を維持。発射に支障なし!』
「照準プログラムの修正完了。敵旗艦、まもなく本艦軸線に入る。測的準備」
「古代、照準管制をこちらに回せ」

 既にキリシマはショックカノンエネルギーの充填を完了していた。しかし、未だ有効な射線は確保できておらず、キリシマはサイドスラスターとバウスラスターのみで移動し続けている。

 一方のガミラス艦隊――その旗艦であるデストリア級の艦橋では、代理指揮官が半ば茫然と戦局の推移を見つめていた。
 既に戦闘は完全に彼の手の内を離れ、血に酔った両軍各艦が目前の敵とひたすら殴り合うだけの状況となっている。そこには高度な作戦も巧みな戦術も介在する余地はなく、指揮官はただただ状況に押し流されるだけの哀れな存在になり果てている。

 何故こんな無様なことに?何故俺がこんな目に遭わなければならない?
 この野蛮人どもは、一体何なんだ?
 何故ここまで抗う?何故ここまで戦える?

 それが代理指揮官の偽らざる心境であり、そんな彼の内心を占めているのは、理解不能な存在に対する原初的なまでの恐怖だった。

「正面に敵艦!急速接近!!」



 艦橋内で誰かが鋭く叫び、代理指揮官は反射的に視線を向けた。驚くほど近くに、ガミラス人の彼には到底理解できない派手なカラーリングを施した敵艦の姿があった。無数に浮遊するデブリ群をぬって、巧みに接近を果たしたのだろう。
 その艦首は、間違いなくこちらを指向している。

「見張り、どこを見ていた!阻止しろ!」

 艦長が叫び、デストリア級の主砲が吠える――しかし、敵艦はこれ以上ないという絶妙なタイミングで回避運動を行い、それを次々に避ける。いや、一発の陽電子ビームが敵艦の舷側を掠め、一瞬バランスを崩しかけるが、それでも敵艦はしぶとく進路を維持した。
 もはや敵艦は目前、装甲の繋ぎ目や艦橋に仁王立ちした人物の影すら判別可能な至近距離だ。
 代理指揮官は、生まれて初めて感じる圧倒的なまでの死の恐怖に、声一つ出せないまま、その視線を敵艦に釘付けにされていた――だが次の瞬間、横合いからの強烈な衝撃がデストリア級に襲いかかり、代理指揮官を含む艦橋要員は例外なく床の上を転がされた。
 正面から迫っていた敵艦が衝突したのではない。デストリア級が側面から砲撃を受け、その衝撃で弾き飛ばされたのだ。代理指揮官を恐怖のどん底に突き落とした敵艦は、直前までデストリア級が存在した空間を高速で駆け抜けていった。
 とは言え、代理指揮官にとっての状況は、笑って済ませられるようなものではなかった。彼の座上するデストリア級は主要防御区画の装甲を完全に貫かれ、甚大な損害が発生していたからだ。幾つかの砲塔は砲撃機能を失い、速力も大きく低下している。艦内で発生した火災も未だ鎮火の目処すら立っていない――。
 それは、代理指揮官に“ある決断”を下させるのに十分な理由だった。

 ガミラス艦隊が撤退を開始したのは、それから間もなくのことだった。
 彼らは、行動不能となった損傷艦に健在艦を接舷させて乗員の移乗を行うと、損傷艦を次々に爆破処分していった。その間、他の健在艦は周囲を固め、地球艦隊には指一本触れさせないという強い決意を見せつけた。
 そして地球艦隊も距離を取って静観するだけで、ガミラス艦隊の行動を妨害しようとはしなかった――いや、実際問題としてそれは不可能だった。
 既にショックカノン搭載艦はキリシマの他には村雨型一隻を残すだけであり、キリシマにしても最後の砲撃を行った際、酷使し続けた砲撃システムが遂にダウン、復旧の目処は全く立っていなかったからだ。
 奇妙な静寂が支配した戦場で、ガミラス艦隊は最後の損傷艦の処分を終えた。そしてデブリゾーンの外で宙母とその護衛艦と合流すると、一斉にゲシュタムジャンプを行い、火星圏から姿を消した。
 沖田提督が全軍に対し『カ2号作戦』の終了を告げたのは、更にその十分後のことだった。

――後編へ続く――

宇宙戦艦ヤマト2199外伝 “第二次火星沖海戦” 後編

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 以上がヤマト完成以前、地球艦隊唯一の勝利とされた『第二次火星沖海戦』の顛末である。
 確かに地球艦隊はガミラス艦隊を火星圏から打ち払い、海戦後の宙域の支配権を掌握した。更に、多くのガミラス艦を撃沈し、以降ガミラス艦隊の活動が極めて低調になった事実も考え合わせると、地球側の戦略的勝利と判定しても問題はないだろう。
 しかし戦術的には、地球側も海戦に参加した殆どの艦、航空機、そして何よりも貴重な熟練乗員多数を喪っており、極めて厳しい辛勝というのが実情だった。だが、未だ国連常任理事国及び国連宇宙防衛委員会の多くを占める徹底抗戦派は、敗色濃厚なこの戦争を継続する為に、本海戦を“大勝利”として喧伝せざるを得なかった。そうしなければ、戦争の先行きに強い不安感を抱いている各国の市民感情を鎮静化することはできず、台頭しつつあった早期講和派の勢力拡大も阻止できなかったからだ。
 その結果、海戦の“大勝利”と共に、艦隊を率いた沖田提督や各隊指揮官は“英雄”とされ、多くの戦死した将兵は“軍神”として祭り上げられた。
 沖田提督を含め、あの戦場を生き残った人々は、そうした国連や各国政府の振る舞いに忸怩たる想いを抱きつつも、戦場で倒れた戦友たちを思えば、それを表立って口にすることもできず、自分自身の心を強すぎる自責の念で傷つけ続けることになる。
 特に沖田提督は、突撃駆逐艦テルヅキ艦長であった実子を、自身を守る形で喪っており、その心痛は察するに余りあった。海戦後、キリシマが地球に帰還した際、出迎えた土方宙将もかける言葉を見つけられず、表面上は艦隊司令長官としての威厳を維持している親友の肩に無言で手を置くことしかできなかった。

「多くの――あまりに多くの命を失ってしまった」

 海戦後、ろくに休息も取っていないのだろう。親友を前に俯いたままの沖田の顔は疲労と悔恨、自責の念でどす黒く染まっていた。

「沖田、お前――」

 沖田の発する只ならぬ気配に何かを感じ、土方は思わず口を開いた。
 彼は、親友の心根の優しさと責任感の強さを知り尽くしており、この優し過ぎる男が、勝利の為に自らの息子まで犠牲にしてしまったという事実に耐え切れるのかと心底から案じたのだ。
 だがそんな土方を、貌を上げた沖田の視線が制した。その双眸が発する輝きの強さに、土方は安堵する以上の驚きを覚える。

「大丈夫だ。儂は――死なん。
 死んでしまっては、逝ってしまった者たちの願いも、遺された人たちの想いも、何一つ叶えられん。
 たとえ悪魔、人殺しと呼ばれても、儂は生きてこそ果たすことができる責任を全うする。
 そうすることでしか――償うことはできんのだ。」

 満身創痍の親友が示した悲壮なまでの決意。
 その姿に、土方は自らの胸の奥底に仕舞い込んでいた感情が、鋭い痛みを発したことに気がついた。彼にも同じ経験があったからだ。一昨年の戦いでは、彼も指揮下にあった多くの将兵を喪っている。だが――。

(結局、俺は・・・・・・逃げたのだ。
 職を辞したところで、責任など果たすことはできん。それは分っていた筈だ。
 石にかじりついてでも職に留まり、責任を果たすべきだったのだ。沖田ではなく、この俺が)

 悔恨という他ない苦い感情が胸一杯に広がり、それが言葉となって喉元にまで込み上げてくる。しかし、それを口にすることはできない。それを許す親友ではないことは、彼が一番よく分っている。
 だからこそ彼は言った。考えて言ったのではない。自然と言葉が溢れ出た。

「――お前だけで背負うつもりか?」

 その一言は沖田の意表を突いたのだろう。怪訝な貌で土方を見返す。

「その責任と償い――俺にも背負わせろ」

 土方が、長らく固辞していた実戦部隊指揮官への就任を宇宙海軍司令部に申し出たのはそれから間もなくのことであった。

 そして、そんな二人の姿を遠目で見守っていたのは、またしてもキリシマの山南艦長とテンリュウの安田艦長だった。
 二人は短く言葉を交わし合い、内心だけで再会の喜びを分かつと、再び二人の先達に視線を戻した。二人の宿将は肩を並べてその場を立ち去ろうとしている。このまま宇宙海軍司令部へ報告の為に出頭するのだろう。
 そして――沖田提督はそれが終わり次第、もう一つ報告に赴かねばならない場所がある。山南にはそれが分っていた。そして、土方宙将もそれに同行するに違いない。
 山南は、二人の背中から視線を外さないまま言った。

「安田よ、もしあの時、俺の撃つのが間に合わなかったら、あのまま敵に突っ込んだか?」
「・・・・・・さてね」
「どうなんだ?」

 あまりに多くの死を間近に感じたことで、心がささくれていたのかもしれない。詰問する山南の声が僅かに高くなる。だが、それに応える安田の声はどこまでも穏やかだった。

「俺もお前も、あの時、あの場所で最善を尽くした。
 俺は信じていたさ。お前が必ず撃つと、お前と沖田さんが俺の突撃を絶対に阻止すると。
 だから俺は、俺の役割を最後まで果たしたまでだ。
 お前だって――信じていたんだろ?」

 そう言ってニッと笑った安田艦長に釣られるように、硬かった山南の表情がようやく緩んだ。

「全くお前は・・・・・・・。それより思い出したぜ。
 確かにお前は俺のところまで女の子を引っ張ってきてくれたがな、一番可愛い子は大抵、お前が持ってったよな?」
「それが互いに最善を尽くした結果、ってことだろ?
 人間、最善を尽くしても、結果が得られるとは限らん。
 しかしどんな結果であれ、最善を尽くしたと確信できなれば死んでも死に切れん」

 山南は想う。最善を尽くしてもなお、勝てない戦(いくさ)に遭遇した時、指揮官はどうすればいいのかと。
 死んで責任を取る?生き恥を晒してでも復仇の機会に賭ける?全て投げ出し坊主にでもなって寺に篭るか?――分らん。しかし一生経験したくない立場であることだけは確かだ。

「――安田。今回の戦い、俺たちは最善を尽くせたと思うか?」
「お前はその点に疑問があるのか?」

 もう安田の目は笑っていなかった。
 彼の率いた支援隊の損耗率は実に60%を超えている。その内心で荒れ狂っている葛藤や自責の念は山南の比ではないだろう。しかしそれでも、この男は目前の友人への気遣いを忘れていない――。
 山南は一度天を仰いで嘆息した。
 畜生。悔しいが、今はお前の方が指揮官として一枚も二枚も上手だよ。だが、いつまでも俺がこのままだと思うな――山南は制帽を取った。

「――すまん、バカを言った。忘れてくれ」
「もう忘れたよ」

 屈託のない笑顔で山南の肩を小突いた安田に、今度は山南はお返ししなかった。
 振り返ると、既に沖田と土方の姿は見えなくなっていた。

「安田――そろそろ行くか?」
「ああ、行こう」

 どうやら考えていたことは同じだったらしい。二人は手分けして帰還した他艦の艦長たちに声をかけ始めた。



「――貴官らは十分な戦果を挙げた。本当にご苦労だった。
 詳細報告は後日で構わない。まずはゆっくりと休息を取ってくれ」

 国連宇宙海軍司令長官の労いの言葉も、沖田の心に響くものは何もなかった。
 悪魔、か――沖田はひっそりと思う。
 それが指すのは敵ではない、他ならぬ自分自身だ。
 多くの部下を死なせ、息子すら自らの盾にしてしまった男をそう呼ばずして何と呼ぶのか。
 沖田には分っていた。自分が生きている限り、生きて償おうとする限り、更に大勢の若者を死なせてしまうことになることを。
 しかし、逃げ出すことはできない。彼には逝ってしまった者たちとの誓約がある。

 ――この世という煉獄に囚われた悪魔、か。

 自嘲的な嗤いが込み上げてくる。
 沖田には、今まさに自分が壊れかけているという自覚があった。
 しかし、このまま壊れることができたらと思う一方で、それを許す自分ではないという事も理解している。
 ふいに視線に――会議卓の向こう側からこちらを見ている土方の視線に――気づく。親友の瞳に含まれる『大丈夫か?』という色に、沖田は微かに頷くことで応えた。

 大丈夫だ、土方。儂は逃げん、皆との誓約から。
 儂のことを信じ、慕い、敬ってくれた者たちとの約束と償いを果たす。
 たとえ――それによって、より多くの者たちの命を奪うことになったとしても。
 この大いなる矛盾とその咎(とが)は、誰かが負わねばならない。
 そんな“悪魔”は、儂一人で十分だ。

「以上だ、沖田君。今日はもう――。土方君、頼む」

 心身共に憔悴し切った――それでありながら、艦隊指揮官としての威厳を決して崩そうとしない――沖田の姿をそれ以上直視できなかったのだろう。国連宇宙海軍の長は土方に後を委ねた。
 この場にいる者全員が、沖田が海戦で実子を亡くしたことを知っていた。その経緯も。
 会議卓から立ち上がりかけた沖田の躰がグラリと傾く――それを素早く回り込んだ土方が支えた。

「――言っただろう。俺も背負うと。」

 ハッとする沖田。
 しかし、土方はそれ以上は何も言わず、全く自然な動作で沖田に肩を貸す。司令部の若手たちも腰を浮かしかけるが、土方は片手を上げてそれを制した。

「そうだ・・・・・・すまん。そうだったな」

 そう呟く親友に、土方は微かに頷くことで応えた。

「行けるか、沖田?」
「ああ――行こう」

 扉に向かって歩きだす二人。司令部の全員が次々に起立し、その背中に敬礼を送る。沖田を毛嫌いしていると噂される芹沢軍務局長すらその例外ではない。いや、誰よりも早く立ち上がって敬礼したのはその芹沢だった。

 ゆっくりと歩みを進めた二人の前で司令部の扉が開く。だがそこで、土方が驚いたように足を止めた。
 何事かと遅ればせながら沖田も貌と視線を上げる――そして目前の光景に瞠目した。
 扉の前には、第二次火星沖海戦から生還した各艦の艦長、副長たちが整列していた。彼らの肌の色も性別も、軍服の種類も一つではない。しかも、その人数は海戦前の準備会議時と比べると、哀れを催すほどに激減していた。
 どの顔も疲労と消耗の色が濃く、血の滲んだ包帯を巻いている者や片腕を吊っている者もいる。しかし彼らは一様に顔を上げ、背筋を伸ばし、自らの指揮官への敬意と感謝、そして忠誠を完璧なまでに示していた。
 列の中央に位置する山南が、厳粛な表情のまま声を張り上げた。

「小官らは、本海戦を沖田提督の指揮下で戦えたことを、生涯の誇りと致しますっ!」

 次の瞬間、傷だらけの男女全員が一斉に踵を合わせ、自らの指揮官へ敬礼を送った。
 それはまるで、空気が結晶化し時間の流れすら停止したかのような光景。いや、軍隊という暴力装置が時折見せる、誠意と純粋さだけで描き出した幻想と言うべきか。
 ――沖田は土方に大丈夫だと告げると、腹の底に力を入れ、気力を奮い起こし、自らの両足の力だけで地面に立った。彼らの指揮官として、そうしなければならないと思ったのだ。
 一歩列へと歩み出て、整列する全員の顔を見渡す。
 喪われた者たちのなんと多いことか。逝ってしまった者、一人一人の貌が瞼の裏に浮かんでくる。その中には、息子の笑顔もある。
 しかし、自分が戦い続ける限り、今こうして満身の敬意を示してくれている者たちまでも、自分は殺してしまうことになるのかもしれない。

 しかし今は、今この瞬間だけは――。

 沖田は、軍礼に定められた通りの完璧な動作で答礼した――生還した者たちと逝ってしまった者たちへ、全身全霊の感謝を込めて。

「諸君――ありがとう」

 この煉獄における“悪魔”たることを甘受した男。
 しかしその唇から溢れ出した言葉は、およそ悪魔には相応しくないものであった。
 ――彼らの困難極まる戦いは、この後も続く。


【第二次火星沖海戦 損害集計(「ガミラス戦争戦史叢書」より抜粋)】
〇喪失
  村雨型:ツクバ,ノシロ,スズヤ,イズモ,カトリ,ユウバリ(計6隻)
  磯風型:テルヅキ,ユウヅキ,アキグモ,イカヅチ,ナミカゼ,アラシ
      ユウグモ,オオナミ,カスミ,アサグモ,ユウダチ,スズカゼ
      ワカバ,アマギリ,サザナミ,ナレースワン(計16隻)
  ブラックタイガー:15機(帰投後廃棄を含む)
  SR91:7機

〇大破
  金剛型:キリシマ
  村雨型:ユウギリ
  磯風型:カゲロウ

〇中破
  村雨型:テンリュウ

〇健在(小破含む)
  ・村雨型:トネ,ユリシーズ
  ・磯風型:フユヅキ,ユキカゼ,シキナミ,シマカゼ,トルニオ
  ・ブラックタイガー:3機

〇戦死・行方不明者:931名


 一方のガミラス軍では、火星沖での敗北に激怒したゲール少将によって代理指揮官が即刻解任され、方面軍司令部へ呼び戻された(当初、怒り狂ったゲールは代理指揮官を直ちに銃殺するよう命じたが、軍制上さすがにそれは不可能だった)。続いて彼は、敗北の責任をなんとかシュルツ大佐に押し付けようとしたものの、他ならぬ彼自身の命令によって大佐の指揮権は停止中である以上、それも無理があった。
 既に方面軍司令部において、大佐の命令不履行の嫌疑に対する予備審問は開始されていたが、火星沖での敗北の衝撃はそれすら有耶無耶にしてしまい、程なくして大佐は七五七旅団の指揮権を回復している。
 そしてこの時、ようやくシュルツ大佐とその幕僚団は第二次火星沖海戦の顛末を知らされた。
 敗北の事実よりも旅団の大損害が幕僚団に大きな衝撃を与え、それがゲール少将に対する激しい憤怒に転じるのに時間はかからなかった。しかし、シュルツ大佐は激昂する幕僚団を抑え、以下のように述べたとされる。

「我等はあまりに多くの戦友を、同胞を一どきに喪った。
 その怒りと悲しみは、小官とて貴官らと何ら違わない。
 だが同時にこうも思う。何故だ?何故、我等はこのような目に遭わねばならぬのだ、と。
 その答えは皆も知っての通りだ――嘗ての我々があまりにも弱く、貧しく、愚かだったからだ。
 だからこそ、今の我等はこのような立場に甘んじなければならぬ。
 だが我等は、我等の祖国は、決してこのままでは終わらぬ――絶対に終わらせるものか。
 今はたとえ汚泥に塗れようとも、いつの日か必ず、我等はこの泥濘から這い上がり、自らの力で自らの尊厳を取り戻す。
 その日まで、我等は戦い続けなければならぬ。たとえ――忠誠の対象が定かならぬとも」

 普段、感情を露にすることもなければ、長広舌を振るうことも殆どないシュルツ大佐だけに、この時の言葉には異様なまでの迫力と揺るぎのない決意があった。そしてこの日以降、ガンツ少佐以下の幕僚団は大佐への忠誠と信頼を新たにするのである。

 こうして幕僚団の動揺を抑えたシュルツ大佐であったが、その内心で渦巻いていたのは怒りや民族復興の決意だけではなかった。“第一次”火星沖海戦時に漠然と感じた危惧――もし地球人たちがガミラス艦を撃破可能な装備を得たら――が現実のものとなったことに暗然としていたのである。
 ガミラス軍最強を謳われる第六空間機甲師団に属した経験を有する大佐から見ても、地球艦隊の戦術能力・技量は際立っており、そんな彼らが強力な砲熕兵器を装備した場合の自軍の損害想定はあまりにも膨大であった。そしてそれは、これ以上同胞たちの犠牲を重ねないと誓ったシュルツ大佐にとって、許容できる損害ではなかった。
 また、第二次火星沖海戦の結果を地球軍は自軍の大勝利と喧伝し、その士気を大きく回復させているのは間違いなく、大佐のオリジナル・プラン――降伏勧告受諾による地球の無条件降伏――が水泡に帰したことも明らかであった。

 だからこそ戦術、いや戦略の大胆な転換が必要だ。

 地球人たちは攻撃力こそ限定的ながらガミラス軍に匹敵する能力を手にしたものの、未だゲシュタムジャンプやそれに類する長距離航法を用いることができない。その点では、冥王星前線基地は彼らにとって“遠すぎる星”であり、彼らから攻勢を発起することは現実的には困難だ。万が一そうした状況が生起したとしても、こちらは万全の迎撃準備を整えることができる上に、近傍の部隊からの増援すら期待できる。
 シュルツ大佐は、手元のレポートに目を落とした。

『星間戦略爆撃の有効性と規模拡大の為の戦策』

 大佐の懐刀とも言うべき作戦参謀ヴォル・ヤレトラー少佐が上申してきたものだ。どうやら、銀河方面軍司令部への長期航宙の間に作り上げたらしい。
 そのレポートには、前回の微惑星爆撃が地球に与えた影響が多角的に評価されており、この戦争を最低限の人的・物的コストで完遂する為に、微惑星爆撃をより大規模且つ効率的に実施すべきだと結論付けていた。
 更にその為の手段も、より洗練された手法が発案されている。
 報告書には、兵器開発局から銀河方面軍へ運用試験が依頼されたものの、試験先の目処が立たないまま死蔵されていた兵器群のリストが添付されており、その中に拠点防衛用の大口径陽電子ビーム砲があった。
 本砲は、惑星上の濃密な大気層による威力減衰を無視できるだけの大口径・大威力を誇るだけでなく、反射衛星と組み合わせることで、アクロバティックな“曲射”を可能とした兵器だ。ヤレトラーは、本来は自惑星に着上陸してきた敵地上部隊をトップアタックで殲滅する為に開発された兵器を、微惑星の軌道修正と加速に用いることを提案していたのである。
 もちろん本砲――反射衛星砲――を用いた場合でも、微惑星が大威力の陽電子ビームで粉々に破壊されないよう事前に耐弾・耐熱コーティングを施す等の処置は必要だが、それでも先の初弾のように外付けの推進器で加速させるより遥かに効率的且つ低コストだった。
 通常、ガミラス軍がこの手の戦略爆撃に多用する惑星間弾道弾と比べても、素材の調達性故に本案のコストパフォーマンスの優位は明らかであり、戦術面においても人的損害のリスクが極めて低い点が素晴らしかった。
 とは言え、地球軍がガミラス軍並みの陽電子ビーム砲を実用化した今に至っては、爆撃がある程度阻止されることも覚悟はしなければならない。しかし、ここでも微惑星爆撃の低コストが活きてくる。補給体制を含め戦備が十分とは言えない七五七旅団であっても、天然物である微惑星の多数調達は極めて容易だからだ。この点を活かし、同時多方位からの微惑星爆撃を長期に渡って継続すれば地球軍の防衛態勢もやがては破綻し、爆撃成功確率が上昇するのは確実と考えられた。
 唯一の難点は、爆撃が実際的な効果を上げるまでに多少の――それこそ年単位の――時間を要することだが、これまで執拗に拙速を強いてきたゲール少将も、今回の作戦指導の失敗以降、めっきり勢いを失っているらしい。
 予備審問の中断後、シュルツ大佐の方から何度となく少将に面会を申し入れているが、あれこれと理由を並べられて、結果的に面会は実現していなかった。どうやら少将は、大佐らから中央に告発されることを恐れているようだった。
 なるほど、あの愚鈍愚劣極まりない小心者に相応しい態度だ。だが、その点を突けば、反射衛星砲にしても、地球軍攻勢時の増援にしても、容易に了承を得られるだろう――大佐にはその自信があった。

 しかし――。

 シュルツは重い溜息を吐き出しながら眉間を揉むと、傍らに置かれていたもう一通のレポートを手にした。
 それは数時間前、突然面会を申し入れてきた『内務省惑星開発局』のエージェントを名乗る人物から手渡されたものだ。エージェントは銀河方面軍司令部ではなく、ガミラス軍最上級司令部『帝星国防軍最高司令部』の命令書を携えており、そのセキュリティレベルも最高度に設定されていた(つまり、命令書を開封したシュルツは、直属上官であるゲールに対しても秘密を守らなければならない)。
 にもかかわらず、命令書には単に、本書携帯者に可能な限りの便宜を図るよう記されているだけで、具体的な指示は何も書かれていなかった。
 つまり命令はこの男から受けろということか――そう悟り、先を促したシュルツにエージェントは思わぬ話を切り出した。

 貴官らが攻略を果たそうとしている“テロン”を、大ガミラス帝星と全く同様の環境へと造り替える――その“土木工事”を貴官らに命じる。既に帝星からは、その外殻の一部を利用した環境改造用プラントや人工太陽ユニットが発進し、ゾル星系に向かっている。
 テロンに寄生する蛮族どもを駆逐し、プラントで生成した“種”をテロンで芽吹かせ、かの地をガミラス人にとって神聖なる『新惑星』とするのだ――秘密裡に。
 尚、本命令は大ガミラス帝星永世総統からの直接命令と心得よ。その証として、貴隊司令部には総統府へのホットラインが敷設される。

 慇懃にそう告げた、いやそう命じたエージェントの蒼い貌に張り付いた冷笑をシュルツは今も忘れられない。
 あの嗤いは誰に向けたものだ?テロン人か?我等“二等ガミラス人”に対してか?

 “種”を芽吹かせる――それは既存の自然環境や生態系に新たな植生を付け加えるというような生易しい話ではない。
 テロンで芽吹いた“種”は、土壌には他の植物種を枯死させる成分を分泌し、大気中には動植物を冒す毒性胞子を放出する。“種”は遺伝子操作により発芽環境を選ばないばかりか、繁殖・成長速度も極めて速く、あらゆる環境下で他の植物群を駆逐しながら急速に繁殖範囲を拡大する。中規模の岩石惑星であれば、5年から10年で既存の植物群を完全に絶滅できるとされており、当然それらに依存していた他の動物や昆虫、菌類までもが悉く命脈を絶たれることになる。つまりは――生態系の根絶であり、完全なる環境破壊だ。
 そして惑星上で唯一の“種”となった瞬間、“種”も役割を終える。単一種では環境連鎖を維持することも新たに形成することもできず、遠からず枯死することになる。結果、テロンには汚染された大気と土壌のみが遺される。
 もちろん、帝国の目的はテロンの破壊と汚染そのものではない。並行して、新たな“環境創生”が星系内で進行している。
 帝星外殻の一部を利用した環境プラントで、ゾル星系への適用性と成長因子を強化した帝星由来の植物や菌類、微小生物を大量に繁殖させて生態系を構築、それを星系最果ての無人惑星『ファウスト』に移植する。更に、新たに設置した人工太陽により移植した生態系の拡大と増殖をファウスト上で行いつつ、最終的には固有の環境が破壊されたテロンに、ファウストの地殻ごと植え付けるのである。
 テロンに持ち込まれる植物の中には、既に死滅した種の放出した毒素を分解・無効化するものも含まれており、植生の大規模移植開始から10年程度でガミラス人が移住可能な最低限の環境が整い、50年以内にテロンは帝星とほぼ同等の植生と環境を有する惑星として生まれ変わるだろう――エージェントから手渡されたレポートはそう結ばれていた。

 これは・・・・・・もはや軍人の所業ではない。大量殺戮、虐殺などという言葉ですら生ぬるい。
 星一つから生態系を根絶するだけでなく、自らのそれで乗っ取ってしまうだと?
 この想像するだにおぞましき蛮行を、帝国は我々に強いると言うのか。
 ふつふつと湧き上がってくる怒りに、シュルツの全身は灼けた鉄のように熱を帯びる。
 だがこの時、バルケ・シュルツ大佐の戦略家としての冷徹な頭脳は、全く別の思考を弄んでいた。

 あの男、惑星開発局所属などと名乗ってはいたが、絶対に違う。
 奴の“匂い”は、官僚でも軍人でもない。あれは――“親衛隊”だ。
 そう考えれば、最高司令部からの命令書がああも無味乾燥だったことにも説明がつく。国防軍は関わり合いになりたくなかったのだ、総統勅命の親衛隊マターなどに。だから我等二等ガミラス人部隊に面倒をそのまま押し付けた。
 しかし、帝国は何故このような辺境の地に対して、ここまで無慈悲且つ徹底したフォーミングを実行しようとしているのか?それも極秘裏に。
 ガミラスにとってゾル星系は、一個旅団程度の戦力を展開するにも難渋する程の僻地。帝星の一部を利用した大規模プラントや人工太陽の回航など、フォーミングに要する膨大なコストは想像を絶する。
 既に膨張主義が限界に達しつつあるとも言われている今の帝国にそんな余裕があるとは思えない。いや、そもそも帝国のどこにそんな必要があるというのだ?

 あるいは、真に必要なのは帝国ではなく――。

 思い出されるのは帝星軌道上に浮かぶ巨大な影。バレラスに帰還する度に、ラグランジュポイントL1を通過する度に、巨大さと禍々しさを増していくように感じられた重厚極まりない軌道構造物。一般には、帝星防衛用軌道要塞と公表されている存在――『第二バレラス』。あの建造を取り仕切っているのも、国防軍ではなく親衛隊と聞く。

 あれは、まさか・・・・・・そんなバカな。

 しかし、そうとでも考えなければ、整えられた準備が大掛かり過ぎる。二等ガミラス人部隊の司令部に総統府へのホットラインだと?尋常なことではない。

 シュルツの脳裏に浮かぶのは、帝星に残してきた愛しい妻子の姿。
 同時に、参謀団に告げた自らの言葉――今はたとえ汚泥に塗れようとも――を思い出す。

 バルケ・シュルツ大佐は有能ではあったが決して全能ではなかった。故に彼の推測は正誤共に多く含んでいたが、現実主義者でもある彼は、自分自身でもそれを自覚していた。
 しかし彼には絶対的な確信がある。これは“ただ事ではない”と。

 ――やらねばなるまいな。
 レポートから目を逸らし、虚空に向けられたシュルツの瞳の色は、どこまでも暗い。
 やらねばなるまい。もし帝国や帝星に自身が想像したような秘密が存在するのなら。
 生態系の根絶と環境連鎖の完全破壊とは、部下たちには不名誉な戦(いくさ)を強いることになるが、どの道、星間戦略爆撃の初弾を放った時点で、我等の両手は大量虐殺者という血に塗れている。
 幸か不幸か、純技術的には耐弾・耐熱コーティングを施した微惑星に“種”を埋め込むことは容易だ。“種”を耐圧カプセルに封入すれば、陽電子ビームの熱量にも、惑星落下時の衝撃にも十分耐えられる。
 その点、新戦略として決定した星間戦略爆撃を修正する必要は殆どない。

 畜生。自分はきっと、いつか自立を取り戻したザルツの歴史の中ですら、侵略者の手先となって大量虐殺と大規模環境破壊を指揮した悪魔、鬼畜生と罵られるに違いない。
 しかしそれすら、この戦(いくさ)が栄光の欠片もない勝利に終わった場合の話だ。
 この戦、きっと最後の最後まで一筋縄ではいかん――それがシュルツ大佐の偽りのない本音であり、もう一つの確信であった。


――第二次火星沖海戦 おわり――


【あとがき】

昨年5月から制作を続けてきました一連のストーリー『火星沖シリーズ』も、この『第二次火星沖海戦』で遂に完結です。
2199劇中でも存在が言及されながら、公式では遂に描かれることのなかった『第二次火星沖海戦』、この戦いとはどのようなものだったでしょう?

『ヤマト完成以前、唯一地球が勝利した2193年の戦い。この戦いにおいてキーアイテムとなったのが陽電子衝撃砲であり、勝者にして英雄となったのが沖田十三だった。しかしその勝利は、沖田の実子や山本明生をはじめとする幾多の尊い犠牲の上に築かれたものでもあった。そして戦いの結果、ガミラスは地球本土への直接侵攻を諦め、遊星爆弾によるアウトレンジ攻撃に戦略を切り替えることになる――』

劇中で語られた第二次火星沖海戦に係る説明はこれくらいだったと思います。
このストーリーを2199の未来世界である2202まで含めて整理の上、構築したのが本『火星沖シリーズ』です。
時間と思いつきが許す限り、目一杯までネタを盛りつけた結果、後付け感が鼻につくところも沢山あるとは思いますが――その点は平に御容赦を。

第二次火星沖海戦の展開については、それこそ2199放送中から、部分的には何度も妄想したことがあったのですが、最初から最後まで、戦略・戦術を含めて全部となると、かなりの難産でした。
とにもかくにも当時の地球艦とガミラス艦の個艦性能格差が大き過ぎましてw
また、ショックカノン搭載艦の数をひたすら揃えて、奇襲でガミラス艦隊を一気に殲滅してしまうという展開も考えましたが(正直、それが一番簡単)、シュルツが解任・更迭されてしまう程のガミラスの大敗になっても困ります(大敗後にシュルツが後任として派遣されるという展開は以前にやっているので、同じネタは使いたくないという事情もありました)。
更に、同じ2193年に行われたという第一次火星沖海戦に、なぜその多数のショックカノン搭載艦を投入しなかったのかという問題もありましたし、何より、そんな一方的な戦い、誰も見てて(読んでて)楽しくないでしょ?w
そうした点から、『地球の辛勝(それもギリギリの)』というのが、本企画の最初期からの絶対線になった訳です。
ただ、そうしたストーリーの成立は、やはり一筋縄ではいかず、結果的にガミラス戦争開戦前に遡って、設定を捏ね繰り回す羽目になりましたが・・・・・・(笑)

ショックカノンにより、攻撃力こそ限定的にガミラス艦を凌駕するスペックを地球艦は得た訳ですが、防御力と機動性については未だ圧倒的格差がありました。
なので、陽動部隊でショックカノン搭載艦隊の射線上にガミラス艦隊を誘い出して・・・という展開も容易ではありません。
ショックカノン以外、地球艦隊の攻撃力が全く無力なのであれば、ガミラス艦は陽動部隊を歯牙にもかけず、陽動すら成立しない絵面が容易に想像できたからです。
そうした時に思い出したのが、2199第一話での地球艦隊とガミラス艦隊の戦闘シーンでした。
後背からの接近を許した地球艦隊は艦首のショックカノンを使うチャンスを与えられないまま、同航戦に突入します。
この時、地球艦隊は高圧増幅光線砲でガミラス艦隊に対して砲撃戦を挑む訳ですが、最初から光線砲が全くの無力なのが分っているのであれば、こうした戦い方を選ばないんじゃないかと思ったのです。
では逆に、あの砲撃に意味があったとすれば、それはなにか?それが2199より新たな設定として加わった『ミゴヴェザー・コーティング』を剥離することがだったんじゃないか?海戦後半、キリシマは多数の魚雷やミサイルをガミラス艦隊に向けて発射したのは、コーティング剥離した箇所へのダメージを狙ってのことだったんじゃないか?――そんなことを考えながら、通常兵装でガミラス艦を撃破可能な戦術を地球艦隊に編み出してもらいました。
もちろん、公式にはそんな戦術はありませんので、この点は私の完全なる捏造ですwww

捏造と言えば、山本明生の乗機も公式にはSSR-91コスモスパローとされていますが、MMDモデルの関係もあって、本作では100式空間偵察機の原形機とされるSR-91としました(形式番号がコスモスパローに酷似しているのは、何か関係があるんですかね?)。
私、100式はかなり好きな機体なので、今回「偵察機」として大きな見せ場と役割を果たさせることができたことには、実は大変満足しておりますw
機体ついでに言うと、地球側の戦闘機隊の主力機は2199本編には登場しなかったブラックタイガーを起用しています。
2199年前後に配備されたであろうコスモファルコンやコスモゼロを2193年に登場させる訳にはいかないという事情と、むらかわみちおさんのコミック版でブラックタイガーが練習航空隊で使用されているような描写があったので、ここでの採用となりました。
あぁ・・・・・・きっとブラックタイガーの主翼は頑丈で鋭利なんですよw

他にも色々と書きたいことがあった気がしますが、公開予定時間(2019年10月25日21:00)まで残り二時間くらいしかなく、頭の中もまとまらないものですから、今回の『あとがき』はこの辺にさせていただきますw

最後になりましたが、今回MMD動画の原作者にして“副監督”という美味しい(笑)ポジションをオファー下さったFGT2199さん、大役を引き受けるにあたり基本構想の点で多々ご助言いただいた七猫伍長さん、看板女優(笑)の客演を快くご了承下さったEF12 1さん、本来はエピローグの筈だった『火星沖2203』を一本の外伝として仕上げる勢いを下さり、挿絵まで御提供いただいたHARUさん、寂寥感漂う地球艦隊帰還シーンのイラストを後編の表紙絵として使用させていただいた蒼衣わっふるさん、臨場感満点の照準画面を使用させていただいた島さん(動画と違って砲撃を外してすみません)、幕間の校正に快く御協力いただいた八八艦隊さんとA-140さん、その他お名前を上げられなかった沢山の皆様のお陰で本日、遂に作品の公開に漕ぎつけることができました。
本当にありがとうございました!!
重ねて御礼を申し上げます!!m(__)m

MMD『第二次火星沖海戦』大ヒット御礼!!www

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宇宙戦艦ヤマト2199MMD外伝 第二次火星沖海戦

何やら上映中の映画みたいな記事ですが(笑)、先週金曜日に公開開始しました第二次火星沖海戦が僅か10日間で、再生回数3万回を超えました!!
昨年公開しました第一次火星沖海戦すら遥かに上回るペースで、コメントやマイリスト(お気に入り登録みたいなもの)も既にそれぞれ千件を超えています(^^;)
また、本ブログのコメント欄やツイッターでの御感想ももの凄い数を頂戴しており、ビックリしています。
それだけでなく、本作をイメージしたイラストも描いていただきました。

ライナス様


八八艦隊様



はんちょー様


ライナス様の描かれたキリシマの緻密なディテールと沖田さんの気魄に満ちた表情は、本編のラストファイアの瞬間を思い出さずにはいられませんね(^^)
八八艦隊様とはんちょー様には共に海戦に参加した英国艦『ユリシーズ』を描いていただきましたが(八八艦隊さんはショックカノン搭載艦のトネも合せて描いていただきました)、どちらも個性と魅力が光っています♪
第一次海戦時にFGTさんと、英国を含むEU艦はイエローを主体のカラーリングにすることにしたのですが、正直あまりカッコいいとは思っていなくって(ごめんなさい)、色んな他作品の影響もあるとは思いますが、こんなに『ユリシーズ』が人気艦になるとは思ってもいませんでしたw
それにしましても、これほど沢山の方の創作意欲を刺激するFGTさんの動画パワーは本当にスゴイです(^o^)
ライナス様、八八艦隊様、はんちょー様、素晴らしいイラストを本当にありがとうございました!!\(^_^)/

そしてそして、制作者二人で少し悪ノリしてしまい、第二次火星沖海戦のオーディオコメンタリーを作成してしまいましたw
先日、福山で宇宙戦艦ヤマト2202最終章の生オーディオコメンタリーが行われた際、FGTさんと合流して、某カラオケ店で動画を見返しながら音声の収録を行いました。
この1年半近くの制作中の出来事が次々に思い出されまして、収録時間は実に40分を超えてしまったという・・・・・・(^^;)

宇宙戦艦ヤマト2199MMD外伝 第二次火星沖海戦  オーディオコメンタリー(?)

キーキーと高い声でよく喋っているのが私(笑)で、相原役とか似合いそうなイイお声がFGTさんです。
色々と失礼なことも言ってしまい、御聞き苦しい点もあるかと思いますが、どうか生暖かい目で見守っていただければと思います(^^;)

そして最後に、FGTさんが第一次や第二次火星沖海戦用に制作されつつも、公開版には採用されなかったカット集をyoutubeにて公開されています。

宇宙戦艦ヤマト2199MMD外伝 第一次・第二次火星沖海戦 没カット集


この動画を拝見していますと、ショックカノンの発射エフェクト一つをとっても、FGTさんがどれだけ悩まれ、試行錯誤されたかが伝わってきます。
この機会にぜひご覧下さい(^o^)

では引き続き、MMD『第二次火星沖海戦』をご愛顧下さいませ♪

宇宙戦艦ヤマト2205の世界を妄想してみる。

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さてさて、火星沖シリーズの完結以降、文章を書くのをずっとサボっていましたので、そろそろブログの方も復活していこうかと思います。
まずは一つ、久しぶりに艦艇の設定妄想でも・・・・・・と思いましたが、さっぱりネタが浮かばないので(ゴメンなさい)、来年秋頃の公開が予告されている新シリーズ『宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち』について、思いついた事を書いていこうと思います。
もちろん、まだタイトルやスタッフくらいしか発表されていない時期ですので、タイトルから想像した単なる思いつきですがwww
ではでは、最初に2202のラストを思い出すところから始めましょうか。

①エンディング時の劇中時間は2203年末頃。
②ヤマトは2202の開始時(第一次近代改装後)の姿で修復済み。
③時間断層は消滅。
④時間断層消滅までに、乗員が確保できないくらいの艦(D級が主?)が完成済み。
⑤未だ民主派が政権を握るガミラス本星と地球は同盟関係を維持。
⑥デスラー体制復活派は民主派政権から離脱、デスラーと行動を共にしている。
⑦復活派と地球の関係は敵対的なものではないが、公式な同盟や友好関係を結ぶには至っていない。

⑤~⑦についてはかなり想像を含んでいますが、それほど無理のない想像だと思います。
2205の副題は『新たなる旅立ち』なので、そのストーリーラインがオリジナル版『新たなる旅立ち』をなぞるのだとすれば、ヤマトは2205年に再びイスカンダルへと向かうことになるのでしょう。
で、そのイスカンダルの隣のガミラス星ですが、未だ民主派政権下のままという可能性が高いように思いますが、いかがでしょうか。
さすがに本編での描写のない空白期間にデスラーが返り咲きましたと言われても、すんなりとは納得できませんよね(^^;)
ただ、民主派とデスラー体制派が内戦を行っている可能性はあるでしょう。
まぁ、どちらの勢力も“悪く”はないので、両派が熾烈に戦うよりも精々小競り合いや冷戦のような微妙な関係性を維持している気がしますが。
ただ、内戦の有無はともかく、少なくとも分裂によって、総体としてのガミラスは弱体化しており、そこに暗黒星団帝国(デザリアム帝国)につけ込まれる隙も生まれてきます。
ですが同時に、暗黒星団帝国という共通の敵手が登場することで、両派の統合が一気に進むという展開もあり得る訳ですね。



そして、我らがヤマトですが、オリジナル版と同じくイスカンダル救援に向かう場合、一つ大きな問題があります。
地球からイスカンダルまでの距離と時間です。
2199では、ヤマトは166日を要してイスカンダルに辿り着きました。
ただ、2199でのヤマトの航海は全く未知の航路を開拓しながらのものであり、戦闘や修理、迂回等によるタイムロスが多々ありました。
そうしたタイムロスがなく、既に航路も開拓済み(しかもガミラスから航路支援を受けられる可能性が高い)、更に亜空間ゲートも修復済みであれば、166日の公開期間を大きく短縮することもできるでしょう。
ただ、それでも日数を半分――2~3ヵ月――にできれば御の字でしょうか。
そしてその期間では、イスカンダルなりガミラス本星の危機を知らされてから太陽系を出立するのでは間に合わない(着いた時には全てが終わっている)可能性が大いにありえます。
オリジナル版の『新たなる旅立ち』はこの点を思い切り無視して、ほぼ一瞬で(笑)イスカンダルに到着してしまうのですが、PSゲーム版ではあれこれと趣向を凝らしてこの問題を解決していました。
2205でも同様に、この問題を解決する“仕掛け”が必要になってくると思います。
とは言え、さすがにスーパーチャージャーによる連続ワープということはないでしょう。
それをやるのは更に後の『永遠に』でしょうからw

一つ思いつくのは、野球の盗塁のように予め『リード』しておくことですね。
何らか理由をつけて、至急報が届く前にヤマトが既にイスカンダルへ向かっている状況を構築してやればいいんじゃないかと。
その為の理由というか手段として、ヤマトを『練習艦』にしてしまうというのはどうでしょうか?
ヤマトを練習艦にしてしまえば、オリジナル版『新たなる』のストーリーをなぞる上でも幾つか有利な点があると思います。

1)練習航海や親善訪問という名目で、イスカンダルから至急報が届く前にヤマトを発進させられる。
2)練習艦という事であれば、大量の新人を受け入れるのも自然。
3)正規の戦闘艦から練習艦への『格落ち』を演出することで、古代を指揮官に就けやすくなる。

まず1)についてですが、現在の海上自衛隊にも複数の練習艦による練習艦隊という存在があり、訓練と親善を目的に世界各地に遠洋練習航海を行っています。
同様に『練習艦ヤマト』が親善と訓練を目的としてイスカンダルやガミラス本星への航海に出るのは、ごくごく自然な展開でしょう。
で、そしてその途上、イスカンダルなりガミラス本星なりから危機が伝えられ、ヤマトの航海は一変。
ガミラスが掌握しているイスカンダル(ガミラス本星)―地球間の航路上であれば、地球とのリアルタイム通信も可能(2199のガミラスは、本星と冥王星基地がリアルタイム通信していました)でしょうから、急な命令変更にも十分対応できるでしょう。
そしてその通信の中で、ヤマトを練習艦から正規の戦闘艦に復帰させると共に、イスカンダルへの急行命令が伝えられます。
更に「ガミラス軍との協同行動を考えれば、ヤマト艦長には少なくとも佐官級の階級が必要でしょう」などと芹沢さんが重々しく言って、一尉のまま留め置かれてた古代を三佐か二佐に臨時昇進させるなどの展開があれば、私は非常に燃えますw
そしてめでたく『宇宙戦艦』に復帰したヤマトは勇躍イスカンダルへと急行し、嘗ての仇敵デスラーとも共闘しながら、その危機に敢然と立ち向かっていくのです!!www



尚、ヤマトというか地球がマゼラン銀河まで出かけていって戦闘行動を行う法的正当性としては、2202でのガミラスとの同盟が効いてくると思います。
普通、軍事同盟は双務的であるのが一般的ですし、僅か数年前にガミラスは地球の為に自らの蒼い血を流していますから。
なので、ヤマトの軍事介入は公には『ガミラスとの同盟に基づき』となるのかもしれません。
一応、地球とイスカンダルにも『地球―イスカンダル和親条約』に依る外交関係がありましたが、あれは地球側の都合で一方的に反故というか、無かったことにしてしまっているので、さすがに軍事介入にあたっての根拠にする訳にはいかんでしょうw

さて、妄想が止まらなくなってすっかり長くなってしまいましたが、続いては2)です。
改めて考えてみると、2205年の地球において、ヤマトは非常に練習艦向きの艦だと思います。
2202の後半で大量産されたD級は無人化・自動化が徹底され過ぎていて、逆に兵員が実際に操作しなければならない機器なんて殆どないんじゃないかと(つまり、新人にとっては全く練習にならない)。
その点、熟練した乗員が扱うことで高い能力を発揮可能な(それだけ乗員の能力に依存した装備や機器が多い)ヤマトは、戦闘艦としては中途半端に旧式化していると言えなくもないですが、新人に基礎から宇宙艦艇乗員としてのイロハを教え込む練習艦としては丁度良いと思います。
更に、約1000名の乗員を長期間、無理なく乗艦可能というキャパシティーの大きさは、無人化・省力化の申し子とも言うべき新鋭艦たちにはない特徴と言えるでしょう。
それだけ沢山の訓練生を受け入れることができるということですから。
オリジナル版では113名の新人を受け入れていますが、2205では更にその数倍の新人を受け入れそうな気がします。

そして3)。
本来、軍隊の背骨とも言える人員を養成する訓練艦は非常に重要で、その艦長が軽んじられることも普通はありえません。
しかし少し露悪的に想像すると、2202での波動砲絶対至上主義みたいな偏った思想が蔓延った組織(しかも、経験豊富な物の見える上級者は少なく、薄っぺらいエリートが幅を利かせそうな組織)においては、訓練艦のような支援艦は戦闘艦に比べて一段低く見る時代錯誤の風潮があるかもしれません。
で、2202において古代は波動砲艦隊構想に異を唱え、結果的に時間断層を失わせる原因にもなった訳ですから、そうした偏った思考を行う一部の者たちから目をつけられている可能性があります。
ただ、そうした視野の狭い連中にとっては、古代を艦長や艦長代理として指揮官職に就けるのであれば、正規の戦闘艦よりも支援艦である練習艦の方がまだ受け入れやすいかもしれません。
そうした処置を、藤堂さんなら温情で、芹沢さんなら人事的なカラクリとして行う気がします。
諸々の思惑や手法はともかく、防衛艦隊の(特に人員面での)強化にはヤマトが必要であり、その指揮は古代が執るのが最善という判断は、この二人に共通していそうですから。

おっ、久しぶりと言いながら、気がつけば随分と長々と書いてしまいました。
しかも書いてることは予想なのか願望なのか妄想なのかも分からないシロモノになってるし(^^;)
まぁ、リハビリ半分の駄文という事で、御容赦下さいませm(__)m

次は年内か新年になるか分かりませんけど、2205の地球防衛艦隊が何を目指すのかについて書いてみたいと思います。

『宇宙戦艦ヤマト2205』における地球防衛軍のドクトリンを妄想してみる

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さて、今年最後のお題として前回の記事で少し予告しました『宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち』における地球防衛軍の軍事ドクトリンについて想像を巡らせてみたいと思います。

地球防衛軍の軍事ドクトリンといえば、2202では「波動砲艦隊構想」が有名になりました。
ただ、本構想下で当初建設が目指された軍事力の姿は、2203年初頭のガトランティス軍による第十一番惑星侵攻を境に大きな変貌を遂げ、実質的には別物化したんじゃないかというのが以前からの私の考えです。
その点は過去の記事でも何度か言及しているので、改めて詳細までは述べませんが、端的に言うと、第十一番惑星に襲来したカラクルム級のバカみたいな数からガトランティス軍主力(白色彗星本隊)の戦力を想定した結果、他の全てを切り捨てて“拡散”波動砲戦艦を極限まで増備する態勢が採られたのだと考えます。
その点、ガトランティス帝国の本格侵攻がなければ、波動砲搭載戦艦を絶対的な主力としつつも、確保(養成)可能な人員に見合った規模の中で最低限のバランスを維持した編成の軍事力が構築されていたと思っています。
しかし白色彗星帝国本隊による侵攻が現実のものとなり、地球はAIが指示するまま極端なまでの『拡散波動砲艦隊』を建設することになります。
そして――ガトランティス帝国を倒すことには辛うじて成功したものの、多くの人員と多数の艦を失う結果となりました。
ただ失われた艦については、ガトランティス戦役後も半年間は時間断層が維持されていましたので、2202/26話での山南艦長の台詞にあるように、乗り手の確保もできないまま艦艇の建造は引き続き行われていたようです(さすがに配分資源や予算の制約から、建造ペースは落としているかもしれませんが)。



さてさて、毎度のことながら前置きがすっかり長くなってしまいましたが(笑)、ここからがいよいよ本題です。
恐らく、地球防衛軍はガトランティス戦役後のどこかで『波動砲艦隊構想』についての“総括”を行っていると思います。
『ポスト波動砲艦隊構想』なる新たな軍事ドクトリンが作られるにしても、作られないにしても、現行のドクトリンが実際の戦争においてどれだけ有効だったか、あるいは役立たずだったかを検証し、何らかの結論を導き出すことは、組織として必須だからです。

では、その結論はどのようなものになるのか?

あくまで私感ですが『大規模な波動砲戦での有効性は十分ながら、通常砲雷撃戦や局地戦での柔軟な対応には難あり』といったところでしょうか。
これも以前に書いたことですが、波動砲艦隊構想とそれに基づき大量投入されたD級の存在がなければ、地球はガトランティス軍の圧倒的物量の前に比較的短期間で押し潰されていたでしょう。
結果的に、本戦役において決定的役割を担ったのは波動砲艦隊構想の申し子たち(A級やD級)――ではなく、ヤマトでした。
もちろんそのヤマトにしても、戦前からの波動砲艦隊構想に基づき改装と波動砲再装備が行われた訳ですが、十一番惑星以降に質的変貌を起こして以降の波動砲艦隊構想においては実質的役割を与えられていないか、G計画艦の護衛か乗員プール程度の役割くらいしか与えられていなかったと思います。
ガトランティス戦役において決定的役割を果たしたのはヤマト――しかし同時に、A級に率いられた大量のD級が拡散波動砲を釣瓶打ちしなければ、ガトランティスの天文学的物量を食い止め、ヤマトが決定的役割を果たすまでの時間を稼ぐこともできなかった――私が考える『大規模波動砲戦での有効性は十分』という結論の前半部分はそんな意味です。

では『通常砲雷撃戦や局地戦への柔軟な対応には難あり』という後半部分はどうでしょう?
木星沖~火星沖~地球沖と推移した太陽系内での戦いの中で、波動砲発射時以外の地球艦隊の戦いぶりはどうでしたか?

正直、私は『ドンくさい』と感じました。

圧倒的多数の敵艦隊に対して遅滞を目的とした後退を行うでもなく、一方的に半包囲攻撃を受ける守備艦隊とか、衝突しそうなくらい敵艦が至近なのに漫然と前進しながら波動砲発射態勢を取った挙句、敵艦と正面衝突してしまう艦とか、行儀よく横隊陣形を敷いたまま(全く機動しないまま)、その場でひたすら砲雷撃を行っている艦隊とか、四隻で束になって同盟国大使が座上する旗艦の盾になるとか――印象に残っているのはそんなのばかりで、艦隊単位であれ個艦単位であれ、小気味よい戦術運動には全く無縁だった印象です。
数少ない例外はアンドロメダ改とメダルーサ級三隻をまとめて屠った際のガミラス艦隊くらいでしょうか。
この『戦術能力の低さ』は未熟な乗員と現状のAIに共通する問題点であり、総括が行われた場合には指摘必至と思われます。



ではでは、あくまで私の勝手な想像ですが、現行ドクトリンである『波動砲艦隊構想』が以上のように総括されたとして、次なるアクションはどうなるでしょうか?
あまり好きな言葉ではないですが、PDCA的に考えるのであれば『長所は伸ばし、短所は補う』のが常識的対応になるでしょうか。
まず長所である大規模波動砲戦に係る能力についてはは、時間断層が存在しない以上、飛躍的強化は最早不可能ですが、少なくとも現状維持については最小コストでも実現可能と思います。
極論、建造済みの大量のD級を常に実働状態に置く必要すらなく、1週間~1ヵ月程度の比較的短期の準備期間で実働状態に持ち込める態勢を取っておくだけでも良いでしょう。
正直、綺麗に整列して波動砲を撃つだけなら、完全或いはほぼ無人のAI制御艦隊でも実現可能なことはガトランティス戦役でもある程度証明されていますから、張り付ける人員も最小で済みます。

まぁ・・・・・・既にお気づきの方もいらっしゃると思いますが、こうした戦力を用意したとしても、『永遠に』のように完全な奇襲攻撃で地球を含む太陽系が電撃的に制圧されてしまった場合、これらの戦力は全くの役立たずになってしまいます。
更に、AIに関して敵手が一枚も二枚も上手であれば、役立たずどころか、あっという間に乗っ取られて、敵の先鋒に早変わりしてしまう可能性すらある訳ですが――ま、それはそれで『お約束』ということで納得はできますがwww

続いて、『短所』の方はどうでしょう?
常識的に考えれば、規模は小さくても通常の砲雷撃戦や航空戦にも柔軟な対応が可能なバランスの良い戦力の構築が改めて目指されると思います。
あるいは目指される戦力の一例として、ガトランティス戦役で活躍したバーガーのガミラス艦隊が挙げられることもあるかもしれません。
何しろ2202劇中で艦隊規模で“まともな”機動戦を戦った描写があるのは彼らだけですので(アンドロメダ改とアンドロメダブラックの高機動戦闘は通常装備の人間が高Gに耐えられないという点で“まとも”とは言いかねる)。
この場合、固有の兵装プラス艦載機群の追い打ちにより、瞬間的ながら攻撃力を極大化できる空母型アンドロメダが再評価されたり、規模の大きな空母型アンドロメダの増備には時間がかかるので、有り余ってるD級改造の空母型が整備されたりする展開もありかと思います。
実際、ヤマトマガジン最新号には、D級ベースの空母型らしいイラスト(艦の一部がトリミングされたもの)が掲載されたりもしていますし。



また、2202の木星沖~地球沖での戦闘では、航空隊が大規模に投入される描写はありませんでした。
投入されたけど全く目立たなかったか、膨大な戦力同士が凄まじいエネルギーを投射し合う戦場の危険さから投入そのものが見合されたのかも不明ですが、もし後者なら艦船乗組員に比べて航空隊員の損耗は比較的軽度に抑えられた可能性もありますね。
もし航空隊員の損耗が軽く、経験豊富な搭乗員が多数残されている状況なら、新たに構築される艦隊戦力は、より彼らを重視した艦(空母)の建造(改装)や編成が試みられる可能性はあるでしょう。

さてさて、長々と書いた割には極めて常識的な結論で心苦しいですが、2205の地球防衛軍は最小コストとマンパワーで『波動砲艦隊構想』を維持しつつも、残りのリソースをバランスの取れた汎用艦隊の整備と人員養成に投じている気がします。
前回の記事に書いた『練習艦ヤマト』というポジションも、この結論に合致します。
既に時間断層はなく、人造兵士やAIへの丸投げも回避する場合、その整備ペースはゆっくりとしたものにならざるを得ないと思いますが、あるいはそんな育成途上の比較的小規模の汎用艦隊こそが、更に数年後にデザリアム本星への大航海に出る艦隊になるのかもしれませんね。

2019年もお世話になりました。

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さて、いよいよ本ブログの更新も今年はこれが最後となります。

少しばかり振り返ってみますと、今年はなんと言っても1年以上をかけて取り組んだ『第二次火星沖海戦』を公開することができた事が最も印象に残っています。
ご存知の通り、『第二次火星沖海戦』はMMD動画の原作として書き下ろしたもので、FGT2199さんが作られたMMD動画もニコニコ動画で開催されたユーザーイベント『MMD杯ZERO2』において受賞作品に選出されました。
選出いただいた審査員である野上武様には本当に大感謝です!!
実質的なプロジェクトリーダーであるFGTさんは勿論、原案作りに御協力いただいた七猫伍長さん、急遽外伝作品として別公開とした『火星沖2203』の挿絵を御提供いただいたHARUさん、本作の完成にあたっては他にも挙げきれないくらい沢山の方々からご支援や応援をいただきました。
この場を借りて改めて御礼申し上げますm(__)m
二次創作において、これだけのメンバーでこれだけの期間、熱意とモチベーションを維持したまま作品作りに打ち込める機会は滅多にないと思いますし、その点、私は本当に幸運でした。

今年は他にも、SOY-YA!!さんの御厚意で2月に初めてワンフェスに参加することができました。
今までネットで毎年レポートを見たり、関西の小規模な会に参加して、ある程度雰囲気は分かったつもりでいましたが、そこはホンモノのワンフェス、やっぱり凄かったです(^^;)
その際、カメラを持ってウロウロしていたのですが、最も印象に残った写真は↓ですね。



ちょうぎさん作の電飾コルドバをイベント前日の設営時(夜)に撮影させていただいたもので、今まさに整備を終えて基地から出撃しようとしているような姿がとても気に入っています(^^)

その後、別日にSOY-YA!!さんと渋谷の『博多焼きヤマト』さんで打ち上げをしたのですが、その際に近くのテーブルで歓談中の福井晴敏さんや岡秀樹さんに遭遇するという偶然が・・・・・・(^^;)

一年前には全く予想もできなかった事の連続で、2019年は本当にすごい一年でした(^^;)
来年がどんな年になるかは分かりませんが、本年と同様、公私ともに充実した一年にしたいものです。
次の創作については・・・・・・すみません、正直まだ構想すらできていませんが(^-^;

ではでは、皆様もどうぞ良いお年をお迎え下さい。

『「宇宙戦艦ヤマト」という時代 西暦2202年の選択』の第二次火星沖海戦

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大変ご無沙汰しています。
あれやこれや雑事にかまけている内に今年も既に九月末。
なんと今年初めてのブログ更新です(^-^;
それでも未だ毎日数百人の方にブログを覗いていただいていまして、心より感謝申し上げますm(__)m

さてさて、一昨日の9月25日に宇宙戦艦ヤマト2202の総集編たる『「宇宙戦艦ヤマト」という時代 西暦2202年の選択』の公開情報が更新され、2021年1月15日より3週間、全国36か所の劇場での公開されることが発表されました!!
このコロナ禍の中、これだけの規模と期間での公開に漕ぎつけられた関係者の方々の苦労がしのばれます。
今回もこれまでと同様、大阪ステーションシネマか、なんばパークスシネマで鑑賞したいと思います。

専用公式HPの公開と合せてアップされたイントロダクション(前書き)には、やや気恥ずかしさを覚えるような文言が並んでいますが、単なる総集編にするつもりはないという意気込みの表れ・・・・・・と思うことにしましょう(^^;)
その点、本作は基本は2202の総集編ではありますが、前作である2199はもちろん、更にそれ以前――1945年の戦艦大和の最期や人類の宇宙への飛翔――にまで視野を広げて『2202』という作品をもう一度まとめ直すということなのでしょう。
で、その広げた視野の中に・・・・・・

2198 第二次火星沖海戦

がありまして(^^;)
2193年を舞台に第二次火星沖海戦を(勝手に)描いた立場としては、専用HPの年表に記されたこの点が気になりまして、久しぶりにブログ記事を書いてみる気になった訳です。

実はFGT2199さんと私、七猫伍長さんをはじめ沢山の協力者の方々に協力いただいて作り上げたMMD第二次火星沖海戦においても、本海戦が何年に戦われたことにするかで、かなりの議論がありました。
製作開始からの数ヶ月間、制作の指標となる最初期プロット案は2197(2198)年で書かれていたくらいです。
しかしその後、本年を海戦の舞台とすると解決できない設定の矛盾が出てきてしまい、結果的に我々は舞台を2193年とすることにしました。
ただ、2193年を舞台とした場合でも、それはそれで他に矛盾する設定が出てきてしまうのですが・・・・・・(^-^;

そうした点を御説明するのに、まずは本編や関連作品、設定資料などから第二次火星沖海戦の時期を類推できる箇所と類推結果を書き出してみます。

①2199「追憶の航海」ナレーション
・2193年火星宙域での反抗作戦により一時的に敵艦隊を押し返したが、敵はすぐに遊星爆弾によるアウトレンジ攻撃に戦術を転換
・2193年以降、火星方面軍は月軌道へ撤退

②2199「 第1話」雪の子供たちへの語り
・第二次火星沖海戦で艦隊による直接攻撃は辛うじて食い止められました。しかし、その後彼らは攻撃を遊星爆弾によるロングレンジ爆撃に絞り、その結果人類は地下都市を築いて、そこで生き延びるより他に――

③2199「第17話」古代守/真田/新見の2192年の会話
新見「異星人の艦隊は火星軌道近くまで進出しているみたいです」
守「今度火星を絶対防衛線とした反抗作戦が始まるらしいんだ」
➡①~③の意味を重ね合わせると、第二次火星沖海戦は2193年に発生したと想像でき、wikipedia等もこれらを出典として挙げている。但し、いずれの資料やナレーションにおいても「第二次火星沖海戦は2193年に発生した」と明示されている訳ではない。


④2199「第26話」沖田/徳川の会話
沖田「夢を見たよ。古代守の夢だった」
徳川「彼はキリシマでワシらと一緒でしたな。あんたが艦長でワシが機関長。あいつは新米の砲雷長か」
沖田「第二次火星沖海戦、あの時の話かね」
徳川「ワシらが勝った唯一の戦いでした。あれのお陰で、なんとかガミラスの侵攻を遅らせられましたからな」
沖田「だが、喪うものも大きかった(沖田家族写真のアップ)」
➡2193年時点では、古代守はまだ防衛大学の学生。本年に第二次火星沖海戦が戦われたとすると、キリシマの砲雷長になるのはいくら新米でも無理があり過ぎる。逆に2198年と考えれば、無理はない(それでも若いけどw)。

⑤2199第一章パンフレット及び公式設定資料集earthの説明
沖田の息子は第二次火星沖海戦(カ2号作戦)で戦死。

⑥2199「第7話」沖田/徳川の会話
徳川「(沖田の手にした家族写真を見ながら)もう一年ですか・・・・・・」
➡この台詞から沖田の息子が亡くなったのは1年前(2198年)と推測するのが自然。但し、一緒に写っている息子の妻(義理の娘)を指していると曲解すれば、沖田の息子が亡くなったのが2193年と考えられなくもない(MMDではそう解釈)。

⑦2199設定資料集earthの説明
山本明生は第二次火星沖海戦における偵察任務中にガミラスの襲撃に遭い戦死

⑧2199「第2話」山本明生/玲/加藤の三人の写真
第二次火星沖が2193年なら写真はそれ以前に撮られたことになるが、玲は13歳以下にはとても見えない。しかも軍服を着用。
海戦が2198年ならば、前述の外見年齢や服装的に違和感はない。

⑨2199「第2話」ヤマト計画説明の際の加藤と篠原の会話
篠原「残念です。山本(明生)のやつ、生きていれば」
加藤「言うな」
➡山本が戦死したのが2193年(6年も前)であれば、さすがに話の引合に出されることはないと思われる。2198年なら会話として自然。

⑩2199「第17話」古代守/真田の会話(2193年/卒業前)
遊星爆弾がリオデジャネイロに落下していることが示唆されている。
この際の守の台詞は「れいの隕石、“今度は”リオデジャネイロに落ちたらしい」なので、少なくともリオに落下したのは初弾ではない(2発目以降)。
また、防衛大学の所在地は不明だが、現在の防衛大学校と同じ横須賀だった場合、⑪の三浦市に落下した遊星爆弾はまだ落下していないと推測できる(落ちていたら、隣接する横須賀市も無事では済まない)

⑪古代進の設定(公式設定資料集earthの説明)と2199「第14話」の幻覚
設定資料によると、古代は14歳の時、神奈川県三浦市への遊星爆弾落下で両親を亡くしている。
14話の幻覚シーンが事実をなぞっているのであれば、この時既に古代守は軍務に就いている(卒業している)と想像でき、時系列としては第17話の回想より後という印象。
古代進は2178年7月7日生まれなので遊星爆弾落下は2192年7月7日~2193年7月6日。
➡⑩⑪から、少なくとも2193年7月6日までに遊星爆弾は3発以上地球に落下しており、この時点から環境異常は始まっている。

以上です。
①~③に注目すると第二次火星沖海戦が2193年に発生したと考えるのが自然に思え、④~⑨では2198年こそが自然で妥当に思えますね。
逆に言えば、どちらの年(説)を採っても、腑に落ちない部分は多かれ少なかれ残る訳で、結果的に我々はより大局的な設定を重視して2193年を選択しました。
対して「2202年の選択」は、よりキャラクター設定を重視されて2198年を選択されたのではないかと想像します。
では続いて「2198年の第二次火星沖海戦」という新設定から、上で述べた①~⑪を参考に年表と展開を妄想してみましょう。

・2191年:ガミラス戦争勃発
・2192年: ガミラス艦隊、火星宙域にまで進出
・2193年:火星を絶対防衛線とした反抗作戦を実施(第一次火星沖海戦)
     第一次火星沖海戦敗北。
     国連宇宙軍、絶対防衛線を後退。
     新たな防衛線を月軌道に設定し、火星方面軍も撤退。
     ガミラス艦隊の侵攻(前進)は停止。
     しかし引き続き火星宙域を保持すると共に、遊星爆弾による戦略爆撃を強化。
     3発以上の遊星爆弾が地球に落下

・以降2198年まで、火星圏のガミラス軍と地球-月ラインを守る国連宇宙海軍が
 にらみ合う形で戦況は固定。
 だが、ガミラスによる単艦/戦隊レベルでの地球直接攻撃は断続的に行われる。
・国連、相次ぐ隕石落下をガミラス軍による攻撃(遊星爆弾)と認定。
・地球の社会資本・環境破壊が進む。

・2197年~2198年:山本玲(17~18歳)が入隊(訓練生/候補生)
 ※明生と加藤と三人で写真撮影
・2198年:イスカンダルよりユリーシャ地球に到着。次元波動エンジン技術供与
     建造中のイズモ計画船(艦)「ヤマト」設計変更(次元波動エンジン搭載)
     第二次火星沖海戦
     ・古代守は新米の砲雷長(27歳)として参戦
      →海戦後、ユキカゼ艦長に転任
     ・沖田の息子と山本明生(22歳)が戦死
     ・ガミラス艦隊、火星宙域から撤退
・2198年12月25日 国連宇宙海軍第一艦隊/メ号作戦に出撃
・2199年1月:メ号作戦

以上の流れで如何でしょうか?
懸案だった①と③の「反抗作戦」については、2193年に発生したのが「第一次火星沖海戦」だと考えれば、十分に納得できるかと。
残る懸案②についてはまだ苦しいところが残りますが、そこは「ロングレンジ爆撃に絞り」の“絞り”の部分を強く意識することで納得することにしましょう。
それまでも遊星爆弾や艦艇による地球本土攻撃が実施されていたものの、第二次火星沖以降は、地球本土への攻撃は遊星爆弾一本に絞られたということですね。

こうして年表として並べて見ると、第二次火星沖海戦の戦略的意味について、これまでとは違う景色が見えてきます。
舞台が2198年であれば、イスカンダルというファクターが入ってくるからです。
2199第一話で描かれたメ号作戦がサーシャを無事に迎え入れる為の陽動作戦であったこと、サーシャとのランデブーポイントが火星であったことから、カ2号作戦(第二次火星沖海戦)最大の目的は、ランデブーポイントである火星の確保(火星圏からガミラス艦隊を追い払う)だったと考えることもできるかと。
また、イスカンダルの存在と来訪はガミラスに対してはもちろん、地球の人々に対しても厳重に秘密にする必要があります。
結果、一般にはカ2号作戦の目的は「ガミラス艦隊が大規模な地球への直接攻撃を計画しており、これを阻止する為に、火星宙域で決戦を企図する」と説明されたのではないでしょうか?
それが第一話の雪の語り「第二次火星沖海戦で艦隊による直接攻撃は辛うじて食い止められました」に繋がってくるのではないかと思いました。

一つ気になるのは、2198年内の出来事がかなり慌ただしい点ですが、あるいはカ2号作戦やメ号作戦はイズモ計画に連動する形で計画と準備が進んでいた為、短期間で作戦を実施することができたという可能性もありますね。
つまり、イズモ計画に基づく地球脱出船が旅立つ際の安全確保と陽動の為の作戦が、そのまま流用されたとか。

――そんなことをつらつらと昨日から考えていました。
そうして考えた内容を、昨晩FGT2199さんとWeb会議兼呑み会でダベりまして、その模様をyoutubeで公開しています。



後半になるに従って、かなりグダってる部分もありますが、ご興味ありましたら是非(^-^;

ではでは、中々以前のようには運営できないブログではありますが、今回のように突発的に更新することもあるかと思いますので、気が向いた時にでもまた覗いてやって下さいませ(^^)

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リメイク版はPS版の夢を見(せてくれ)るのか?

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先週、ようやく本年初の記事更新を果たした当ブログですが、皆さまお元気にお過ごしでしょうか?
今週も二つほどネタが思い浮かんだので、リハビリと更新習慣を取り戻すために、その内の一つを記事にしてみようと思います。

あ、多少ですが2205の予想じみた内容も含みますので、せっかくの新作に変な予断を持ちたくないという方はご遠慮下さいね。

先週、FGT2199さんとWeb談義(呑み会)をした際、PSゲーム版ヤマトの魅力について話が及びました。
私のようなメカ好きからすると、PS版にはしゅんらんや戦闘空母、ステルス仕様のコスモタイガーⅡなど魅力的なメカが溢れている訳ですが、今日はあえてそれらとは別の存在に着目してみようと思います。

PS版の魅力の一つに、鹵獲改装艦の起用がありました。
ホワイト○○○○という艦名にピンとこられる方も多いのではないでしょうか?
その名の通り、ホワイト――白色彗星帝国――の艦艇を戦後回収し、それを地球仕様に改めた上で編入した艦たちです。



オリジナル版やPS版でも(リメイク版ほどではないにせよ)多数押し寄せた白色彗星帝国軍の規模を思えば、あまり損傷していないガトランティス艦が戦中・戦後に回収されることも十分にありえますし、現実の歴史においてもそういった実例は多数ありますから、この鹵獲艦設定には多くのメカファンが快哉を叫んだと思います(私は叫びましたw)。
特に、高速中型空母(ナスカ)の鹵獲艦は地球空母(戦闘空母)にはない正規空母然とした姿がマニア心を刺激してくれたりもしました。
また、生粋の地球艦艇とは異なるパラメーターを持つ艦(種)の増加は、ゲームそのものの遊びの幅を広げる事にもなり、本ゲームの「やり込み」要素をも増やしてくれたと思っています。

さて、そんなPS版の特色(?)の一つであった鹵獲艦設定ですが、リメイク版(2205とそれ以降のシリーズ作品)でも採用される可能性はあるでしょうか?
2202の最終話近く、ゴレム起動によりガトランティス人(人造兵士)は大帝を除いて全滅、それに伴いガトランティス艦艇も友軍同士で衝突したりで次々に爆散していきました。
ですが、それは極々一部に過ぎず、常識的に考えればそのまま宇宙空間を漂うだけになった無傷の艦も多数あったと思います。
つまり、ガトランティス艦の回収や捕獲、鹵獲は十分に可能な状況です。
そして戦後の地球は時間断層を喪っています。
ガトランティス戦役勃発以前のようなペースでの軍備増強はもはや不可能ということです。

・・・・・・と書くと、PS版のような鹵獲艦編入も十分現実的と思えてきますが、そうは問屋は卸してくれませんw
PS版やオリジナル版の世界では、地球の機動戦力(艦艇)はガトランティス戦役で払底していた為、有り合わせの器(うつわ)に自分たちの装備を盛りつける形で手っ取り早く戦力化する余地と必要性がありました。
しかしリメイク版の世界では、戦役終了後も半年以上、時間断層工場は休まず稼働しているのです。
その様を山南さんは「乗る人間の数も足りないのに、フネだけ吐き出されてくる」と言っていましたね。
つまりリメイク世界では、「器」どころか完成した艦そのものが有り余っている――乗り手がいないだけで。
また、全く異なる技術体系で作り上げられた異国の艦を自国で運用するのは、見た目以上に大変です。
文字通り「器」としてしか使えず、信頼性を確保する為に(戦場で謎の理由で突然システムダウンされては困る)、中身は丸ごと刷新するくらいの必要があることを考えれば、リメイク世界で鹵獲艦が研究目的以外に使用される可能性は残念ながら低いように思いました。

むしろ、不足している「乗り手」を補う為に人造兵士計画が採用されたりしていないかを心配してしまいます。
実際、地球での人造兵士製造も2202劇中の銀河クルーの会話で「現実味を帯びている」と言われていましたので、ガトランティス戦役末期の時点で少なくとも研究開発が行わていることが伺われます。
そして、どう転んでも悲劇的な運命から逃れられそうにない「人造兵士」というダークファクターは、むしろ福〇さんが好んで使いそうで(^^;
あるいは・・・ヤマトクルー会報誌に掲載された男の子の新キャラ(オリジナル版の某キャラという噂もありますね)は地球製人造兵士の第一世代で、成長因子を弄られたことで2203年の誕生(製造)から僅か2年でもうあの姿で、更に数年後にはオリジナル版のような・・・・・・とか。
もしそうなら、生まれながらのフラグ持ちとか、髪型以外顔一緒というオリジナル版以来の突っ込みどころにもオールマイティーに対応できてしまうという恐ろしいことに・・・・・・。
マズいな。どんどん想像が暗黒面に入ってきた(^-^;
戦役後の国民投票などを通じて、地球市民や政府・軍上層部が暗黒面から少しでも明るい方に戻ってきてくれていればいいのですが。
うーん、公(おおやけ)には大々的な計画実働こそ中止されたものの、非公式に細々と研究が継続しているとか、計画中止前に生まれた(造られた)子たちだけは倫理上の問題からそのまま育てられている・・・・・・くらいが現実的でしょうか。

はい、すみません。またしても当ブログ恒例の「当たらない予想」をしてしまいました(笑)

では、気を取り直して鹵獲艦に話を戻しましょう。
先ほどの説明では、鹵獲艦登場の可能性は低いと書いてしまいましたが、一つだけ登場の理由付けがしやすい艦があります。



はい、自滅型攻撃艦「イーターⅠ」です。

この艦に使われている波動防壁中和技術は、戦役中に散々苦しめられただけに地球防衛軍が(その点で言えばガミラスも)何らかの形で兵器体系に取り込みたいと考えるのは自然に思います。
リバースエンジニアリングで類似兵器(贅沢を言えば艦載機に搭載できるくらい小型化したい)を自力で開発できればベストですが、それが困難且つ多数のイーターⅠが戦場で回収できていた場合に限り、鹵獲兵器として導入される可能性はあると思いますね。
今のところ、地球以外に波動防壁を積極的に防護装備として用いている勢力はありませんが、『某黒い人たち』はいかにも使いこなしてそうですし(笑)、それは冗談としても軍隊は鏡に映った自分を見て身支度(装備)を整える性癖がありますから、何らかの形で装備体系に組み込みたいと考えるのは自然なことに思えます。

尚、イーターⅠの類似ポジションに対消滅ミサイル(破滅ミサイル)もありますが、カラクルム級の連結砲撃(レギオネルカノーネ/インフェルノカノーネ)と同様、単なる大威力兵器と考えれば、波動砲搭載艦艇を多数装備する地球防衛軍にとっては代替が利く存在にすぎず、イーターⅠほどのニーズはないと感じます。

以上のように理詰めで考えると、イーターⅠだけは鹵獲兵器として地球に採用される可能性があると感じるのですが、唯一気になるのがイーターⅠがガイゼンガン兵器群に属しているという点ですね。
ガイゼンガン兵器群は、滅びの方舟から文字通り「生まれたきた」兵器のようですし、劇中での発光描写などを見る限り、母体たる滅びの方舟に強く影響される存在に感じました。
正直、滅びの方舟が消失した時点で、全てのガイゼンガンも崩壊・消失するんじゃないかと思っていたのですが、戦後も一応形状は保っているようです(カラクルム級が海上を曳航されているシーンが劇中にありました)。
しかし、もし本兵器群が方舟をはじめとする古代アケーリアス文明の産物に強い影響を受けるのであれば、今後敵性勢力がアケーリアス文明の利器を使用していた場合、あっさり乗っ取られてしまう危険性がありそうで怖いですね。
もちろん自軍兵器化にあたっては、地球独自の自動化技術で無人艦になっているでしょうけど、器はあくまでガイゼンガンですから、いざとなったら後天的な制御システムなど全く無視して活動しそうな気がします。
その点で言えば、他のガイゼンガン兵器群(超大型空母や大戦艦)を自軍に編入するのもやっぱり恐ろしいですね(ガイゼンガン以前の艦――ナスカやラスコー、ククルカンはまだ安全そうですが)。

今日は以上です。

※文中の「ホワイトパイカ―」の画像は旭日提督様から、「イーターⅠ」の画像はbutchy様から御了解をいただいた上で転載させていただきました。改めて厚く御礼申し上げます。

※本記事にて言及した各兵器について、私個人の好き嫌いは考慮に入れていませんので、あしからず。
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1月6日の2202公式ツイートから「ヤマトという時代を」妄想する(ネタバレあり)

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どうも皆さま、あけましておめでとうございますm(__)m
「メリークリスマス」も「良いお年を」の御挨拶もないまま年を越した怠惰極まりないブログですが、本年も宜しくお願い申し上げますm(__)m
さて、今年最初(最後にならないよう努力しますw)の記事のお題は、1月5日の2202公式アカウントのツイートについてです。
本ツイートには、1月15日公開予定の『宇宙戦艦ヤマト」という時代 西暦2202年の選択』の内容に係る情報が含まれていました。
いわゆるネタバレにあたる可能性があり、公開前に記事にするか迷いましたが、公式から公に発せられた情報ですし、その点では予告編(PV)と同じだと割り切って記事にすることにしました。
とはいえ、まっさらな頭で新作に臨みたいという方も沢山いらっしゃると思いますので、そうした方はここでお引き返し下さいませm(__)m


さてさて、ではここからが本題です。取り上げたい公式ツイートは↓です。

⚓Blu-ray&DVD商品情報③本日は #ヤマトという時代 特別限定版特典、新規パート絵コンテ/シナリオ集をご紹介!冊子は両表紙の仕様!#麻宮騎亜 による絵コンテの中身をチラ見せ…!シナリオも大ボリュームで収録している豪華な一冊です。お楽しみに!詳細⇒https://t.co/DyFhcsxnfG pic.twitter.com/Z2iPLr0EZb

— 宇宙戦艦ヤマト2202製作委員会 (@new_yamato_2199) January 5, 2021

このツイートの最も驚くべきところは、貼り付けられた麻宮騎亜さん作の絵コンテの説明書きに「火星に不時着しているボラーの船」と読める箇所があることです。
実のところ、件の箇所は麻宮さんの手書き文字が「ボ」ではなく「ギ」に見えてしまうのですが、過去の麻宮さんの絵コンテを見ると、この書き方で「ボ」と読ませておられることがありまして、ここは「ギラー」ではなく「ボラー」と読み取るのが妥当と思います。
ヤマト世界で「ボラー」と言えばボラー連邦で間違いないでしょうし、そう言われてみると、予告編映像にあった謎の艦のラフ画は確かにオリジナル版のボラー艦に酷似していました。
(↓実はFGTさんがその点を昨年の時点で指摘しておられました(^^;))

2202総集編のパッケージに追加された謎の艦から漂うボラー臭改装前のキリシマもあんな感じだったのかな?

— FGT2199 (@tarao2199) November 27, 2020

話を絵コンテに戻しますが、次のページには恐らくナレーションの台詞として「火星政府が秘密裏に異星文明の残骸を入手したとする説は当時の地球には笑いごとで済まなかったでしょう」と書かれています。
ここから読み取れるのは以下の2点です。

1)ボラー連邦艦船が火星に不時着した
2)独立を目指した火星軍はボラー艦船から先進技術を入手していた(かもしれない)

第2)項についてはナレーションでは「説」とされており、更にその真偽も書かれていないので、断定するのは避けました。
また、作中であえて「説」という表現が使われているのは、あるいは作中世界においても1)2)の真偽は未だ明らかにされていないのかもしれませんね。
火星側はボラー艦の不時着と技術奪取の事実を徹底的に秘匿し、戦後地球から送り込まれた占領軍(調査団)もその具体的な証拠を遂に発見できなかったとか、証拠は発見したものの、影響の大きさ故に地球もまた徹底的に事実を隠匿した・・・なんてこともありえそうです。
しかし不時着や技術奪取が事実だとすれば、未だ入植開始から1世紀も経ておらず、地球(+月)との国力差も数十倍はありそうな劣勢下で火星が独立戦争を選択したきっかけの一つにはなりえる気はします。
つまり――ボラーの技術を利用して強化した我々の軍事力ならば、質を以って地球の物量を凌駕できる――と火星側が考えたのかもしれないという事です。
しかし、結果的に火星軍は地球軍(国連宇宙軍)に敗北してしまいます。
その結果についても幾つか想像できる事柄がありますが、一旦ここで先ほどの第1)項に話を戻します。
そこには、戦後の展開にも影響しそうな疑問点があるからです。

(1)ボラー艦が不時着した後、なぜ捜索や救助の艦が来なかったのか?
(2)そもそもボラー艦は何をしに太陽系へとやって来たのか

他にも色々と思うところはありますが、重要な疑問はこの二つでしょうか。
まずは(1)について。
地球の常識で言えば、ある程度以上の科学力を有する文明国の艦船であれば余程の事情がない限り、所属国に対して位置情報を発信している筈です。
もしそれが途切れてしまった場合、所属国は艦に不測の事態が生じたと判断して、様子を見に誰かを送り出すのが自然でしょう。
そして、不時着船に続いて捜索者まで訪れていた場合、地球(火星)とボラーの間に何らかの外交関係が(戦争という最悪の状況も含めて)生じたと思いますが、2199や2202を見る限りそのような関係や事態の存在は全く感じられませんので、捜索者も救難者もやってこなかったと考えるのが自然と思います。
では、なぜボラーによる捜索も救難も行われなかったのか?
この点についてはなんの材料もありませんので、理由は想像するしかありませんが、単なる装置の不調を筆頭に、不時着した艦が自ら自位置を秘匿していたとか、戦闘などの損傷で自位置の発信が不可能になり、所属国でも発見不可能な状態になってしまったとか、いくらでも考えられます。
ただ、自位置を秘匿していた状況を想像してみると、惑星国家バースがボラー連邦に保護国化された際、それをよしとせず艦を乗っ取って逃亡したバース人が流浪の果てに力尽きて火星に落下した――なんて光景をイメージしてみたり、戦闘での損傷→墜落についても、当時天の川銀河で勢力を伸長していたガミラス軍に捕捉され、攻撃された結果――てな状況も想像できます。

ちょっと想像ばかりが先走っていますが、私的には事後にボラーから捜索・救難が来なかっただろうという想像から、件のボラー艦の目的は太陽系の調査や植民、地球(火星)人類への接触といった能動的なアクションの結果ではなく、遭難や漂流の挙句の墜落の気がしています。
あ、でもそんな複雑に考えず、ボラー船の墜落は遥か昔で、乗員はとっくに救援に来た艦に回収され、残骸となった船だけが置き去りにされた、そしてそれが植民後の開発で発掘された――とシンプルに考えてもいいのか(笑)

随分と寄り道してしまいましたが、続いては戦後への影響ですね。
内惑星戦争を通じて、地球は外宇宙文明(種族)の存在を初めて認識することになりました。
その結果、いつか再び「彼ら」がやってきた場合に備えて、どのように対応するかが戦後話し合われたと思います。
生存圏は未だ火星軌道に留まっているのに、天王星に監視衛星が設置されていたのもその影響と考えれば納得もしやすいです。
そしてその話し合いで出た結論が、2191年のガミラス戦争における地球の先制攻撃に強く影響したのではないかと想像すると、2199と2202で感じた疑問の幾つかが氷解します。

・なぜ国連宇宙軍は性急に、しかもガミラスの科学軍事力も把握しないまま無謀な先制攻撃を行ったのか
・なぜ芹沢軍務局長は責任を問われなかったのか

戦後の議論で、外宇宙種族が極めて敵性脅威度が高いと結論付けられた場合、太陽系内への新たな侵入者に対しては、警告後に速やかに排除することが予め決められていたのかもしれません。
そうした決定が下される一因として、火星軍がボラーの技術を利用していたことが影響しそうです。
ボラーの技術を利用した火星軍を国連宇宙軍が打ち破ったことで、ボラーの(外宇宙種族の)科学軍事力まで侮ってしまい、自らの力を過信したとも考えられます。
また、最悪の想像として、ボラー艦船の不時着の原因に地球人(火星住民)が関係していたり、その生存者に彼らの科学技術を引き出すために何らかの非人道的行為を行ったり、そう誤解されても仕方がないような状況があった場合、戦後の地球人たちは異星人の再訪に対して、不安以上に恐怖を感じていたなんてこともあるかもしれません。
それら諸々の状況が重なったからこその「性急な(速やかな)」判断だったのではないかと想像した次第(ガミラスとボラーを混同したのか、別々の存在と知りつつ宇宙人は全て敵!と考えていたのか、ボラー船からガミラスの情報を何らか得ていたのかは分かりませんが)。
そして攻撃を命令した芹沢についても、自身の判断で命令を下したのではなく、単に既定の方針に基づく命令を前線部隊に伝えただけのメッセンジャーだったのかもしれず、もうしそうなら戦後責任が追及されなかったのも当然となります。

また、ここで少し気になるのは、先制攻撃命令に驚き、反対した沖田さんのリアクションです。
艦隊指揮官である沖田さんですら攻撃命令に驚いたということは、沖田さんや島のお父さんもそうした地球側の事情や方針を全く知らなかったように思えます。
その点、やはり火星に墜落したボラー艦の存在も、戦後の外宇宙種族に対する地球の対応方針も、地球首脳部の極一部を除いて厳重に秘匿されていたんじゃないかとも思えてきます。

う~ん、見開き1ページの絵コンテのツイートだけで、ここまで色々と想像して楽しめるのですから、本当に費用対効果の高い公式ツイートでしたね(笑)
あれこれと思いつくまま書き殴ってしまいましたが、今のところ全て私の勝手な想像ですので、真偽のほどは劇場かWeb鑑賞でお確かめいただければとw

それともう一つ。
火星に異星人の船がやってきたものの着陸に失敗、火星の人々がその技術を学び取って地球軍と戦った――という記述が過去の小〇誠氏の「飛ぶ〇由」にあったそうです。
ただ、改めて確認してみると、年号を含めて細部はかなり異なっていました。
これまた私見ですが、今回の「ヤマトという時代」での設定はそこから持ってきたのではなく、元々は2199の出渕総監督のアイデアだったんじゃないかと思ったりしています。
2199の製作中にそのアイデアを聞いていた中の人たちが、それぞれ作品にした結果じゃないか――と想像したのですが、はてさて。

大変残念なことに、二回目の緊急事態宣言が出された直後という逆境下での公開になってしまいましたが、そんな中でも「ヤマトという時代」を劇場やWebなど其々の方が其々に可能な鑑賞方法で楽しんで、その後はワイワイガヤガヤと(主にネット上ではありますが)賑やかに歓談できるといいですね。もちろん、節度は守った上で。

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アフロ社長さんからお譲りいただきました!!

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昨年末の大晦日、日付が変わる直前、アフロ社長さんからフルスクラッチ制作された『コスモパルサー』をお譲りいただける旨のご連絡をいただきました。
長年渇望しながらどうしても入手できなかったコスモパルサー、しかもアフロ社長さんの作られたパルサーの素晴らしさは垂涎の想いでツイートを拝見していましたから、私がピョンピョンと喜び跳ね回りながら年を越したのは言うまでもありませんw



しかも、お送りいただく直前にコスモパルサーに加えて『弐式艦上中距離爆撃機』までお送りいただけるという御連絡が!!(実はもう一機お譲りいただきましたが、こちらのご紹介は別の機会に譲ろうと思います)
本日はアフロ社長さんからお譲りいただきました貴重な模型群を画像でご紹介しながら、それぞれの機体のデザインや設定について思うところを書いてみようと思います。



さて、まずは中距離爆撃機からですね。
本機はPSゲーム版にのみ登場した機体という点でコスモパルサーより遥かにマイナーな存在ですが、それでも戦闘機や戦闘爆撃機ではない純然たる地球製の爆撃機(攻撃機)はオリジナル版・リメイク版を含めても極めて稀な存在なので、お好きな方も多いと思います。
もちろん私も大好きなのですが、この機体の立体モデルは私の記憶ではガレージキットを含めても過去発売されたことはなく、立体物はフルスクラッチ作例も含めて初めて見ました。
正直今でもこんなにもレアで貴重な機体が我が家のデスクに駐機している事実が信じられません(^-^;



本機はPSゲーム付属の設定資料集にデザイン画が公開されており、メカデザインの宮武さんの字で「地球防衛軍 中距離ミサイル爆撃機」と記されています。
機体名が「弐式艦上中距離爆撃機」に改称されたのは、一式艦上戦闘攻撃機コスモタイガーⅡとの整合性や、字義的に「中距離ミサイルを搭載した爆撃機」と誤解されるのを避けるためでしょうか。



機体構造は双発機かと思いきや、本体尾部にも同型のエンジンが装備されているようなので三発機ということになりそうです。
ミサイルは本体の上部と下部に大型を各一発搭載する設定です(画像では未搭載)。
オリジナル版ならDMT-97、リメイク版ならドルシーラと同じくらいの規模の大型対艦ミサイル(宇宙魚雷)を搭載できそうですね。



機首と左右両エンジンの先端部に「←」マークが記されているので、あるいはこの機体はヤマト2とⅢに登場した中型雷撃艇のリメイクなのかも・・・と思ったり。
小型機主体の防衛艦隊艦載機群からすると怪物じみた機体ではありますが(褒めてます)、逆にオリジナル版の中型雷撃艇とコスモタイガーⅡとのスペック差が微妙だっただけに、これくらいの差別化の方がコンセプトがはっきりしていていいですね(雷撃艇も機首部が分離して大型ミサイルになるという設定があり、攻撃力は高い筈なのですが原作では活かされませんでした)。
ヤマト世界の地球機体は「コスモ〇〇〇〇」と命名されることが多いですが、本機にそうしたペットネームが用意されなかったのも、同じくネームのなかった「中型雷撃機」のリメイクだったと考えれば多少は納得もできます。



ゲーム内においては本機は、ヤマトのイスカンダル行やデザリアム本星行に途中から加わる戦闘空母に搭載されていました。
こんな大きな機体をどうやって艦載(格納)するんだという疑問を抱かれるかもしれませんが、左右のエンジン部から(エンジンも含めて)主翼が上方に折り畳まれ、更にエンジンより外側の翼部が前方にスイングするというリメイク版コスモゼロも真っ青のトランスフォームを行う設定です(設定資料集にイラストで説明されています)。
とはいえ、機体全長までは縮められないので、多数機の運用は大変でしょうけど、それを補って余りある攻撃力や足の長さから、運用が続けられていると理解すべきなんでしょうね。



続いてはコスモパルサーですね。
言うまでもなく宇宙戦艦ヤマト復活篇に登場した地球の主力艦上戦闘機です。
高機動ミサイルの多数搭載による圧倒的な制空能力(想像w)はもちろん、経験に乏しい若年パイロットでも手足のように扱える操縦の容易さ(これも想像ww)、主翼を根元から折り畳むことでの格納効率の高さ、重爆パッケージなる大威力の対艦攻撃オプションなど、立ち位置や機能的には「さすがは傑作機コスモタイガーⅡの後継機」という機体でした。
ただ、劇中での本機は大半(特に空戦シーン)がCGモデルで描かれているのですが、当時のCGモデルは現在のものほどは洗練されておらず(それ以上に観る方も慣れておらず)、そうした点もあってビジュアル的にかなり損をしているかな・・・と思っています。



正直私も劇場で観た際には「細いし華奢な機体だなぁ・・・」と当初はあまりいい印象を抱くことができず、それが変わり始めたのは小林誠氏の書籍に掲載されたイラストを見て以降でしたね。
この機体、コスモタイガーⅡ並みの小型機と考えるとキャノピーを含む機首の長さとか胴部の厚みとか、過去のヤマト世界の機体と比べると機能やバランス的に収まりが悪い部分がある気もします。
その点、むしろ既存コスモタイガーⅡよりも大柄の機体と考えた方が収まりが良さそうな感じです。



その点、アフロ社長さんのコスモパルサーと2199ファルコン、2202タイガーⅡのメカコレは丁度いいサイズ感だと思いました。
つまり、薄い・足りないのではなく、全体が大きいんだと。
それだとヤマトに60機も乗らないという御意見もあると思いますが、それは小型機扱いでも同じでしょう。
同じ世界における過去の機体群とのバランス的整合性って、その世界のもう一つの物理法則みたいなものなので、個人的にはできるだけそれに沿った解釈をしたいところです(幸い復活篇の機体群にはサイズについての数値設定はないのでw)



また、本機に対する評価でいえば、加藤兄弟や山本などパイロットキャラクターに恵まれていたコスモタイガーⅡとは異なり、復活篇のパイロットは「お前スパイだな!!」の小林淳や「あんたが手当てしな」の佐々木先生とか、クセが強すぎる(w)キャラばかりで、その点でも本機は損をしている気がします。
その点、復活篇第二部以降が製作される際は、よりとっつきやすいキャラへと成長してくれているといいですね。



ヤマトマガジンに連載された「アクエリアス・アルゴリズム」内で言及されていましたが、慣性制御技術のブレイクスルーで一見華奢に見える機体ながら、機体規模に数倍するサイズの重爆パッケージ装備等、大きすぎるペイロード(というか、ペイロードという制限そのものの劇的緩和)を確保できるようになったという点で非常に先進的な機体であると同時に、非常に妄想を刺激してくれる機体です。



デザイン的にも、今回改めて2199のコスモファルコンや2202のコスモタイガーⅡ、PS版コスモタイガーⅡと並べてみましたが、どの機体とも十分に親和性が感じられて、地球製艦上戦闘機(戦闘攻撃機)の系譜を感じ取ることができました。
更にこの系譜には、今後も新たな機体が生まれ、加わる可能性もあります。
オリジナル版では『コスモタイガーⅢ』という機体が加わりましたし、リメイク版でも玉盛さんの新たなデザイン画が掲載されたりもしていますので。



今回、アフロ社長さんからお譲りいただきましたコスモパルサーと中距離爆撃機の画像を御披露しながら、両機について思うところを書いてみました。
ここまで画像をご覧いただいて皆さまにも十分伝わったと思いますが、どちらの機体も設定画を細部まで忠実に再現されているのは勿論、各部のバランスやシャープさは最新のB社模型と比べても遜色ありません。
末永く大切にして、今後の妄想創作にも活かさせていただきます(^^)

本来、当記事はここまでの予定でしたが、追加でもう一つ。
1月15日公開予定の『宇宙戦艦ヤマト」という時代 西暦2202年の選択』ですが、残念ながら公開延期となってしまいました。

【『「宇宙戦艦ヤマト」という時代 西暦2202年の選択』上映および各種展開延期のお知らせ】新型コロナウイルス感染症拡大を鑑み、1月15日からの上映を自粛し延期することを決定致しました。作品の上映を楽しみにお待ち頂いていた皆様には心よりお詫び申し上げます。#宇宙戦艦ヤマト pic.twitter.com/GTXEOVDjTS

— 宇宙戦艦ヤマト2202製作委員会 (@new_yamato_2199) January 8, 2021

かねてからのコロナ禍、緊急事態宣言再発出という状況を考えれば致し方ない判断と思います。
延期後の公開時期や、この決定が本作に続く「宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち」の公開にも影響するのかもまだ分かりませんが、一日も早いコロナ禍の終息を祈念しながら、ここが我慢のしどころと考えて気長に待つことにしましょう。
その間も、ファンの皆であれやこれやブログやSNSで盛り上がりを維持できるといいですね。

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『宇宙戦艦ヤマトⅢ 太陽沖海戦~Battle of SOL~』の制作を開始しました。

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さて、『「宇宙戦艦ヤマト」という時代』や『宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち』の公開延期など、残念なニュースが多いこの頃ですが、今日はささやかな告知を一つ。
『MMD第二次火星沖海戦』を一緒に制作しましたFGT2199さんと、二次創作アニメの新作の制作を開始しました。
タイトルは

『宇宙戦艦ヤマトⅢ 太陽沖海戦~Battle of SOL~』


です!!
今回も私は主に原作シナリオを担当します。
ツイッターをご覧の方々には「何を今さら」ですけどねw

「太陽沖海戦」とは、宇宙戦艦ヤマトⅢの最終回「ヤマト あの太陽を撃て!」で繰り広げられたヤマト/ボラー連邦/ガルマン・ガミラス の三つ巴の大規模戦闘です。
原作アニメでは特に戦闘の名称はつけられませんでしたが、便宜上?それらしい名前を付けました(早い者勝ちとも言うw)

とはいえ、ストーリーや設定は原作アニメそのままではありません。
原作に加え、以下の作品に準拠してFGTさんや私好みにリメイクしていきます。

・PSゲーム版宇宙戦艦ヤマトシリーズ
・当ブログの「地球防衛艦隊2199」シリーズ
・「護衛戦艦アリゾナの最期」

つまり、2199から始まったリメイク版ヤマトではなくオリジナル版、それもPSゲーム版に準拠した世界観の中でのお話になります。
なので、原作には登場しなかったり、今後のリメイク版にも登場が難しそうな「あんな艦」や「こんな艦」が登場するかも?(しますw)
といいますか、太陽系という地球人にとってのホームグラウンドでの戦いなのに、なぜヤマト以外の地球艦が登場しないのか!?って皆さんも思いますよね!?(私は思います!)
長らく抱えてきましたこのフラストレーションを、この機会に存分に晴らすつもりですw

更に、以下の作品の設定も参考にさせていただきます。

・七猫伍長さんの「宇宙戦艦ヤマト2209」
・EF12 1さんの諸作品

七猫伍長さんには火星沖シリーズに続いて本作でもシナリオ構想にご協力いただいていますし、PS版世界の「宇宙戦艦ヤマト完結編」はこの「2209」だと思っていますので、ご了解をいただいた上でこちらも参考にさせていただきました。
EF12 1さんの作品についてはもはや説明は不要ですねw
本作でも(半ば強制的に)レギュラーメンバーにご参加いただく予定ですwww

以上は原作と設定ですが、FGTさんによる映像もすごいことになっています(^^)
これまでのMMDに加えてBlenderという新たな3DCGソフトを使用されるそうで、一足先に特報動画を拝見しましたが、MMDとはディテールと質感が一味も二味も違う感じでした。



登場キャラについても、火星沖でも大好評だったイラストに加えて、Blenderでのモデリングも行われています。
既に古代、島、真田さん、雪、土門がモデリングされていますが、特に雪は「これぞ松本美女」という仕上がりになっていました(*''▽'')

更に、火星沖でも静画やディテールアップでお世話になった蒼衣わっふるさんにも(詳細はまだ内緒ですが)、今回も大変お世話になっています。
また、つい先日も作劇上不可欠と考えていたコスモハウンドの3Dモデルがないことに困っていたところ「おおさん」に制作を請け負っていただきました。
ちなみにおおさんには、ヤマトが装備するハイドロコスモジェン砲のモデリングもご協力いただいています(^^)



思えば火星沖の時も、沢山の方にご協力いただいて作品を完成させることができた訳で、きっと本作も沢山の方にご助力いただきながら一歩一歩完成に向かっていくことになるのだと思います。
もしかしたら明日くらい、皆さんのところにも「お願い」と書いたメッセージが届くかもしれません。
その時は・・・・・・せめて一読はしてやって下さいませ<(_ _*)>

とはいえ、基本的には20代と40代のサラリーマンが本業の傍らでコツコツと制作していますので、完成まで「月日」よりも「年月」で測った方がよい期間がかかると思います(^▽^;)
公開が叶うその日まで、生暖かい目で見守っていただけましたら幸いですw

今日は私の味気ない文章が大半の告知ですが、近日FGTさんの手による予告動画やポスター画像の公開予定ですので、どうぞお楽しみに(^o^)

【特報】宇宙戦艦ヤマトⅢ 太陽沖海戦 : Battle of SOL - A Star Blazers fan-film

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先週制作開始をご案内しました太陽沖海戦の特報動画をFGTさんが公開されました!



いかがでしょう!?前作第二次火星沖海戦から、メカ/キャラ共に質感や雰囲気が一新された感じがします(^^)
Blenderという新たな3DCGソフトを使用されたことで、くにさん作のヤマトモデルのディテールと魅力も余すことなく表現されていると思いますね♪
そして最近完成したばかりのおおさんデザインのコスモハウンドの姿も一瞬ですがサービス!!w

また、今回FGTさんは登場キャラのモデリングにも新たにチャレンジされていまして、今回の特報内のキャラクターは全てそのモデリングで作られたものなんです♪(*''▽'')
もちろん、第二次火星沖でも好評でした手書きイラストも健在です!
新たに公開されたポスター画像には、あの王女様が・・・。



一目見てお気づきになられた方も沢山いらっしゃると思いますが、このポスターは宇宙戦艦ヤマトⅢのDVD BOXのパッケージ画像がモチーフになっています。

宇宙戦艦ヤマトⅢ DVD MEMORIAL BOX富山敬バンダイビジュアル

このあたりのセンスは、FGTさんあんた本当に20代かよ!?って思わずツッコミたくなるくらいですねw

さて、本特報でもお知らせされています通り、本作は前後編での公開になる可能性もあります(またしても私の脚本が長すぎて・・・・・・汗)
そうした点も含め、公開までまだまだ時間がかかると思いますが、進捗は適宜お知らせいきますので、気長に暖かく見守っていただけましたら幸いです(^^)

1/1000 護衛戦艦ビスマルク(零くんさん試作モデル)

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長年ガレージキットの原型を手掛けておられる零くんさんから、試作中の護衛戦艦ビスマルクをお借りしました(^^)
実は5年以上前から零くんさんはブログ上でビスマルクの立体化の取り組みを公開しておられまして、その頃からのご縁で今回試作モデルをお借りする運びとなりました(^^)



このビスマルクの試作品は、零くんさんが独自でモデリングされた3DデーターからNOVA3Dのプリンターで出力されたもので、材質はステレオレジン製ですね。



完成すると全長約34センチにもなる大型キットですが、内部は中空なので、ムクのガレージキットの感覚で手にすると驚くくらいに軽いです。
また、今回お借りしたのは黒色のレジン製でしたが、クリアーレジンで作ることも可能だそうで、その場合は電飾が非常にやり易くなると思います。
こうした点での選択肢の広さも3Dプリンタの大きな魅力ですね。

私はこの度初めて3Dプリントされたキットを作りましたので、あれこれネットで調べながら作業を進めていきました。
自分の備忘録を兼ねて以下に段取りを簡単に書いておきます。
まずはIPA(イソプロピルアルコール)でキットを洗浄します。

ガレージ・ゼロ IPA 純度99.9%以上 1L イソプロピルアルコール 2-プロパノール イソプロパノール GZ901成分:イソプロピルアルコール(イソプロパノール99.9%以上)ガレージ・ゼロ(Garage Zero)
目的は脱脂(油分の除去)です。
ただ、IPAは母材であるレジンにもダメージを与えるので(最悪は割れたりします)、長時間の浸け置きは厳禁です。
百均のタッパを三つ用意して「IPA一次洗浄」→「IPA二次洗浄」→「水洗浄」の三段階で洗浄(タッパに薄く張った液に軽く浸けながら古くなった歯ブラシでゴシゴシする感じです)、最後にもう一度水道水(流水)で洗いました。
このプロセスは、材質が「水洗いレジン」でも同じで良いようです。
水洗いレジンは超音波洗浄機等を用いてしっかりと段取りを踏めば、文字通り水のみでも洗浄できるようですが、そうした道具を持っていない(使わない)場合は、通常のレジンと同様IPAで洗浄するのが確実ですね。



続いて艦橋部のサポート材を除去します。
3Dプリンター内で積層・形成された部品を保持しているものですね。
ニッパでパチパチと切っていく訳ですが、アンテナなどの細いパースのサポート材の切断には注意が必要です。
なんとなく、プラパーツをランナーから切り取る感覚で部品から少し遠い位置にニッパの刃を入れたら、パーツの方が折れてしまいました(^^;)
その後、色々と試した結果、切り取る時は思い切ってパーツの根元で切った方がむしろ折れにくいことが分かりました(当たり前と言えば当たり前なのですがw)
この反省は次回に活かしたいと思います(^^)



洗浄とサポートの除去から終わったら、3Dモデルに特有の積層痕(薄いレジンの層を塗り重ねていった痕)を処置します。
ヤスリでひたすらゴシゴシして部品表面を均していく訳ですが、この作業はスポンジヤスリがやり易かったです。



私の場合は3Mの四枚セットを買ってきて、オーソドックスにFine→Superfine→Ultrafine→Microfineの順にひたすらゴシゴシやってました。

3M スポンジ 研磨材 サンドペーパー 02600 02601 02602 02604 4枚セット 114㎜×139㎜ (4 pcs(MIX))曲面によくなじみ、切れ味が持続する3Mのスポンジ研磨材。Fine #240-320相当, Superfine #320-600相当,...3M
実はその際、艦首のアンテナ一本をスポンジを引っ掛けて折ってしまうというミスが(;´Д`)
スポンジヤスリは使いやすいですが、細かいスポンジ孔に突起が引っかかりやすいので注意が必要ですね(^-^;

サフで表面状態をチェックして問題がなければ、そこから先は普通のプラモやガレージキットと同じです。
お借りしたキットは非常に精度が高く、特に主艦体を接合するダボの具合がいい塩梅でした。
なので、主艦体は接着せずに分解可能な状態で仕上げることにしました・・・・・・って、簡単に書いちゃいましたけど、それってすごいパーツの精度ですよね。



ゆる過ぎず、きつ過ぎずのクリアランスって、ものすごく狭い範囲でしか成立しないことですから、本当に驚きました。
それは前/後部甲板のパーツや艦橋、アンテナも同様でして、すこしだけの調整で簡単に着脱可能な仕様で仕上げることができました。
ただ、艦橋部の塗装の際に更にアンテナをポキっと(^▽^;)
結果論ですが、アンテナはサポート材から切り離す際に一旦切除して、塗装が終わってから取り付ける方が楽かもしれません(^^;)



さてさて、すっかりお話が長くなりましたが、ここからは完成したキットについてご紹介していきましょう。
本キットの面白く楽しい点は、艦首/艦尾の装備の状態を組み換えで変更できることですね。
艦首側は三種類、艦尾側は二種類のパーツがあります。



これは、零くんさんが独自に考察された本級のコンセプトに基づいています。
現在のドイツ(ドイツ連邦共和国)の状況からすると、たとえ200年近く未来であっても、あまりに禍々しい攻撃兵器満載の戦闘艦艇を積極的に保有することはないのではないか?というお考えや、WWⅠ以来の潜水艦大国というポジションから、直接的な戦闘能力以上に隠密性や防御力、速度性能に重点を置いた艦が目指されたのではないか?と考察され、それらを加味して3Dモデル化されています。
特にヤマトと並べてみると、漆黒の艦体に高さを抑えた艦橋構造物など、潜水艦的要素が際立ってみえますね。



そしてもう一つ重視されたコンセプトは、ドイツの国民性とも言われる合理主義の追求です。
具体的には、艦首の艦橋前ブロックは大胆にユニット化されていて、任務目的によって換装されるとされています。
数少ないヤマトⅢの劇中カットは、隠密性を重視したステルスモード、「探査戦艦モード」だったという解釈ですね。



第二の地球探索時には、ここに惑星探査(分析/解析)ユニットや探査機であるコスモハウンドを搭載していたりもしたのかもしれません。



そして「重戦艦モード」、正面きっての殴り合いに備えたスペックもおさおさ怠りなく、四連装四基十六門の強武装です。
無砲身タイプではありますが、リメイク世界ではこのタイプのショックカノンも開発されていますので、性能的には必要十分なものを備えていると思います。
堅実な設計に基づく作動性に優れた陽電子衝撃砲ながら、最新の収束圧縮型衝撃波砲並みの速射性能を誇る――なんてスペックがあっても面白いかもしれませんね。
艦首側砲塔群(A及びB砲塔)の高さは2段階で差し替え可能で、デザインバランスで言えば砲塔位置が低い方、私のようなAとD、BとC砲塔の高さは揃ってなきゃイヤだ!!なんてヘソ曲りのミリタリーマニアは砲塔位置が高い方を選ぶんじゃないでしょうか!?(^^)

兵装と言えば、艦首波動砲の解釈と造形も興味深いですね。


(この写真を撮るのには苦労しましたが、その甲斐はありました。見て下さい!この奥まった砲口の中に存在する連装波動砲を!)

零くんさん的にはその小口径を
 ・ステルス性
 ・非拡散型(収束型)
 ・速射性
の重視と解釈されていました。
そこに便乗させていただくなら、リメイク世界ではパトロール艦や護衛艦が小型波動砲(波動噴霧砲とする資料もあります)を装備していますので、戦艦用よりも小型のこちらを連装で備えていると想像するのも楽しいですね。



戦艦の大出力機関であればチャージ時間も短しでしょうし、サイズ的にも本級の特長である艦首側のペイロードを更に大きく稼げますから。
それに――“連装”ってのはイザという時には隠し玉にもなりそうでw

「探査戦艦モード」と「重戦艦モード」をご紹介しましたが、考えようによっては艦橋前ブロックを全て居住区や倉庫とした「輸送戦艦モード」やミサイル用VLSにした「ミサイル戦艦モード」とか、色々と妄想できますし、バリエーションで部品を自作するのも楽しいと思います



こうした楽しみ方は、予めその艦がどんな艦かを考察されてからモデリングに挑まれる零くんさんのモデルだからこそのものかもしれませんね。

ビスマルク考察①

戦艦ビスマルクとは。

第二次大戦中のビスマルクは二隻若しくは『単艦』でイギリス海軍を相手に激戦をくぐり抜けた戦艦の様です。

激戦の結果沈没前に自沈の運命を辿った。

— 零くん (@dennouzousenjyo) October 31, 2020
こうして艦のコンセプトや運用思想を独自に解釈され、元デザインを3D化されるにあたっての参考にもされています。
零くんさん的には、ビスマルク級という艦を戦闘に特化した「戦艦」よりも「万能艦」という位置づけで捉えられており、その点でのコンセプトはヤマト型にも近く、艦首・艦尾の装備換装まで考え合わせると、その徹底ぶりはヤマト型以上と言えるかもしれませんね。



ここから先は私の勝手な想像ですが――リメイク世界でこうしたデザインやコンセプトのビスマルク級が具体化するのなら、そのルーツはドイツ版「イズモ計画艦」だったりとか。
もしそうなら、艦のコンセプトがヤマト型に似ている点や、主砲が無砲身式であることも納得しやすくなります。
ガミラス軍が跳梁する太陽系からの脱出において、威力不足が明らかな主砲火力よりも防御力(撃たれても簡単に沈まない)や速度(逃げ足)、ステルス性(非探知性)、ペイロード(たくさん乗れる/載せられる)を重視するのは、極めて合理的な判断と言えるでしょうし。
しかしヤマト計画の始動と、そこへのリソース集中が決定されたことで、ビスマルクの建造は中断を余儀なくされたのかもしれません。
ガミラス戦争後も、時間断層での大量・短期間建造方針からビスマルクは建造再開とならなかったものの、時間断層消失後になって既存リソースの活用や単能艦偏重への反省からようやく建造が再開、完成したりとか。
もちろん完成にあたっては、旧来型機関の次元波動エンジンへの更新に加えて各種新式装備の採用により、オールラウンダーという本級の特長には更に磨きがかかっており――なんて想像をしてしまいます。
こうした設定の妄想をソ連の護衛戦艦ノーウィックで考えたことがありましたが、あるいはビスマルクやアリゾナなどヤマトⅢの護衛戦艦たちは皆同じような出自を持っていたりすると考えるのも楽しいですね。



以前、アリゾナやPOWなどの護衛戦艦の妄想を書いていた際、ビスマルク級についても何か書いてというリクエストをいただいていたのですが、今一つしっくりくるシチュエーションが思い浮かばなかったのですが、実はこの記事を書いていた際、一つ思い浮かんでしまいましたw
太陽沖が片付いたら、いつかそちらにもチャレンジしてみたいですね(^^)



この度は零くんさんのご厚意で試作中のモデルをお借りすることができ、この二ヶ月間を本当に楽しく過ごさせていただきました。
今の時点ではあくまで試作モデルということですが、このままガレージキットとして販売しても全く問題のない完成度であるのは勿論、某B社のプラキットと言っても通用するくらいの非常に高いクオリティーのモデルだと思います。
版権が無事に降りて、イベント発売される日を楽しみにお待ちしております!!(^^)
零くんさん、この度は本当にありがとうございました!!m(__)m

『「宇宙戦艦ヤマト」という時代 西暦2202年の選択』を観てきました(ネタバレなし)

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皆様ご無沙汰しております。
映画公開を機に久しぶりのブログ更新です。
いつもどおり公開開始1週間はネタバレなしですので御了承下さい。

一昨日の上映初回を大阪ステーションシティシネマで観てきました。
元々は昨年公開予定とされていたのが本年1月に延期となり、更に半年近く延期しての公開となったので、待ちに待ったという感じでしたね。

作品時間は2時間弱、この時間で2199前史・2199・2202とお話を繋ぐというので、すごい駆け足か詰め込み過ぎになるんじゃないかと少し心配していましたが、始まってみると特にそんな感じもせず、すんなりとお話に没頭することができました。
私が既に2199と2202を全て観ている(知識のベースがある)からもしれませんが、真田さんの俯瞰的な語りに沿ってストーリーが展開していくことで、視聴者は多少足早ではあっても手を引かれながら案内されるような感覚で作品世界を巡ることができたのだと思います。
実際、「何が起きたのかよく分からん」と言われた2202の第三章や後半部分は、真田さん主観という名の通訳・触媒を介することで、本編よりもむしろ理解しやすくなっていたのではないでしょうか。
その点、本作の「ドキュメンタリー方式」という制作方針は(最終的なセールスは分かりませんが)私のような既存ファンに向けてもより良い選択だったと思います。
また、本作のもう一つのターゲットたる『新たなファンになって欲しい初見の方』にも、「理解しやすい」という点は今後のことを考えても良い方へ作用すると思います。
もちろんオーディオコメンタリーで制作陣が語っておられた通り、カロリー(情報密度)が高すぎるという懸念はありますが、サーガ的な世界観を持つ作品である以上、新規の方にはBD/DVDなどでお腹を壊さない程度に少しずつ咀嚼していただく・・・・・・ということでw

注目だった2199前史の部分についても、設定・作画共に非常に力の入った仕上がりだったと思います。。
内惑星戦争や第一次/第二次火星沖のシーンは、作画的にも2199を彷彿とさせる感じで、特に2199ファンの満足度は高かったのではないでしょうか。
ただ、2198年に設定された第二次火星沖海戦について、以前言及しましたような背景設定(ユリーシャ来訪との係わりとか)が加わるかな?と期待していたのですが、さすがにそこまでのフォローはなかったです。
とはいえ、火星自治政府海軍のあたりの新たな設定は、今後の作品世界にも影響する要素も大きく、情報密度の配分が加減されたのかもしれません。
映画本編中の第二次火星沖海戦の展開について思った点については、ネタバレ解禁後に言及しようと思いますが、私的には2202の小説版を執筆されている皆川ゆかさんに第二次火星沖海戦前後を舞台にした外伝小説をいつか書いていただきたいなぁ・・・と願ってやみません。

また、「時代」の中で取捨選択されたエピソードは、次回作(宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち)の予習を意図してピックアップされているのだろうな、とも感じました。
叛乱覚悟でヤマトがテレザートに旅立つ際の藤堂長官の説得の通信(「ヤマトは強力な兵器だ」から始まる部分)や、2199のシーンでも七色星団の戦いではなくバラン星ゲート突破のシーンが選ばれているのは、それが理由じゃないかと。
そうした意識で「時代」をもう一度観返してみると、これまでとはちょっと違う気づきが得られるかもしれません。
実は以前、2205への登場が予定されている新キャラクターについて、ある予想をしたことがあるのですが、この予想が成立するとすれば第六章の藤堂三佐のある台詞が必ず入ると思いましたが・・・・・・ありませんでした(笑)
できれば2205の公開後にも「時代」を観返して、答え合わせをしてみたいですね。



本編と同じくらい楽しみに劇場限定BDの特典、皆川ゆかさん作の『私の心がこのようにあることは』。
結城信輝さんのの表紙絵から、ほのぼのとした青春追憶話を勝手にイメージしていましたけど、いい意味で裏切られました。
100%混じりっ気なしの「ガチ」の後日談です。
2202の最終章を観た時に「あるもの」の顛末が気になっていたのですが、本小説内でその答えを明らかにしていただきました。
本作のキーワードに「人」と「心」があると思いますが(他にもありますが、ネタバレが強くなるので控えます)、それは2202の終盤にも共通していて、あるいは今後のシリーズでもキーワードになるんじゃないかと思ったり。
そしてウメグラさんの挿絵も、本作の主人公二人の放つ空気感にピッタリで、とても魅力的でした。
尚、ウメグラさんの挿絵とは別のイラストが映画チケットの版権キャンペーンの特典になっていまして、私も応募予定です(^^)



最後に一つ、一昨日の公開初日に『宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち』についての情報が公開されました。

 ・全二章の「前章」が10月8日に公開
 ・既出の補給母艦「アスカ」とは別に戦闘空母「ヒュウガ」が登場
 ・新キャラとして土門竜介、徳川太助、京塚みやこ、坂本茂、坂東平次が登場
 ・黒色艦隊のみならずボラー連邦も登場。更にはガルマン(?)も

劇場では「時代」のエンディング後に1分程度の予告編も上映されまして、今のところは劇場限定の公開のようです。
私ももちろんこの予告を観たのですが、「あわわわわ」と泡を食ってる内に終わってしまいまして、殆ど記憶が・・・・・・(汗)



ただ、アフロ社長さんからお譲りいただいた「この機体」がワンカット映っていたと思うんですよね。
残念ながら機体のサイズ感までは把握できませんでしたが、既存のコスモタイガーⅡとの役割上の棲み分けが気になります。
戦闘機、戦闘攻撃機はCT2で十分でしょうから、空母も登場することですし、より大型の攻撃機的な機体だと予想したのですが、はてさて。

来週はネタバレありで記事をアップしたいと思います。
「宇宙戦艦ヤマト」という時代 西暦2202年の選択(セル版・特典付き)小野大輔
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『宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち』特報のガイペロン級

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「ヤマトという時代」上映後の劇場で公開されていた2205特報のショートバージョン(劇場版が60秒くらいだったのに対して、youtube版は30秒程度)が今朝早くにyoutubeで公開されました!!
いやー、制作が進んでいるのは様々メディアで報じられていましたが、こうしてじっくり観れる形で公開されると、期待感は俄然高まってきますよね(^^)
本特報の詳細分析はFGTさんが動画で制作されると思いますので(人任せw)、私はメカマニアらしく登場兵器の一つをクローズアップしてみようと思います。



取り上げるのは、21秒あたりで登場するランベアカラーのガイペロン級です。
残念ながら2202の第七章で同じカラーリングのガイペロン級がわんさか登場していたので、ランベアと特定することはできませんが、個人的には「あの」ランベアだと思っています(バーガーも登場していたので、そう思いたいというべきかw)。
それはさておき、コマ送りや静止画で見ると、このガイペロン級の第二甲板(上から二段目の甲板)には三連装陽電子カノンの大型砲塔が二基鎮座しています(映像では発砲もしています)。
また、この甲板の前縁にはブチ穴(笑)そのものの開口があって、ミサイル(魚雷)発射管を思わせますし、この第二甲板はそれより下の第三・第四甲板と比べて色合いが鮮やかで、いかにも後付けで増設されたように感じます。

さて、これが何を意味するのか?
七色星団でも地球沖でもガイペロン級を突撃させてしまったことに対するガミラス人なりの反省か?なんて意見もありましたが(笑)、私はこれをガイペロン級を簡易的に戦闘空母化させた姿と考えます。
ガミラスの戦闘空母(航宙戦闘母艦)といえばゲルバデス級が存在しますが、この艦は2199当時の設定では「単独での作戦行動が可能な高性能艦だが、高価な建造費と複雑な建造工程から少数建造に終わった」とされていました。
にもかかわらず、2202でゼルグート級と同様わんさか登場していましたが、これは自分本位の考えで前作設定を無視したメカ設定者のセンスの悪さが原因と考え、ここでは無視しますw

天の川銀河内でガミラス星に代わる移住先をできるだけ手分けして(効率的に)探索したいデスラー陣営にとっては、対艦戦闘能力と航空機運用能力が高い次元でバランスし、単艦行動が可能なゲルバデス級は非常に使い出がある艦でしょう。
本来ならゲルバデス級を増備したい。
しかし、ガミラス本星とも袂を分かち、基本的には根無し草の現在のデスラー陣営に高価で建造の手間もかかるゲルバデス級を新たに用意することは思いもよりません(建造そのものは可能でも、必要数を確保できない)。
2202に登場したデスラー取り巻き艦隊がピカピカのゼルグート級やゲルバデス級を大量に並べていたのでピンとこないかもしれませんが、彼らのような流浪の根無し草は基本貧乏にならざるを得ないのです。
そんな貧乏な筈の彼らにしてみれば、既存艦艇の中でも旧式故に比較的数も多いガイペロン級を簡易改装して戦闘空母化するのは極めてコストエフェクティブネスの高い手法と言えるでしょう。
具体的には、既存の第二甲板(飛行甲板)を主砲塔とミサイル発射管、その弾庫がユニットになった戦闘甲板に換装し、その甲板の後方か第一甲板の底部に戦闘艦橋を設ける、だけw
この換装なら、本格的なドックや建造施設でなくても実施可能に思えます。
そして換装完了後も、第一・第三・第四甲板は飛行甲板として残るので、航空機運用能力はオリジナルの60%以上は維持できるでしょう。
これで、最小限の改造だけで立派な(?)戦闘空母が完成ですw
もちろん、元が対艦戦闘を考慮しない空母ですから、防御力・構造強度の乏しさだけはどうしようもなく(特に換装された戦闘甲板に直撃したら誘爆で酷いことになりそう)、性能的には実戦経験豊富なガミラス軍人たちを満足させられる代物ではないかもしれませんが、それでも数は力、必要最低限の能力で最大多数という原則でいえば、ベターな選択に思います。
また、防御力の不足については、地球艦艇ばりに波動防壁(ゲシュタム・フィールド)を用いることができれば、かなりカバーできそうです。
そんな感じで私はあのガイペロン級を「単艦行動も可能なように簡易改装で戦闘空母化されたガイペロン級」と予想しますが、いかがでしょうか?
クラスネームとしてはそうですねぇ・・・改ガイペロン級特設航宙戦闘母艦とかどうでしょうか?(長っ!)

いきなり長々と書いてしまいましたが――なんだかこうしていると嬉しくなってきちゃいますね。
2199の時は、こうした艦艇にかかわる設定の妄想を新情報が出る度にいつもやっていた気がしますが、2202は常識的な理詰めで考えられるメカ要素が乏しく、こうした遊びをあまり楽しめませんでしたから。
他にも、特報に登場したメカで触れたいものはありますが(自爆したとおぼしき青いゲルバデス級とかw)、今日はこの辺りでお開きにしようと思います(^^)
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「宇宙戦艦ヤマト」という時代 西暦2202年の選択 [DVD]西﨑義展バンダイナムコアーツ
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